◆ 「このデータで、何ができるのか」という問いには気を付けよう
最近喜ばしいことに、データが蓄積される機会が増えています。しかし、データがある程度蓄積されたとき、次のような問いがなされる場合があります。「このデータに対し、どのような分析をすればいいのか」「どの分析手法で、何が解決できるのか」「このデータで、何ができるのか」などです。今回は「『このデータで、何ができるのか』という問いには気を付けよう」というお話しです。
【目次】
1. データは、どんどん溜まる
(1)このデータ、何かに使えるんじゃない?
(2)「データ」を「にんじん」に置き換えて考えてみる
2. このデータで、何ができるの?
(1)冷蔵庫にある余り物でおいしい料理を作る
(2)にんじんを使った料理メニューを列挙せよ!
3. データの存在を忘れよう!
4. 今回のまとめ
1. データ分析:データは、どんどん溜まる
データは恐ろしいことに、どんどん溜まってきます。溜め始めると、気づくととんでもない量になることも少なくありません。そのため、ある企業では、ある一定期間が過ぎたデータを捨てたりします。またある企業では、データを集約し(例:POSデータをレシート単位から1日単位に集計)、元のローデータを捨てたりします。
そして、あることに気が付きます。このデータは何かに使えるかもしれない、ということです。
(1)このデータ、何かに使えるのではないか。
昨今の、ビッグデータブームやデータサイエンス、機械学習、AIなどの耳障りのいいキーワードに乗せられ、「このデータ、何かに使えるんじゃないか」と問うてくる人も多いでしょう。「このデータ、何かに使えるんじゃないのか」の次に来る問いが、先ほど挙げた以下の問いです。
- 「このデータに対し、どのような分析をすればいいのか」
- 「どの分析手法で、何が解決できるのか」
- 「このデータで、何ができるのか」
当然の流れのようにも思えます。「データ」を「にんじん」に置き換えたらどうでしょうか。
(2)「データ」を「にんじん」に置き換えて考えてみる
帰宅したらたくさんの「にんじん」が家にありました。「このにんじん、何かに使えるんじゃないのか」「料理」に使えるでしょう。問題は、にんじんを使う料理メニューがたくさんあることです。
2. データ分析:このデータで、何ができるのか
先ほど挙げた以下の問いで、この「にんじん」の話しで置き換えてみます。
- 「このデータに対し、どのような分析をすればいいのか」
- 「どの分析手法で、何が解決できるのか」
- 「このデータで、何ができるのか」
次のようになりました。
- 「このにんじんに対し、どのような調理をすればいいのか」
- 「どの調理法で、何(料理メニュー)ができるのか」
- 「このにんじんで、何(料理メニュー)ができるのか」
このような問いを投げかけられたら、あたたは次にように思うかもしれません。
- 「何を作りたいんだ!」
- 「何を食べたいんだ!」
データサイエンスもデータ分析も機械学習なども同じです。
- 「何をしたいんだ!」
要は、データ分析・活用の「テーマ」の問題です。
(1)冷蔵庫にある余り物でおいしい料理を作る
冷蔵庫にある余り物で、おいしい料理を作るには熟練した何かが必要でしょう。蓄積されたデータから、気の利いたデータ分析をしたり、数理モデルを作り、ビジネス成果を出す人も同様に、熟練した何かが必要でしょう。
生まれたときから持ち合わせた才能もあるかもしれませんが、多くの場合、熟練した何かが必要です。データから適切なデータ分析・活用のテーマを創造できる人は稀です。1,2年や5,6年程度の経験値では、通常は無理でしょう。ですので、、、
「このデータで、何ができるのか」
、、、という問いにが発せられたとき、次の問いをしましょう。
「何をしたいんだ!」
要は、データ分析・活用の「テーマ」は何ですか? ということです。
(2)にんじんを使った料理メニューを列挙せよ!
「何をしたいんだ!」という問いの回答が、次のような場合は最悪です。
- 「このデータで、何ができそうか、列挙して、、、」
- 「にんじん」の例えで言えば、、、
- 「にんじんを使った料理メニューを列挙せよ!」
、、、という感じです。要は、データ分析・活用の「テーマ」候補を列挙しろ! というのです。無茶苦茶です。
3. データ分析:データの存在を忘れよう!
溜まったデータの呪縛にとらわれたら大変です。このデータで何ができそうか...