データから垣間見る人間模様を想像する事象理解 データ分析講座(その297)

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データ分析講座(その297)データから垣間見る人間模様を想像する事象理解

【目次】

    データはあくまでも、この世で起こった事象のある一部分を切り取りデータとして表出された何かです。ある暑い夏の日、喉が渇いたという理由で、コンビニで500ペットの飲料を1つ購買すれば、それがPOSデータという名のデータとして記録されます。このように、データはあくまでも、ある事象のほんの一部分しか表現していません。それも極一部です。データサイエンスや機械学習、AI、DXなどで表現されるデータ活用の多くは、この極一部のデータを活用し、この世の何かしらより良い影響を与えようと目論むものです。そう考えると、データ活用というものは、もの凄いことです。今回は「データから垣間見る人間模様を想像する事象理解」というお話しをします。

     

    【この連載の前回:統計的機械学習で使用する混同行列と評価指標 データ分析講座(その296) へのリンク】

    ◆データ分析講座の注目記事紹介

     

    1. 想像力がものを言う

    データ活用で上手くいくかどうかの要素の一つに、想像力というものがあります。データはあくまでも、この世で起こった事象のある一部分を切り取りデータとして表出された何かです。ある事象のほんの一部分しか表現していないデータから、その事象をいかに捉えるのか、その手段は想像力しかありません。コンビニで500ペットの炭酸料がある時間帯に非常に売れた、というデータから事象の全体像を想像する、ということです。

     

    例えば……

    • その日とても暑かったから売れたのだろうか
    • 近くで何かイベントがあったのだろうか
    • 他の商品が品薄で炭酸飲料ばかりになったためだろうか
    • キャンペーン中だったからだろうか

    ……などなど。そこを見誤ると、とんでもないことが起こるかもしれません。

     

    2. データ理解とは?

    データ活用の第一歩として「データ理解」というステップがあります。文字通り、データを理解する、というステップです。集めたデータを、色々な軸で集計したり、平均値や分散、最大値、最小値などの基本統計量を計算したり、どのようなデータなのかを理解するステップです。

     

    集計したり基本統計量を計算したりするだけでは、データ理解はできません。なぜならば、データ理解とは「データを通した事象理解」だからです。「データを通した事象理解」とは「そのデータを通しどのような事象が生起したのかを理解する」ということです。

     

    3. データ理解には現場理解がポイント

    データだけをいくら眺めても、事象理解をすることは困難です。例えば、データサイエンスや機械学習などの初学者が、サンプルデータを使い、データ分析したりモデル構築したりしても、多くの人は実感が無いというか臨場感は沸かないことでしょう。なぜならば、事象理解していないからです。

     

    事象理解の前提は、現場理解です。現場を知らない人が、その現場を想像するのは困難です。そのため、データ理解をするには、データが発生している現場や、それを活用する現場などを、直に見に行ったほうが早いです。そこで、現場の人とお話しができたら、なおいいです。一番いいのは、現場を体験することです。

     

    4. 現場無視の提言

    事象理解のないデータサイエンスや機械学習などは、非常識な提言を誘発します。某飲料メーカの新卒のデータサイエンティストです。意気揚々と彼は、次のような提案をもってきました。

    • 気温が25度を超えた瞬間に増産する(それにともない工員を採用する)
    • 気温が25度以下になった瞬間に減産する(それにともない工員を解雇する)

    増産するには、働く人を増やし工場のラインの新設が必要になります。そう簡単にできることではありません。減産の場合は、どの逆のことをやる必要があります。そもそも、従業員の採用と解雇を、気温を理由に秒で行うことはできません。衝撃の提案ですが、似たようなことを、たまに見かけます。...

    データ分析講座(その297)データから垣間見る人間模様を想像する事象理解

    【目次】

      データはあくまでも、この世で起こった事象のある一部分を切り取りデータとして表出された何かです。ある暑い夏の日、喉が渇いたという理由で、コンビニで500ペットの飲料を1つ購買すれば、それがPOSデータという名のデータとして記録されます。このように、データはあくまでも、ある事象のほんの一部分しか表現していません。それも極一部です。データサイエンスや機械学習、AI、DXなどで表現されるデータ活用の多くは、この極一部のデータを活用し、この世の何かしらより良い影響を与えようと目論むものです。そう考えると、データ活用というものは、もの凄いことです。今回は「データから垣間見る人間模様を想像する事象理解」というお話しをします。

       

      【この連載の前回:統計的機械学習で使用する混同行列と評価指標 データ分析講座(その296) へのリンク】

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      1. 想像力がものを言う

      データ活用で上手くいくかどうかの要素の一つに、想像力というものがあります。データはあくまでも、この世で起こった事象のある一部分を切り取りデータとして表出された何かです。ある事象のほんの一部分しか表現していないデータから、その事象をいかに捉えるのか、その手段は想像力しかありません。コンビニで500ペットの炭酸料がある時間帯に非常に売れた、というデータから事象の全体像を想像する、ということです。

       

      例えば……

      • その日とても暑かったから売れたのだろうか
      • 近くで何かイベントがあったのだろうか
      • 他の商品が品薄で炭酸飲料ばかりになったためだろうか
      • キャンペーン中だったからだろうか

      ……などなど。そこを見誤ると、とんでもないことが起こるかもしれません。

       

      2. データ理解とは?

      データ活用の第一歩として「データ理解」というステップがあります。文字通り、データを理解する、というステップです。集めたデータを、色々な軸で集計したり、平均値や分散、最大値、最小値などの基本統計量を計算したり、どのようなデータなのかを理解するステップです。

       

      集計したり基本統計量を計算したりするだけでは、データ理解はできません。なぜならば、データ理解とは「データを通した事象理解」だからです。「データを通した事象理解」とは「そのデータを通しどのような事象が生起したのかを理解する」ということです。

       

      3. データ理解には現場理解がポイント

      データだけをいくら眺めても、事象理解をすることは困難です。例えば、データサイエンスや機械学習などの初学者が、サンプルデータを使い、データ分析したりモデル構築したりしても、多くの人は実感が無いというか臨場感は沸かないことでしょう。なぜならば、事象理解していないからです。

       

      事象理解の前提は、現場理解です。現場を知らない人が、その現場を想像するのは困難です。そのため、データ理解をするには、データが発生している現場や、それを活用する現場などを、直に見に行ったほうが早いです。そこで、現場の人とお話しができたら、なおいいです。一番いいのは、現場を体験することです。

       

      4. 現場無視の提言

      事象理解のないデータサイエンスや機械学習などは、非常識な提言を誘発します。某飲料メーカの新卒のデータサイエンティストです。意気揚々と彼は、次のような提案をもってきました。

      • 気温が25度を超えた瞬間に増産する(それにともない工員を採用する)
      • 気温が25度以下になった瞬間に減産する(それにともない工員を解雇する)

      増産するには、働く人を増やし工場のラインの新設が必要になります。そう簡単にできることではありません。減産の場合は、どの逆のことをやる必要があります。そもそも、従業員の採用と解雇を、気温を理由に秒で行うことはできません。衝撃の提案ですが、似たようなことを、たまに見かけます。ほぼ、現場理解が足りていないことによる想像力不足です。

       

      この提案はボツになりましたが、彼の愚痴を聞く限り「やる気が足りない。やとうと思っていない。現状維持のぬるま湯に噛まんじている」という感じでした。本当に「やる気が足りない。やとうと思っていない。現状維持のぬるま湯に噛まんじている」という理由で、データ活用の提案をボツになることもあるため、彼の愚痴を一概に否定することはできません。非現実すぎてボツになったのか、やる気の問題でボツになったのか、そこを履き違えると不幸なことになりそうです。気をつけたいものです。

       

      次回に続きます。

       

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      この記事の著者

      高橋 威知郎

      データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

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