高い塔に登って見渡せば、遠くまで見渡せます。低い椅子の上から見渡せば、遠くまで見渡せません。低い椅子の上から下を見れば、足元(この場合、椅子の足元)は見えます。高い塔に登って下を見れば、その足元はよく見えません。高い塔に登って前を見れば、だいぶ先まで見えるだけでなく、後ろを振り向けば、だいぶ後ろまで見えます。将来予測も同じです。今回は「視座の高低と将来予測」というお話しをします。
【目次】
1.未来は過去の延長線に過ぎない
2.賢者は歴史に学ぶ
3.予測モデルも歴史に学ぶ
4.人と予測モデルのコラボレーション
【この連載の前回:データ分析講座(その260)予測モデルの構築活用は現場がキーになるへのリンク】
1.未来は過去の延長線に過ぎない
当然ですが、未来は過去の延長線上にあります。延長線といっても、全く同じことが淡々と行われる、といっているわけではありません。過去の積み重ねと時代のうねりが「今」を形作り「未来」へとつながっています。
厳密には、人間は「今」しか生きることはできませんし「今」以外は人間の意識の中にある過去と未来という概念でしかありません。その概念を見る上で、視座の高低は大きな要因になっていると思います。
2.賢者は歴史に学ぶ
ドイツ帝国の初代宰相を務めた鉄血宰相ビスマルクの言葉に「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というものがあります。英語版では「Fools say they learn from experience. I prefer to learn from the experience of others.」となっているので「愚者は経験に学ぶと言われている。私は他人の経験から学ぶのを好む。」となるでしょう。
その学びの中に、過去の客観性の高いデータ(定性的な事例含む)から学ぶ、ということも含まれていることでしょう。もちろん、経験からしか学べないこともありますが、その成功打率を上げるには、過去の客観性の高いデータ(定性的な事例含む)から学ぶことは、非常に有用です。
3.予測モデルも歴史に学ぶ
高い塔に登って後ろを振り向いたときにそれが歴史(客観性の高いデータ)であれば、前を見たときにそれなりに有用な将来予測をすることができる、ということです。過去の客観性の高いデータの期間が長いほど、先を予測できる可能性が高まります。
例えば、過去1ヶ月間のデータがないのに、1年先を予測することは非常に難度が高いのです。10年間のデータがあれば、1年先を予測することはできることでしょう。その過去データが改ざんされていない客観性の高くきれいなデータであれば、なおさらです。
使えないデータほど、いい加減で汚いデータです。将来を見通すには、過去の見通しをよくすることが重要です。
4.人と予測モデルのコラボレーション
予測モデルに、予測行為そのものを丸投げしてもいいですが、人とコラボしたほうが、より高精度な何かを掴むことができます。なぜならば、この世のあらゆることがデータ化されているわけではないからです。データ化されていない事象...