◆ データ分析から発見されるのは「お宝」というより「見落とされていた事実」
データマイニングブームの影響もあり、データ分析そのものに対して「お宝を発見する」かのような錯覚があります。多くの場合、実際どのようなことが分析によって発見されるのでしょうか。多くの場合「お宝」というより「見落とされていた事実」が見つかります。つまり、お宝などは滅多に発見されることもなく、分析結果の多くは地味なものです。その地味なことが非常に重要で、データ分析をするメリットであると私は考えています。
今回は「データ分析から発見されるのは、『お宝』というより『見落とされていた事実』」というお話しをします。
1. データ分析から発見されるのは「見落とされていた事実」
データはあくまでも過去の記録です。未来を記録するものではありません。「発見される」といっても、単に「見落とされていた事実を発見する」だけです。仕事に対する意識の高い人や、洞察力の優れている人からすると、データから発見される「見落とされていた事実」は非常に少ないことでしょう。
2. データ分析に興味を持つ人
今では、ビッグデータやAIブームの影響もあり、多くの人がデータ分析・活用そのものに対し関心を寄せてくれます。しかし、今から10年~15年前、これらに関心を寄せる人は、ほんの一部の人たちだけでした。では当時、データ分析そのものに対し、組織の中で最初に興味を持つ人は、どのような人だったでしょうか?最初に興味を持つ人の多くは、仕事に対する意識の高い人や、洞察力の優れている人が、多かった気がします。
3. 残念なデータ分析結果
意識の高い人や、洞察力のある人とデータ分析をすると、彼ら・彼女らにとって残念な事が起こります。データ分析からはデータマイニング的な「お宝」は発見されず「当たり前のことの再確認」ばかりになってしまうのです。「お宝」を期待していたのですから、非常に残念な気持ちになったことでしょう。「当たり前のことの再確認」は、それはそれで非常に重要なことです。
4. データ分析:「当たり前のことの再確認」の重要性
例えば、安全保障系のデータ分析はリスクを低減させることに役立っています。言い換えると、一発逆転的なデータ分析ではなく、リスクを減らし確実性を増すために役立っている、ということです。安全保障系に限らず他のデータ分析も、そのようなものだと思います。野球でいうところの、ホームランバッターではなくアベレージヒッターのイメージです。コツコツ、ヒットを重ね打率を上げていく感じです。
5. データ分析:どのようにしてアベレージヒッターを目指すのか
データ分析は、例えば「勘違いを是正する」際や「過去の失敗をできるだけ避ける」などということに役立ちます。「勘違いを是正する」とは、データ分析によって数字などでズバッと示されることで、勘違いを改めるということです。「過去の失敗をできるだけ避ける」とは、データ分析によって成功確率やコストパフォーマンスを上げていくということです。つまりデータ分析・活用はマイナス面を減らすことに非常に役立ちます。
6. データ分析:当たり前の事実を共有しよう!
そもそも、仕事に対する意識の高い人や、洞察力の優れている人にとって「当たり前の事実」であっても、他の人にとっては「当たり前の事実」ではないかもしれません。重要なのは、組織として関係者が共通して「当たり前の事実」として認識しているかどうかです。データ分析によって数字などで「当たり前の事実」がズバッと示されると、言葉だけよりも分かりやすく伝わりやすいことでしょう。このように、データ分析でお宝が...