CLTV:顧客生涯価値は、有料顧客であり続ける全期間において、どれだけの金額をビジネスにもたらすかを示す指標です。どの顧客の顧客生涯価値が高く、どの顧客の顧客生涯価値が低いのかを見積もることは、ビジネス活動をする上で非常に有用です。
例えば、リードを選別するとき、顧客生涯価値が低いよりも高くなりそうなリードを優先した方がいいでしょうし、既存顧客の対応に強弱を付けたいとき、顧客生涯価値が低いよりも高くなりそうなリードを優先した方がいいでしょう。
さらに、離反しそうな顧客に対応を打つときも、顧客生涯価値が低いよりも高くなりそうなリードを優先した方がいいでしょう。顧客生涯価値を知ることで、色々なデータ活用ができそうです。今回は「ビジネスに不可欠なCLTV(顧客生涯価値)とは?」というお話しをします。
【目次】
1. 顧客獲得よりも顧客維持
2. 顧客を獲得し維持し続けるコスト
3. CLTV(顧客生涯価値)の計算式
4. 継続率ベースで見積もるCLTV(顧客生涯価値)
5. 購買頻度ベースで見積もるCLTV(顧客生涯価値)
6. 全体と個別で見積もろう
【この連載の前回:データ分析講座(その257)カテゴリー構築指数とブランド構築指数へのリンク】
1. 顧客獲得よりも顧客維持
CLTV(顧客生涯価値)のスタンスは、顧客獲得よりも顧客維持へ比重をかけることです。いかに離反させずに継続させるのか、ということが最大の関心事になります。顧客獲得よりも顧客維持へ比重をかけるとは、単に既存顧客の継続に注力するというだけでなく、顧客獲得時も顧客維持を念頭に注力する、ということになります。そう考えると、離反しにくくCLTV(顧客生涯価値)が高くなる可能性の高い顧客を獲得した方が良さそうです。
2. 顧客を獲得し維持し続けるコスト
顧客を獲得し維持し続けるには、コストが必要になります。大きく2種類あります。
- 顧客獲得コスト(CAC: Customer Acquisition Costs)
- サービス提供コスト(CS: Cost to Serve)
顧客獲得コストは顧客獲得のための一回限りのコストで、サービス提供コストは継続的なコストです。CLTV(顧客生涯価値)が分かると、顧客獲得コストがどのくらいの期間で回収できるかが分かります。サービス提供コストは、顧客のよって大きく変動する可能性があります。サービス提供コストが高すぎると、顧客獲得コストの回収ができず、最悪赤字で終わります。
3. CLTV(顧客生涯価値)の計算式
サブスクビジネスのような、各顧客の売上高が安定しているビジネスの場合、CLTV(顧客生涯価値)を以下のように計算できます。
CLTV = ( ACR - CS ) × D - CAC
ACR:年間顧客収益(Annual Customer Revenue、受注金額の顧客あたりの年平均)
D:顧客年数
CAC:顧客獲得コスト
CS:年間サービス提供コスト
D(顧客年数)の代わりに、継続率(RR: Retention Rate)を利用した見積もり方法があります。
4. 継続率ベースで見積もるCLTV(顧客生涯価値)
CLTV(顧客生涯価値)を、継続率ベースで見積もる方法が最もメジャーでしょう。
CLTV = ( ACR - CS ) × RR ÷ ( 1 + d- RR ) - CAC
RR: 継続率(Retention Rate)
d: インフレを考慮した平均割引率
継続率(RR: Retention Rate)が大きく変わらないという前提があります。もしくは、継続率を継続期間に応じて変化させるモデルでもいいでしょう。ただ、1%でも継続率(RR: Retention Rate)があれば、100年も200年も永続的に収益が発生することになるため、実務的には期間に上限(例:10年先まで、など)を設けることがあります。
5. 購買頻度ベースで見積もるCLTV(顧客生涯価値)
ECサイトなどの一般消費者などを対象にしたビジネスの場合、1年間の内に何度も購買してくれます。
この場合、購買頻度と平均購買金額をもとに、CLTV(顧客生涯価値)します。
CLTV = APFR × APP × ACL
APFR:平均購買頻度(Average Purchase Frequency Rate)
APP:平均購買金額(Average Purchase Price)
ACL:平均顧客期間(Average Customer Lifespan)
こちらも、実務的には顧客期間に上限(例:10年先まで、など)を設けることがあります。そもそも、そのサービスが未来永劫続いている保証はありません。
6. 全体と個別で見積もろう
3種類のCLTV(...