データとドメインを結びつけ価値創造する者 データ分析講座(その129)

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情報マネジメント

◆ データエコノミーな時代に必須なデータサイエンス

 ビッグデータの時代と呼ばれて久しいようです。企業活動や人の行動などのデータが、日々大量に生み出されています。加速することはあっても減速することはないでしょう。この大量に生み出されたデータを上手く使い、競争力を高め収益を拡大しつづけ、データエコノミーを創造する企業が力を得ています。その代表格がGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)と呼ばれる米国系企業でしょう。今回は「データエコノミーな時代に必須なデータサイエンス」というお話をします。

1、データを持てる者と持たざる者

 このままでは、データが競争優位性の鍵を握り「データを持てる者と持たざる者」といった感じになってきそうです。その代表格がGAFAですが、データだけで何かをしているのではなく、データを上手く活用し何かをしています。たまにデータを集めて何かしろ的なことを仰る人もいますが、そこは間違えてはいけないでしょう。類まれなビジネスアイデアや圧倒的なスピードなど、データ以外の何かと結びついて、花が咲いているわけですから。

2、データがいくらあっても仕方がない

 そもそもデータがいくらあってもドメインと適切に結び付け、競争優位を築き続けるスパイラルを構築しないことには、そのデータはいわゆる宝の持ち腐れになります。ドメインとは簡単にいうと、データの活用領域のことです。例えば、生産や営業、経営の現場などのことです。このドメインとデータがまず適切に結びつくことが必要になります。ドメインと適切に結びついていない状態のデータは、生かしどころの無い飼い殺し状態です。そうならないために、データとドメインを結びつけ価値を創造するデータサイエンス技術と、その人財であるデータサイエンティストが必要となります。

3、EU、一般データ保護規則:GDPR

 最近ある一部で何かと話題の「EU、一般データ保護規則:GDPR」(General Data Protection Regulation)。EUで、2018年から開始された個人情報保護の規制強化の動きです。幾つかポイントとなる箇所はあります。その中の一つに「データポータビリティー権」というものがあります。

(1) データポータビリティー権

 データポータビリティー権とは、今まで企業などが収集し囲い込んでいた個人データを、各個人が自己管理しコントロールできるようにする権利です。例えば各個人が、自分自身の個人データへアクセスしたり、持ち出したり、移転したりすることなどが可能となります。移転とは、あるサービスで発生し蓄積された個人データを、異なるサービスで利用することです。つまり個人データの持ち運ぶ(ポータビリティー)権利が、データを蓄積した企業などではなく個人に帰属することになります。

(2) 「データを持てる者と持たざる者」の解消

 データポータビリティー権によって「データを持てる者と持たざる者」といったことの解消が期待されます。つまり、いくら個人データを集めてもそのデータ囲い込むことができず、個人データの主である個人が望めば、そのデータが他社に渡る可能性があるのです。すでにGoogleにはGoogle Takeout(https://takeout.google.com/)というサービスがあり、各個人が自分自身のデータを取り出すことができます。

(3) データ流通の仕組み作り

 データポータビリティー権があっても、自分の個人データを持ち出し、他のサービスに移転するためには、何かしらの仕組みが無いとどうしようもありません。そのための動きの一つとして、情報銀行やデータ取引所などのデータを流通するための社会的機能の検討が、国レベルでなされています。ちなみにここで流通するデータは、個人データだけに限りません。センサーデータでも企業活動データなど、あらゆるデータが対象になります。日本では政府や行政レベルだけではなく、すでに民間レベルで検討が始められています。例えば一般社団法人データ流通推進協議会(https://data-trading.org/)などです。

4、データシェアリング

 特定の企業や団体がデータを囲い組む時代から、多くの企業や団体でデータをシェアする時代に突入するかもしれません。創業したてのベンチャー企業でも、大企業が長年蓄積したデータを使えるようになったり、個人が望めば競合他社に集めた個人データが提供されようになったりするかもしれない、ということです。「データを囲い込むことよりも、データとドメインを結びつけ価値を創造するデータサイエンスが、今まで以上に重要になってくる」ということです。

5、データサイエンス力がものをいう時代へ

 要するに、データを囲い込んでいるかどうか以上に、データサイエンス力やサービス開発・提供力、提供価格などがポイントになってくるのです。しかしながら、デ...

情報マネジメント

◆ データエコノミーな時代に必須なデータサイエンス

 ビッグデータの時代と呼ばれて久しいようです。企業活動や人の行動などのデータが、日々大量に生み出されています。加速することはあっても減速することはないでしょう。この大量に生み出されたデータを上手く使い、競争力を高め収益を拡大しつづけ、データエコノミーを創造する企業が力を得ています。その代表格がGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)と呼ばれる米国系企業でしょう。今回は「データエコノミーな時代に必須なデータサイエンス」というお話をします。

1、データを持てる者と持たざる者

 このままでは、データが競争優位性の鍵を握り「データを持てる者と持たざる者」といった感じになってきそうです。その代表格がGAFAですが、データだけで何かをしているのではなく、データを上手く活用し何かをしています。たまにデータを集めて何かしろ的なことを仰る人もいますが、そこは間違えてはいけないでしょう。類まれなビジネスアイデアや圧倒的なスピードなど、データ以外の何かと結びついて、花が咲いているわけですから。

2、データがいくらあっても仕方がない

 そもそもデータがいくらあってもドメインと適切に結び付け、競争優位を築き続けるスパイラルを構築しないことには、そのデータはいわゆる宝の持ち腐れになります。ドメインとは簡単にいうと、データの活用領域のことです。例えば、生産や営業、経営の現場などのことです。このドメインとデータがまず適切に結びつくことが必要になります。ドメインと適切に結びついていない状態のデータは、生かしどころの無い飼い殺し状態です。そうならないために、データとドメインを結びつけ価値を創造するデータサイエンス技術と、その人財であるデータサイエンティストが必要となります。

3、EU、一般データ保護規則:GDPR

 最近ある一部で何かと話題の「EU、一般データ保護規則:GDPR」(General Data Protection Regulation)。EUで、2018年から開始された個人情報保護の規制強化の動きです。幾つかポイントとなる箇所はあります。その中の一つに「データポータビリティー権」というものがあります。

(1) データポータビリティー権

 データポータビリティー権とは、今まで企業などが収集し囲い込んでいた個人データを、各個人が自己管理しコントロールできるようにする権利です。例えば各個人が、自分自身の個人データへアクセスしたり、持ち出したり、移転したりすることなどが可能となります。移転とは、あるサービスで発生し蓄積された個人データを、異なるサービスで利用することです。つまり個人データの持ち運ぶ(ポータビリティー)権利が、データを蓄積した企業などではなく個人に帰属することになります。

(2) 「データを持てる者と持たざる者」の解消

 データポータビリティー権によって「データを持てる者と持たざる者」といったことの解消が期待されます。つまり、いくら個人データを集めてもそのデータ囲い込むことができず、個人データの主である個人が望めば、そのデータが他社に渡る可能性があるのです。すでにGoogleにはGoogle Takeout(https://takeout.google.com/)というサービスがあり、各個人が自分自身のデータを取り出すことができます。

(3) データ流通の仕組み作り

 データポータビリティー権があっても、自分の個人データを持ち出し、他のサービスに移転するためには、何かしらの仕組みが無いとどうしようもありません。そのための動きの一つとして、情報銀行やデータ取引所などのデータを流通するための社会的機能の検討が、国レベルでなされています。ちなみにここで流通するデータは、個人データだけに限りません。センサーデータでも企業活動データなど、あらゆるデータが対象になります。日本では政府や行政レベルだけではなく、すでに民間レベルで検討が始められています。例えば一般社団法人データ流通推進協議会(https://data-trading.org/)などです。

4、データシェアリング

 特定の企業や団体がデータを囲い組む時代から、多くの企業や団体でデータをシェアする時代に突入するかもしれません。創業したてのベンチャー企業でも、大企業が長年蓄積したデータを使えるようになったり、個人が望めば競合他社に集めた個人データが提供されようになったりするかもしれない、ということです。「データを囲い込むことよりも、データとドメインを結びつけ価値を創造するデータサイエンスが、今まで以上に重要になってくる」ということです。

5、データサイエンス力がものをいう時代へ

 要するに、データを囲い込んでいるかどうか以上に、データサイエンス力やサービス開発・提供力、提供価格などがポイントになってくるのです。しかしながら、データを発生させ蓄積する企業などが有利であることには変わりません。なぜならば、自分たちのビジネスに使いやすいようなデータを積極的に発生させ蓄積するからです。さらにはデータ取引所などを通し、そのデータを販売し新たな収益源にすることもできます。

6、今回のまとめ

 今回は「データエコノミーな時代に必須なデータサイエンス」というお話をしました。データが競争優位性の鍵を握り「データを持てる者と持たざる者」といった感じになってきています。一方で「EU一般データ保護規則GDPR」のデータポータビリティー権のようなものも出てきています。データポータビリティー権によって「データを持てる者と持たざる者」といったことが解消されるかもしれません。なぜならば、いくら個人データを集めてもそのデータ囲い込むことができず、個人データの主である個人が望めば、そのデータが他社に渡る可能性があるのです。
 特定の企業や団体がデータを囲い組む時代から、多くの企業や団体でデータをシェアする時代に突入するかもしれません。データとドメインを結びつけ価値を創造するデータサイエンス技術が今まで以上に必要とされ、その人財であるデータサイエンティストもこれからますます必要となることでしょう。

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この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

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