15年以上前の顧客データ分析は、性別や年代、居住地などの顧客のハードな特性を活用したものが多い印象があります。マーケティングの世界のペルソナ設定(架空のユーザー像)で登場するような特性です。実際、マーケティングの世界で比較的よく利用される因子分析やクラスター分析などは、顧客のハードな特性(性格・価値観・趣味嗜好・ライフスタイルなど)をもとにしたものが多い気がします。ここ10年ぐらいの間に、日々変化する顧客のソフトな特性を組み込むケースが増えてきました。今回は、「顧客のハードな特性とソフトな特性を使いこなしデータ活用」というお話しをします。
【目次】
1.顧客のソフトな特性とは?
2.クラスターが変わる
3.変化させたいのに、変化させたくない
4.例えば…… 商品レコメンド
5.評価や企画時と、データ活用時で粒度を変える
【この連載の前回:データ分析講座(その236)予測と事実と感想へのリンク】
1.顧客のソフトな特性とは?
顧客のソフトな特性とは何なの? と疑問に思われた方もいるかもしれません。
例えば……
- 来店記録
- 閲覧履歴
- 問合履歴
- 相談履歴
- 見積履歴
- 購入履歴
- クレーム履歴
- 下取履歴
……などの過去の行動や接点の履歴です。日々アップデートされます。
2.クラスターが変わる
顧客のハードな特性を使ったデータ分析への思い入れなのか、強烈な成功体験なのか、昔学んだことの記憶のせいかのか分かりませんが、たまに次にような方がいます。「データをアップデートしクラスター分析すると、クラスター分析結果が変化し困る」顧客のハードな特性を元にクラスター分析をしていれば、クラスター分析の元データである特性がそもそも大きく変化しないため、そうそう変わることはありません。
しかし、そこに顧客のソフトな特性を入れ込むと、クラスター分析するたびにクラスター分析結果が変わります。当たり前です。
3.変化させたいのに、変化させたくない
顧客との関係性をより良くしたいと目論見、何かしらの施策を実施したのに、顧客行動が変化しなかったら失敗です。上手くいけば、顧客行動は大きく変化するはずです。顧客行動が変化すれば、クラスター分析結果も当然ながら変化します。
クラスター分析結果の変化を望まないということは、顧客行動が大きく変化することを望まないということです。つまり、顧客との関係性をより良くしたいと目論んでいるのに、顧客行動が大きく変化することは望まない、という意味不明な状態に陥ります。
4.例えば…… 商品レコメンド
○○ユーザや○○クラスターなどのように、顧客を幾つかの塊にしデータ分析する時代が長すぎました。これはこれで、現状把握や思考整理、施策立案などをする場合には役立つことでしょう。ただ、顧客1人1人を相手にしたとき、どうでしょうか?ある顧客が次に購入し易そうな商品を予測し、顧客にレコメンドする、などです。
例えば、○○ユーザや○○クラスターなどのように顧客を幾つかの塊にし、次に購入しそうな商品を予測し、その予測結果を使い商品をレコメンドしたらどうでしょうか?似たような顧客(実はハードな特性が似ているだけ)であっても、よくよく見ると異なる(特にソフトな特性が異なる)ため、その予測はあまり当てになりません。であれば、顧客1人1人に対し、次に購入しそうな商品を予測し、その予測結果を使い商品をレコメンドした方がいいでしょう。
それを実現したのが、AmazonなどのECサイトの商品レコメンドです。
◆関連解説記事 データ分析講座(その187)ケーススタディ①「リード(見込み顧客)の選別」
5.評価や企画時と、データ活用時で粒度を変える
○○ユーザや○○クラスターなどのように、顧客を幾つかの塊にしたデータ分析は、先ほども言いましたが、現状把握や思考整理、施策立案などをする場合には役立つことでしょう。要するに、ビジネス活動のPDCAサイクルのC(評価)やP(企画)時です。
なぜでしょうか?例えば、顧客が100万人いるとします。顧...