完璧にデータを集めなければならないのか データ分析講座(その220)

投稿日

データ分析

 

【この連載の前回:データ分析講座(その219)現場感とデータ分析へのリンク】

データ分析・活用を始めようと考えたとき、データ収集から始めることがあります。そのとき、完璧にデータを集めようと考える人も少なくありません。しかし、データ分析・活用(データサイエンス実践)をする前に想像する必要そうなデータは、妄想にしかすぎません。今回は、「完璧にデータを集めなければならないという勘違い」というお話しをします。

【目次】
1.どう活用していいか分からない問題
2.妄想と現実のギャップ
3.データにも80:20の法則がある
4.2つの視点(使用頻度と影響度)
(1)使用頻度:よく使うデータ
(2)影響度:影響の大きなデータ

 

1.どう活用していいか分からない問題

いざデータ活用を始めようと考え、データをある程度集めたとき、次にようなつぶやきは以前からあります。「このデータ、どう活用していいか分からない」目的を明確に定めても、このつぶやきは起こりえます。

 

データ分析・活用(データサイエンス実践)をする前に、データを完璧に把握することは難しいのです。他社を参考にしても、自社の他部署を参考にしても、難しいのです。一人一人の人間が異なるように、データ分析・活用(データサイエンス実践)も異なります。参考にはなりますが、まったく同じにはなりません。

 

2.妄想と現実のギャップ

要するに、妄想と現実にはギャップがあるということです。データ分析・活用(データサイエンス実践)をすると、絶対必要と思ったデータがそれほど必要でなかったり、あればいいかなぐらいのデータが必要不可欠だったりします。想像もしなかったデータが見えたりします。多くの場合、想像していたデータとは異なるデータが必要になるのではないでしょうか。

 

何が必要なのかは、今あるデータや手に入りやすいデータだけででもいいから、データ分析・活用(データサイエンス実践)を実施してこないと見えてきません。

 

そのときはじめて……

  • すでにあるデータは?
  • 追加で入手できそうなデータは?
  • 購入できそうなデータは?
  • 他のデータで代替できないか?

……などを検討し、データ分析・活用(データサイエンス実践)を実施しながらデータ収集を検討し実施するのがいいでしょう。

 

3.データにも80:20の法則がある

パレートの法則で有名な「80:20の法則」ですが、データの世界にも当てはまる気がします。集めたデータが平等に使われるのではなく、よく使われるデータと、あまり使われないデータに分かれると言うことです。また、同じように使われたデータでも、影響度が大きいデータと、そうでもないデータもあります。

 

4.2つの視点(使用頻度と影響度)

幾つかの視点がありますが、例えば次の2つの視点で考えると分かりやすいでしょう。

  • 使用頻度
  • 影響度

絶対集めるべきデータは、使用頻度が高くかつ影響度の大きなデータです。データ分析・活用(データサイエンス実践)をする前や、データ分析を実施したり数理モデルを構築する前に、完璧に把握することは、非常に難しいと思います。

 

(1)使用頻度:よく使うデータ

データ分析・活用(データサイエンス実践)を色々実施していくと、よく使うデータとそうでもないデータがあることに気が付くと思います。とりあえずこのデータ項目はデータセットに含めておこう、という形で常にデータセットに登場するデータ項目があります。一方で、まったくデータセットに登場しないデータ項目もあります。

 

データ分析・活用(データサイエンス実践)をする前に、ある程度想像も付きますが、たまに想像もつかないようなデータ項目が、頻繁に活用されることがあります。業種や企業、部署などによって、頻繁に活用されるデータ項目が微妙に異なってきます。

 

1点注意点があります。データセットに登場しないデータ項目の理由が、欠測値や異常値だらけでデータが不完全であるという理由や、データ収集されていないという理由なども考えられます。「データが不完全であるという理由」や「データ収集されていないという理由」などの理由で、データセットから除外するのは止めましょう。必要そうであれば、不完全であろうが収集されていなかろうが、データセットの中に含めておきましょう。

 

実際は、データ分析やモデル構築などには使いませんが、「ちゃんとしたデータを集めよう」「データ収集する仕組みを作ろう」という感じの意識づけというかプレッシャーにもなりますし、「本当は必要だけど考慮されていない情報が何か」(解釈上重要)が分かり...

データ分析

 

【この連載の前回:データ分析講座(その219)現場感とデータ分析へのリンク】

データ分析・活用を始めようと考えたとき、データ収集から始めることがあります。そのとき、完璧にデータを集めようと考える人も少なくありません。しかし、データ分析・活用(データサイエンス実践)をする前に想像する必要そうなデータは、妄想にしかすぎません。今回は、「完璧にデータを集めなければならないという勘違い」というお話しをします。

【目次】
1.どう活用していいか分からない問題
2.妄想と現実のギャップ
3.データにも80:20の法則がある
4.2つの視点(使用頻度と影響度)
(1)使用頻度:よく使うデータ
(2)影響度:影響の大きなデータ

 

1.どう活用していいか分からない問題

いざデータ活用を始めようと考え、データをある程度集めたとき、次にようなつぶやきは以前からあります。「このデータ、どう活用していいか分からない」目的を明確に定めても、このつぶやきは起こりえます。

 

データ分析・活用(データサイエンス実践)をする前に、データを完璧に把握することは難しいのです。他社を参考にしても、自社の他部署を参考にしても、難しいのです。一人一人の人間が異なるように、データ分析・活用(データサイエンス実践)も異なります。参考にはなりますが、まったく同じにはなりません。

 

2.妄想と現実のギャップ

要するに、妄想と現実にはギャップがあるということです。データ分析・活用(データサイエンス実践)をすると、絶対必要と思ったデータがそれほど必要でなかったり、あればいいかなぐらいのデータが必要不可欠だったりします。想像もしなかったデータが見えたりします。多くの場合、想像していたデータとは異なるデータが必要になるのではないでしょうか。

 

何が必要なのかは、今あるデータや手に入りやすいデータだけででもいいから、データ分析・活用(データサイエンス実践)を実施してこないと見えてきません。

 

そのときはじめて……

  • すでにあるデータは?
  • 追加で入手できそうなデータは?
  • 購入できそうなデータは?
  • 他のデータで代替できないか?

……などを検討し、データ分析・活用(データサイエンス実践)を実施しながらデータ収集を検討し実施するのがいいでしょう。

 

3.データにも80:20の法則がある

パレートの法則で有名な「80:20の法則」ですが、データの世界にも当てはまる気がします。集めたデータが平等に使われるのではなく、よく使われるデータと、あまり使われないデータに分かれると言うことです。また、同じように使われたデータでも、影響度が大きいデータと、そうでもないデータもあります。

 

4.2つの視点(使用頻度と影響度)

幾つかの視点がありますが、例えば次の2つの視点で考えると分かりやすいでしょう。

  • 使用頻度
  • 影響度

絶対集めるべきデータは、使用頻度が高くかつ影響度の大きなデータです。データ分析・活用(データサイエンス実践)をする前や、データ分析を実施したり数理モデルを構築する前に、完璧に把握することは、非常に難しいと思います。

 

(1)使用頻度:よく使うデータ

データ分析・活用(データサイエンス実践)を色々実施していくと、よく使うデータとそうでもないデータがあることに気が付くと思います。とりあえずこのデータ項目はデータセットに含めておこう、という形で常にデータセットに登場するデータ項目があります。一方で、まったくデータセットに登場しないデータ項目もあります。

 

データ分析・活用(データサイエンス実践)をする前に、ある程度想像も付きますが、たまに想像もつかないようなデータ項目が、頻繁に活用されることがあります。業種や企業、部署などによって、頻繁に活用されるデータ項目が微妙に異なってきます。

 

1点注意点があります。データセットに登場しないデータ項目の理由が、欠測値や異常値だらけでデータが不完全であるという理由や、データ収集されていないという理由なども考えられます。「データが不完全であるという理由」や「データ収集されていないという理由」などの理由で、データセットから除外するのは止めましょう。必要そうであれば、不完全であろうが収集されていなかろうが、データセットの中に含めておきましょう。

 

実際は、データ分析やモデル構築などには使いませんが、「ちゃんとしたデータを集めよう」「データ収集する仕組みを作ろう」という感じの意識づけというかプレッシャーにもなりますし、「本当は必要だけど考慮されていない情報が何か」(解釈上重要)が分かります。

 

(2)影響度:影響の大きなデータ

いつもデータセットの中には登場するけど、正直あってもなくても、分析結果や予測結果などに大きな影響を与えないようなデータ項目もあります。

 

逆に、データセットの中にたまに登場するけど、ある課題解決上重要なデータ項目もあります。当然ですが、大きな影響を与えるようなデータ項目は、非常に重要です。先ほどの「使用頻度」と合わせると、次にようなマップを描けると思います。

 

データ分析

 

「使用頻度」も「影響度」も、実際にデータ分析・活用(データサイエンス実践)をしなければ、分かりません。「使用頻度」も「影響度」も高そうなデータを準備してみて、本当のところどうであろうかと検討しながら、出来る限りきちんと集め整備すべきデータと、そうでもないデータを見極めていく作業が必要になります。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)


「情報マネジメント一般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
収益につながるデータ分析 データ分析講座(その6)

  ◆ データが無いと思ったらあったので、取引拡大に利用してみた  「ビッグデータ、ビッグデータと言うけど、うちの会社にデータと言えるよ...

  ◆ データが無いと思ったらあったので、取引拡大に利用してみた  「ビッグデータ、ビッグデータと言うけど、うちの会社にデータと言えるよ...


中小製造業のためのバックオフィスDX化戦略

  【目次】 中小製造業向けのバックオフィス関連SaaS(Software as a Service)は、業務の効率化と...

  【目次】 中小製造業向けのバックオフィス関連SaaS(Software as a Service)は、業務の効率化と...


意思決定者に必要なのは数学的思考法:データ分析講座(その367)

【目次】  ▼さらに深く学ぶなら!「データ分析」に関するセミナーはこちら! ▼さらに幅広く学ぶなら!「分野別のカリキュラ...

【目次】  ▼さらに深く学ぶなら!「データ分析」に関するセミナーはこちら! ▼さらに幅広く学ぶなら!「分野別のカリキュラ...


「情報マネジメント一般」の活用事例

もっと見る
個票データの共用化でコストダウン

 データ解析の効率は、生データとその整理の仕方で大きく異なると言えます。 例えば、アンケート結果は単なる生データであり、そのままでは解析出来ません。解析の...

 データ解析の効率は、生データとその整理の仕方で大きく異なると言えます。 例えば、アンケート結果は単なる生データであり、そのままでは解析出来ません。解析の...


‐販路開拓に関する問題事例‐ 製品・技術開発力強化策の事例(その19)

 前回の事例その18に続いて解説します。多額の資金と労力を費やして開発した知的財産をどのように活用して販路開拓に結びつけるのか、大変重要な問題ですが、販売...

 前回の事例その18に続いて解説します。多額の資金と労力を費やして開発した知的財産をどのように活用して販路開拓に結びつけるのか、大変重要な問題ですが、販売...


‐情報収集で配慮すべき事項(第2回)‐  製品・技術開発力強化策の事例(その10)

 前回の事例その9に続いて解説します。ある目的で情報収集を開始する時には、始めに開発方針を明らかにして、目的意識を持って行動する必要があります。目的を明確...

 前回の事例その9に続いて解説します。ある目的で情報収集を開始する時には、始めに開発方針を明らかにして、目的意識を持って行動する必要があります。目的を明確...