前回まで、QC7つ道具について説明してきました。実はもう一つQC7つ道具があります。それは、次の新QC7つ道具です。
- 親和図法 ← 今回の説明対象
- 連関図法
- マトリクス法
- 系統図法
- アローダイアグラム
- PDPC法
- マトリクス解析法
この新QC7つ道具をビジネスの現場で認識せず、普通に使っている人も少なくありません。
1、新QC7つ道具とは
新QC7つ道具は、QC7つ道具と同様に品質管理で利用されている分析手法です。QC7つ道具は主に製造現場向けですが、新QC7つ道具は営業部門や企画部門などに対象範囲を広げたものです。どちらかというと、定性データの分析に向いています。
営業部門や企画部門などでは、数値化しにくい定性的な情報(例:テキストや頭の中にあるアイデア、エライ人の考え、現場の雰囲気など)を扱うことが多いためです。QC7つ道具と同様、統計の専門家でもデータ分析の専門家でもない現場の人が使っています。
今回は、新QC7つ道具の中で利用頻度の多い「親和図法(KJ法)」について説明します。
2、親和図法(KJ法)とは
親和図法は、KJ法ともいわれ、よくブレインストーミングで利用します。ブレインストーミングとは、日本語では集団発想法とも呼ばれ、集団で発想を誘発し合い、たくさんのアイデアを出す会議方式の一つです。そこで出された沢山のアイデアをまとめるのがKJ法になります。
(1) 4原則
ブレインストーミングの際、次の4原則を守ることで沢山のアイデアが抽出されます。
結論厳禁:
アイデアの批判、実現性、良し悪しなどの評価をし、アイデアに対し何かしら結論付けをすることで、他のアイデアを出にくくしてはならない
自由奔放:
誰もが思いつくようなアイデアや奇妙なアイデア、くだらないと一蹴されそうなアイデアでも、他人を気にせず思いついたことをどんどん話す
質より量:
素晴らしいアイデアを出そうと思わず、とにかく量を増やすことを重視する
結合改善:
他人のアイデアに便乗し、ちょっとずらしたアイデアでも、他人のアイデアにくっつけて新しいアイデアを作っても構わない
(2) 方法
親和図法(KJ法)そのもののやり方は非常に簡単で「発散→集約→要約」という流れになります。「発散」が今説明したアイデアを沢山出すブレインストーミングに該当します。「集約」で似たようなアイデアをグループ分けし、「要約」でそのグループに対し名前を付けします。この要約されたものが親和図法の成果物となります。
(3) 利用場面
親和図法(KJ法)の利用場面は、意外と多いことでしょう。
例えば…
- データ分析・活用のテーマのもととなる問題(お困りごと)を、洗い出し、まとめたり
- モニタリングや異常検知などの結果から、何が起こっているか思いつく限りを洗い出し、現状を整理したり
- 要因分析などの結果から、どのような対策を打つのが良さそ...