データを使って何かを予測する、データを使って答えを導き出す、それが最適なものであると最高です。しかし、多くの場合、データを上手く活用することで、「答えの方向性」は導いてくれます。しかし、データをいくら集め上手く活用しても、ピタリと答えを当てることはできません。どういうことでしょうか。例えば、データをいくら集めても、「来月の売上は53億4,987万9,287円になります」とピタリと当てる。「設備機器は再来月の2019年10月3日15:24に故障する」とピタリと当てる。ことはほぼ不可能です。もちろん奇跡的に当たるという事はあるかもしれませんが、それは奇跡であって当然のことではありません。今回は「データをいくら集めても、100発0中が当たり前」というお話しをします。
【目次】
1. 的に近いところの何かを提示することは可能
2 .データは「不確実」を「リスク」にするだけ
3. リスクとは?
4. 簡単な例
5. 2つのリスク
【この連載の前回:(その280)データで騙す預言者になるへのリンク】
1. 的に近いところの何かを提示することは可能
データを使ってピタリと当てることはほぼ不可能です。その代わり、的に近いところの何かを提示することは可能です。
例えば「来月の売上は50億です」と予測する。「設備機器は来月中にメンテンナンスしましょう」と提示する。ことは可能です。
データがない状態の場合は、答えの方向性すら分からない「的がない状態」です。データがある状態の場合は、答えの方向性の分かる「的がある状態」です。そして、それだけ的の中心に近づけるのかは、データの量や質、予測モデルなどに依存するということです。
2. データは「不確実」を「リスク」にするだけ
上手くデータを活用することで「何が起こるのか予測できない不確実な状況」を「何が起こるのか予測できる状況」にする。ことができます。
この「何が起こるのか予測できる状況」を「リスク」と言います。要するに、データは「不確実」を「リスク」にするするのです。
3. リスクとは?
データは「不確実」を「リスク」にするするという話を聞いて「意味が分からない!」という方もいるかもしれません。リスクという言葉にネガティブな印象を強く持たれている方であれば、「データでリスクが生まれるなら、そんなデータ活用は嫌だ!」と思うかもしれません。
データ分析・活用の世界では「リスク」は「不確かさ(ばらつき)の程度」を意味します。「ますます分からない!!」という方もいると思います。
4. 簡単な例
簡単な例(「銀行預金」と「宝くじ」の例)を使い「不確かさ(ばらつき)の程度」について説明します。今、あなたは100万円をもっているとします。あなたには2つの選択肢があります。
- 選択肢1:100万円すべてを銀行に預金する
- 選択肢2:100万円すべてを使い宝くじを買う
銀行預金をする場合と宝くじを買う場合とでは、1年後に得られるリターンと、その「不確かさ(ばらつき)の程度」(リスク)が異なります。銀行に預金すれば、100万円+α(金利分)のリターンをほぼ確実に得られることでしょう。
宝くじはどうでしょうか。リターンが0円の可能性もありますし、数億円になる可能性もあります。数億円になる確度は限りなく小さいことでしょう。この例では、銀行に預金する場合のリターンの「不確かさ(ばらつき)の程度」(リスク)が小さく、宝くじを買う場合のリターンの「...