◆ データ分析・活用テーマ、上からのテーマと下からのテーマ
データサイエンスを実践するときのテーマ、要はデータ分析・活用のテーマですが、あなたの場合には、どのように決まっているでしょうか。ざっくりエライ人から降ってきたテーマと、現場から湧き出てきたテーマがあります。もちろん、メリットとデメリットがあります。今回は「データ分析・活用テーマ、上からのテーマと下からのテーマ、よくよく考えると目的が異なることもある」というお話しです。
【目次】
1.視座の高さ
(1)期待される効果の大きさ
(2)パフォーマンス
(3)現実問題との整合性
2.実現可能性
(1)先ずは、上からのテーマよりも下からのテーマ
3.まとめ
1. 視座の高さ
視座の高さというポイントで考えてみます。
エライ人から降ってきた上からのテーマの方が、現場から湧き出てきた下からのテーマよりも、当然ながら高い可能性があります。ポジション的な要因や、持っている情報量などに依存するかと思います。個別最適よりも全体最適ということで、視座が高い方がいいでしょう。
(1) 期待される効果の大きさ
視座の高さと関連してくるのが、期待される効果の大きさです。現場から湧き出てきた下からのテーマの場合、影響範囲が自分の周囲に限られる可能性が高いため、自ずと期待さえる効果も小さくなりがちです。もしくは、他部署などへの波及効果が見積もれず、自部署だけの効果だけ見積もり、小さく見積もってしまう可能性もあります。
そのようなこともあり、エライ人から降ってきた上からのテーマの方が、効果を見積もると大きくなる可能性があります。勝手に、テーマとともに期待される効果(実現しなければならない効果)が降ってくることもありますが……
そして、多くの人の理解と協力を得られやすい、というポイントも見逃せません。
(2) パフォーマンス
ここで言うパフォーマンスとは、「性能」や「動作」などのことではなく、「演戯」や「芝居」などのことを指しています。経営層の関心の高いテーマや世の中受けするテーマを設定し、取り組んでいる風を装うパフォーマンスです。
データ分析・活用する現場無視で、受け狙いや取り組んでいるぞアピールのためだけの、無意味なデータサイエンスです。この危険性は、エライ人から降ってきた上からのテーマの方が高い印象があります。
(3) 現実問題との整合性
受け狙いや取り組んでいるぞアピールのためだけの、パフォーマンス目的のテーマの場合、当然ながら現実問題との整合性はありません。現実問題をヒントに作られても、目的がパフォーマンス狙いになるため、現実問題から離れていきます。要するに、会社や組織にとって、やっているアピール以外のメリットはない、という感じになります。
全国紙や経済紙などに取り上げられ、一時的な株価上昇をもたらすかもしれませんが、PL(損益計算書)に響くような成果(売上や営業利益などのアップなど)を上げることなく、やったことがあるとう思い出で終わります。
このようなテーマに取り組んでも、何も成果を得ることはできないため、データを活用したプロジェクトに関わったメンバーのモチベーションを大きく下げる可能性があります。これも、エライ人から降ってきた上からのテーマの方が高い印象があります。
では、なぜ成果がでないのでしょうか?それは、実現可能性が低いからです。
2. 実現可能性
実現可能性が低いテーマは、上手くいきません。なぜならば、実現する可能性が低いからです。実現できないものは実現できません。
100メートルを5秒台で走れ! と言われても無理です。100メートルを2秒台で泳げ! と言われても無理です。背中から自分の羽を出せ! と言われても無理です。その羽で自分の力だけで太陽まで飛べ! と言われても無理です。
今、極端な例を挙げましたが、このようなテーマ設定は意外とあります。エライ人から降ってきた上からのテーマの方が、現場から湧き出てきた下からのテーマよりも、実現可能性が低い可能性があります。論理的に考えて無理なケースもありますが、論理的な考えると行けるけどダメなケースもあります。それは「当事者意識」、「モチベーション」、「納得感」などの心の問題です。
(1) 先ずは、上からのテーマよりも下からのテーマ
データサイエンスやデータ分析などで、それなりの成果を出せていないのならば、現場から湧き出てきた下からのテーマからチャレンジした方がいいでしょう。壮大なエライ人から降ってきた上からのテーマよりも、期待される効果は小さいかもしれませんが、成功確率は高まります。データサイエンスやデータ分析などで...