【この連載の前回:データ分析講座(その255)生存時間分析とはへのリンク】
簡単に計算できそうでできない指標の1つに、市場シェアという指標があります。市場をどのように定義するのかで値は変わってきますし、市場シェアの計算単位を金額で考えるのか数量で考えるのかでも値は変わってきます。市場計算するときの期間を短くすると計算するたびに大きく変動するし、期間が長くするとデータ取得コストが大きくなるし、どのくらいに設定すればいいのか、といった問題もでてきます。そもそも、市場シェアという概念も色々なものがあり、大きく3種類の定義があります。今回は「覚えておいて損のない3つの市場シェア」というお話しをします。
【目次】
1.3つの市場シェアとは?
2.基本的な市場シェア(金額ベース・数量ベース)
3.市場集中度(ハーフィンダール指標)
4.相対的市場シェアとBCGマトリクス
1. 3つの市場シェアとは?
以下は、実務でよく利用される3つの市場シェアです。
- 基本的な市場シェア(金額ベース・数量ベース)
- 市場集中度(ハーフィンダール指標)
- 相対的市場シェアとBCGマトリクス
それぞれについて、簡単に説明していきます。
2. 基本的な市場シェア(金額ベース・数量ベース)
市場シェアと聞いたときに思い浮かべるのが、この基本的な市場シェアです。
2種類あります。
- 金額ベースの市場シェア
- 数量ベースの市場シェア
計算式自体は非常に簡単で、以下のようになります。
- 金額ベースの市場シェア = 販売額 ÷ 市場全体の販売額
- 数量ベースの市場シェア = 販売数量 ÷ 市場全体の販売数量
単に、売上目標を考えるだけでなく、この基本的な市場シェアの指標とともに考えるクセをつけることで、売上目標を達成するために、市場成長による売上げアップと競合奪い取りによる売上げアップに分けて考えることができるようになり、より戦略的・戦術的なアクションを考えるきっかけになります。
この基本的な市場シェアを定期的にモニタリングすることで、市場の競争構造変化をいち早く知る手助けになることでしょう。
3. 市場集中度(ハーフィンダール指標)
市場集中度とは、市場全体がどの程度少数の企業で占められているのかを示す指標です。計算式も簡単で、基本的な市場シェアの計算結果をそのまま使います。例えば、ある市場の上位3社(2社でも4社でもいい)の市場シェアを合計することで、市場集中度を求めます。
ハーフィンダール指標とは、基本的な市場シェアを2乗して計算した市場集中度です。大企業が支配的な市場ほど、その指標の数値は大きくなります。
4. 相対的市場シェアとBCGマトリクス
BCG(ボストンコンサルティンググループ)のBCGマトリクスとともに広まったのが、相対的市場シェアという概念です。BCGマトリクスとは、相対的市場シェアと市場成長度のマトリクスです。
- 横軸:相対的市場シェア
- 縦軸:市場成長度
各軸を高・低に2つに分割し4つのセルによるマトリクスを作ります。各商品を、各セルにプロットすることで、それぞれの位置づけを「見える化」します。
相対的市場シェアの計算方法は簡単で、基本的な市場シェアの計算結果を使い計算します。
相対的市場シェア = 市場シェア ÷ 競合最大手の市場シェア
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