データサイエンスで成果を出さないときの共通点 データ分析講座(その120)

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◆ 目的を明確にしてもデータサイエンスで失敗するのか

 データサイエンスは「目的を明確にすること」が大事だとよくいわれます。これはデータサイエンスに限らず、仕事全般でいわれることでもありますが目的を明確にしてもデータサイエンスで失敗することは多々あります。ここでいう成功とは、現場で活用され何かしらの成果(例:売上アップやコストカット、利益率改善、歩留まり最善、サイクルタイム短縮化など)を生むことです。

 なぜ目的を明確にしてもデータサイエンスで失敗するのでしょうか?今回は「目的を明確にしてもデータサイエンスで失敗するのか」というお話をします。

1、松浦静山のありがたい言葉

 よく「勝ちには偶然の勝ちがあり、負けには偶然の負けはない」といわれます。江戸時代の剣豪である松浦静山(平戸藩主)の著書「剣談」に書かれている言葉です。

 このことは、データサイエンスにも当てはまります。目的が不明確でも上手くいく時は上手くいきますし、データが汚くてどうしようもない時でも上手くいく場合があります。しかし失敗する時はある共通点があります。

2、目的が明確でも失敗することは多い

 その共通点は「目的が不明確」だからというものではありません。先ほどいいましたが、目的が明確でも失敗することは少なくありません。むしろ増えている印象すらあります。「最初、目的が不明確で失敗した。次に目的を明確にしたのに失敗した。じゃあどうすればいいの?」といった感じです。そこで私は「データサイエンスで成果を出さない時の共通点は何か」について色々調べてみました。

3、失敗する時の共通点

 そこで分かったことは「活用イメージが明確ではない」というものです。データサイエンスが上手く機能しない時「活用イメージが明確ではない」のです。例えば、顧客の離脱分析(チャーン分析)。既存顧客との取引継続のためのデータ分析です。よく離脱スコア(チャーンスコア)を算出し、現場に渡したりします。離脱スコアが高い既存顧客ほど、離脱しやすいというものです。「現場にこの離脱スコアを渡せばいいだろう」と考えがちですが、どのように離脱スコアを活用したらいいのかについても提示しないと、使ってもらえません。さらに離脱スコアを提供する方法やタイミングなども重要です。

4、活用イメージがとても重要な理由

 実は活用イメージがないと、どのようなデータ分析をしたり、どのような数理モデルを構築したりすればいいのか分かりません。そのために必要となるデータも分かりません。活用イメージがあれば、どのような情報を現場に提供すればいいのかが分かり、その情報を作るためのデータ分析や数理モデル構築を行うことができます。さらに、そのようなデータ分析や数理モデルを構築するために必要なデータも分かります。つまり、データサイエンスの「活用目的」が最初にあって、次にその「活用イメージ」、そして「分析イメージ」(データ分析やモデル構築など)を作るといった流れです。

5、活用イメージがないと手探り状態に陥る

 活用イメージがないと、想像力だけでデータ分析や数理モデル構築をすることになります。活用するかどうかは現場次第、といった感じです。データサイエンスの成否が人任せになってしまいます。確実な成果を手にしたいなら、活用イメージを必ず明確にして必要があります。当然ながら現場へのヒアリングやディスカッションが必要になります。

6、活用イメージがあると見通しが立つ

 この活用イメージを明確にすることで、どのくらいの成果を甘受できるのかも見えてきます。そして現場は、どのように動けばいいのかが見えてきます。データサイエンスを提供する側は分析イメージが明確になり、どのようなデータ分析を行い、数理モデルを構築すればいいのか、つまりどのタイミングで何をやればいいのかが明らかになります。この「活用目的」(テーマ)と「活用ストーリー」「分析ストーリー」のセットは複数作れます。

7、「データの輝ける場所」の見つけ方

 複数の「活用目的」(テーマ)と「活用ストーリー」「分析ストーリー」のセットが出揃ったところで、以下の2つを見積もってみましょう。

  • 成果の大きさ(できれば金額換算)...

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◆ 目的を明確にしてもデータサイエンスで失敗するのか

 データサイエンスは「目的を明確にすること」が大事だとよくいわれます。これはデータサイエンスに限らず、仕事全般でいわれることでもありますが目的を明確にしてもデータサイエンスで失敗することは多々あります。ここでいう成功とは、現場で活用され何かしらの成果(例:売上アップやコストカット、利益率改善、歩留まり最善、サイクルタイム短縮化など)を生むことです。

 なぜ目的を明確にしてもデータサイエンスで失敗するのでしょうか?今回は「目的を明確にしてもデータサイエンスで失敗するのか」というお話をします。

1、松浦静山のありがたい言葉

 よく「勝ちには偶然の勝ちがあり、負けには偶然の負けはない」といわれます。江戸時代の剣豪である松浦静山(平戸藩主)の著書「剣談」に書かれている言葉です。

 このことは、データサイエンスにも当てはまります。目的が不明確でも上手くいく時は上手くいきますし、データが汚くてどうしようもない時でも上手くいく場合があります。しかし失敗する時はある共通点があります。

2、目的が明確でも失敗することは多い

 その共通点は「目的が不明確」だからというものではありません。先ほどいいましたが、目的が明確でも失敗することは少なくありません。むしろ増えている印象すらあります。「最初、目的が不明確で失敗した。次に目的を明確にしたのに失敗した。じゃあどうすればいいの?」といった感じです。そこで私は「データサイエンスで成果を出さない時の共通点は何か」について色々調べてみました。

3、失敗する時の共通点

 そこで分かったことは「活用イメージが明確ではない」というものです。データサイエンスが上手く機能しない時「活用イメージが明確ではない」のです。例えば、顧客の離脱分析(チャーン分析)。既存顧客との取引継続のためのデータ分析です。よく離脱スコア(チャーンスコア)を算出し、現場に渡したりします。離脱スコアが高い既存顧客ほど、離脱しやすいというものです。「現場にこの離脱スコアを渡せばいいだろう」と考えがちですが、どのように離脱スコアを活用したらいいのかについても提示しないと、使ってもらえません。さらに離脱スコアを提供する方法やタイミングなども重要です。

4、活用イメージがとても重要な理由

 実は活用イメージがないと、どのようなデータ分析をしたり、どのような数理モデルを構築したりすればいいのか分かりません。そのために必要となるデータも分かりません。活用イメージがあれば、どのような情報を現場に提供すればいいのかが分かり、その情報を作るためのデータ分析や数理モデル構築を行うことができます。さらに、そのようなデータ分析や数理モデルを構築するために必要なデータも分かります。つまり、データサイエンスの「活用目的」が最初にあって、次にその「活用イメージ」、そして「分析イメージ」(データ分析やモデル構築など)を作るといった流れです。

5、活用イメージがないと手探り状態に陥る

 活用イメージがないと、想像力だけでデータ分析や数理モデル構築をすることになります。活用するかどうかは現場次第、といった感じです。データサイエンスの成否が人任せになってしまいます。確実な成果を手にしたいなら、活用イメージを必ず明確にして必要があります。当然ながら現場へのヒアリングやディスカッションが必要になります。

6、活用イメージがあると見通しが立つ

 この活用イメージを明確にすることで、どのくらいの成果を甘受できるのかも見えてきます。そして現場は、どのように動けばいいのかが見えてきます。データサイエンスを提供する側は分析イメージが明確になり、どのようなデータ分析を行い、数理モデルを構築すればいいのか、つまりどのタイミングで何をやればいいのかが明らかになります。この「活用目的」(テーマ)と「活用ストーリー」「分析ストーリー」のセットは複数作れます。

7、「データの輝ける場所」の見つけ方

 複数の「活用目的」(テーマ)と「活用ストーリー」「分析ストーリー」のセットが出揃ったところで、以下の2つを見積もってみましょう。

  • 成果の大きさ(できれば金額換算)
  • やり易さ(簡単にできる、データがすでにある、など)

 この2つの視点で、この「活用目的」(テーマ)と「活用ストーリー」「分析ストーリー」のセットを評価することで「データの輝ける場所」(筋のいいテーマ)を見つけることができます。筋のいいテーマとは「活用目的」と「活用ストーリー」「分析ストーリー」が明確で「成果が大きく、かつ、やり易いテーマ」です。

8、データサイエンス成否は「データの輝ける場所」次第

 データサイエンス成否は「データの輝ける場所」(筋のいいテーマ)次第です。データサイエンティストが、あえてやり難いテーマを選ぶケースも多々目にします。個人の挑戦よりもまずやるべき事は、やり易いテーマで確実かつスピーティーに成果を出すことです。挑戦することは止めませんが、要領良く成果をものにしていくのも重要です。データサイエンスのテーマが決まれば、次にそれを現実のものとし、何らかの成果を甘受する必要があります。絵に描いた餅に終わってしまわないためにも、実現に向けた動きは非常に重要です。

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この記事の著者

高橋 威知郎

データネクロマンサー/データ分析・活用コンサルタント (埋もれたデータに花を咲かせる、データ分析界の花咲じじい。それほど年齢は重ねてないけど)

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