マイクロソフトの「Excel」は企業の業務遂行にとって欠かせないツールになりました。数字の集計、グラフの作成にとどまらず、作業伝票の発行、作業の管理、資料の作成など様々な場面でExcelは活用されています。情報システム部に依頼しなくても使えるExcelは現場にとって便利なツールです。ところが、そのExcelがあまりに現場に浸透してしまったことで、かえって業務効率化が滞っている企業が目立つようになってきました。
1.ミスの発見が難しい
Excelでは計算式設定や数値入力はセル単位で行います。外からは計算式や入力項目が適切か判断しにくいという弱点を持っています。とくに素人が作ったものはルール設定が整理されていないことも多く、間違ったデータ入力や計算をしてもわかりにくいという問題を抱えています。誤った業務処理を誘発するといったことが心配されます。
2.人が変わるとわからなくなる
Excelは簡単に使えるので、利用者が自ら開発を行うことが多く、利用者でないと仕様がよくわからないシステムになりがちです。当事者が異動したり、休んだりすることで当該システムを誰もさわることができなくなり、業務ができなくなっててしまったということも起こりえます。
3.かえって間接工数が増える
ERPパッケージや業務パッケージに不足している機能をExcelの利用でカバーしている企業がよくあります。とくに大企業の工場現場に浸透しています。このことが間接業務要員の無駄な業務工数を増やしていることがあります。しっかりした一貫システムを作れば無理なく業務運営ができるのに、データ変換やデータ加工などの余分な作業が必要となり、気が付いたら残業の山となっている職場もあります。
4.統制が機能しない
会社の情報の流れは
内部統制の根幹です。ところが、現場独自のExcel利用が進み過ぎると、現場の業務指示や情報利用の実態を把握して統制することが難しくなります。これでは適切なリスク管理もできないばかりか、何か問題が起きた時も原因究明に支障が出る可能性もあります。
5.情報流出の危険性がある
大企業の工程管理部門が正規の発注情報とは別に、取引先に補足の作業指示データをExcelファイルで送るケースがよくあります。中には機密情報を含ん...