現場のExcel依存に注意しよう

投稿日

 inf09マイクロソフトの「Excel」は企業の業務遂行にとって欠かせないツールになりました。数字の集計、グラフの作成にとどまらず、作業伝票の発行、作業の管理、資料の作成など様々な場面でExcelは活用されています。情報システム部に依頼しなくても使えるExcelは現場にとって便利なツールです。ところが、そのExcelがあまりに現場に浸透してしまったことで、かえって業務効率化が滞っている企業が目立つようになってきました。
 

1.ミスの発見が難しい

 Excelでは計算式設定や数値入力はセル単位で行います。外からは計算式や入力項目が適切か判断しにくいという弱点を持っています。とくに素人が作ったものはルール設定が整理されていないことも多く、間違ったデータ入力や計算をしてもわかりにくいという問題を抱えています。誤った業務処理を誘発するといったことが心配されます。
 

2.人が変わるとわからなくなる

 Excelは簡単に使えるので、利用者が自ら開発を行うことが多く、利用者でないと仕様がよくわからないシステムになりがちです。当事者が異動したり、休んだりすることで当該システムを誰もさわることができなくなり、業務ができなくなっててしまったということも起こりえます。
 

3.かえって間接工数が増える

 ERPパッケージや業務パッケージに不足している機能をExcelの利用でカバーしている企業がよくあります。とくに大企業の工場現場に浸透しています。このことが間接業務要員の無駄な業務工数を増やしていることがあります。しっかりした一貫システムを作れば無理なく業務運営ができるのに、データ変換やデータ加工などの余分な作業が必要となり、気が付いたら残業の山となっている職場もあります。
 

4.統制が機能しない

 会社の情報の流れは内部統制の根幹です。ところが、現場独自のExcel利用が進み過ぎると、現場の業務指示や情報利用の実態を把握して統制することが難しくなります。これでは適切なリスク管理もできないばかりか、何か問題が起きた時も原因究明に支障が出る可能性もあります。
 

5.情報流出の危険性がある

 大企業の工程管理部門が正規の発注情報とは別に、取引先に補足の作業指示データをExcelファイルで送るケースがよくあります。中には機密情報を含ん...
 inf09マイクロソフトの「Excel」は企業の業務遂行にとって欠かせないツールになりました。数字の集計、グラフの作成にとどまらず、作業伝票の発行、作業の管理、資料の作成など様々な場面でExcelは活用されています。情報システム部に依頼しなくても使えるExcelは現場にとって便利なツールです。ところが、そのExcelがあまりに現場に浸透してしまったことで、かえって業務効率化が滞っている企業が目立つようになってきました。
 

1.ミスの発見が難しい

 Excelでは計算式設定や数値入力はセル単位で行います。外からは計算式や入力項目が適切か判断しにくいという弱点を持っています。とくに素人が作ったものはルール設定が整理されていないことも多く、間違ったデータ入力や計算をしてもわかりにくいという問題を抱えています。誤った業務処理を誘発するといったことが心配されます。
 

2.人が変わるとわからなくなる

 Excelは簡単に使えるので、利用者が自ら開発を行うことが多く、利用者でないと仕様がよくわからないシステムになりがちです。当事者が異動したり、休んだりすることで当該システムを誰もさわることができなくなり、業務ができなくなっててしまったということも起こりえます。
 

3.かえって間接工数が増える

 ERPパッケージや業務パッケージに不足している機能をExcelの利用でカバーしている企業がよくあります。とくに大企業の工場現場に浸透しています。このことが間接業務要員の無駄な業務工数を増やしていることがあります。しっかりした一貫システムを作れば無理なく業務運営ができるのに、データ変換やデータ加工などの余分な作業が必要となり、気が付いたら残業の山となっている職場もあります。
 

4.統制が機能しない

 会社の情報の流れは内部統制の根幹です。ところが、現場独自のExcel利用が進み過ぎると、現場の業務指示や情報利用の実態を把握して統制することが難しくなります。これでは適切なリスク管理もできないばかりか、何か問題が起きた時も原因究明に支障が出る可能性もあります。
 

5.情報流出の危険性がある

 大企業の工程管理部門が正規の発注情報とは別に、取引先に補足の作業指示データをExcelファイルで送るケースがよくあります。中には機密情報を含んでいるファイルをパスワードなしのメール添付で送ってくる大企業もあります。おそらく情報システム部門の関与を煩わしく感じた現場が独自判断で実施しているものと想像されますが、もしも情報流出事故がおきたらどうするのでしょうか?
 
 こうした現場での過度なExcel依存は、企業活動の事務生産性向上視点やリスク管理視点からも注意が必要です。最近は簡単かつ安価に業務システムを開発できる超高速開発ツールもでてきていますので、過度なExcelが心配な企業はシステム見直しを検討してみてはいかがでしょうか。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

本間 峰一

高額投資したにもかかわらず効果の上がっていない生産管理システムを利益に貢献するシステムに再生させます!

高額投資したにもかかわらず効果の上がっていない生産管理システムを利益に貢献するシステムに再生させます!


「情報マネジメント一般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
現場業務改善を目指すITシステム導入のステップガイド

  1. ITシステム導入の課題 1.1  ITシステム導入の重要性 製造業において、ITシステムの導入は業務効率の向上や生...

  1. ITシステム導入の課題 1.1  ITシステム導入の重要性 製造業において、ITシステムの導入は業務効率の向上や生...


データと洞察で戦略的意思決定を導く:データ分析講座(その333)

現代の急速に変化するビジネス環境で競争優位を保つためには、データとその中からの洞察を上手く活用することが不可欠です。データ駆動のアプローチが主流となる...

現代の急速に変化するビジネス環境で競争優位を保つためには、データとその中からの洞察を上手く活用することが不可欠です。データ駆動のアプローチが主流となる...


早わかりEDA:Electronic Design Automation

  集積回路、プリント回路基板設計と検証に使われるワークフロー、アプリケーション、手法は、CAE (Computer-Aided Engi...

  集積回路、プリント回路基板設計と検証に使われるワークフロー、アプリケーション、手法は、CAE (Computer-Aided Engi...


「情報マネジメント一般」の活用事例

もっと見る
情報、常識の検証を考える

1、勝ち組と負け組を支配する情報  皆さんがご存じの大手予備校有名講師である林先生が、かつてテレビで「情報」に関して興味深いことをおっしゃっており、...

1、勝ち組と負け組を支配する情報  皆さんがご存じの大手予備校有名講師である林先生が、かつてテレビで「情報」に関して興味深いことをおっしゃっており、...


ソフトウェア特許とは(その1)

 色々と定義はありますが、ソフトウェア特許とは、よく言うビジネスモデル特許であり、情報システムの特許です。言葉に差はあると思いますが、我々実務家は、ソフト...

 色々と定義はありますが、ソフトウェア特許とは、よく言うビジネスモデル特許であり、情報システムの特許です。言葉に差はあると思いますが、我々実務家は、ソフト...


現場情報の自動収集に道具だてを

 一日の作業指示の出し方で、次のどちらの組織の管理レベルの改善がより進むでしょうか?        ・A社 ➡「x製品を◯個」     ・B...

 一日の作業指示の出し方で、次のどちらの組織の管理レベルの改善がより進むでしょうか?        ・A社 ➡「x製品を◯個」     ・B...