現場診断・指導について(その7) クリーン化について(その67)

 

現場診断はクリーンルームに入る前にも、観察する箇所があると説明しました。今回は、二次更衣室からクリーンルーム内に至るまでの着眼点を説明します。

 

二次更衣室は社服から防塵衣に着替える場所です。防塵衣の着用については、すでに説明したので、それ以外の説明です。ただし、ここに記載できないことがたくさんあります。

 

1. 二次更衣室からクリーンルームへ —1

二次更衣室とクリーンルームの間の壁にダンパーが設置されている現場でした。そのダンパーを介して、クリーンルーム内の余剰空気が二次更衣室に排出されます。当然、中のゴミ(特に浮遊塵)もその気流に乗って出てきます。一部はダンパーに付着し埃の塊のようになります。これは停電、通電などの衝撃で剝れ、飛散します。ダンパーからは常時二次更衣室内に吹き出しています。

 

このダンパーの下に防塵衣が吊るしてありました。これでは、内部から吹き出したゴミが防塵衣に降り、付着します。気が付かないうちに汚しているのです。

 

2. 二次更衣室からクリーンルームへ —2

二次更衣室で手袋をしてから手を洗い、エアシャワーを浴びてクリーンルームへ入るという場合は、ドアノブは汚れていないかも確認しています。手袋をしてドアノブを操作する人と、素手で直接掴む人がいないかです。
素手には人から出た皮膚や脂分などの汚れ、色々なところに触れて付着した汚れなど、様々な汚れがついています。素手で掴んだり、手袋で掴んでいたのでは、それらの汚れが転写します。

 

折角手洗いをしたのに、そこで汚れてしまうのです。その汚れが治具などに転写することになります。

 

普通に考えるとありえないと思いますが、作業者はきちんとやっていても、そのエリアの清掃を業者に依頼していて、素手で扱う例がありました。清掃業者の責任者に指導依頼をしていても、実際の作業者に伝わらなかったり、日常生活の中で手袋をする習慣がない人が多いので、必要性、重要性を認識できないのです。それで手袋と素手の両方が混在することになるわけです。このような盲点はないかも観察します。

 

エアシャワー内の清掃状況や不具合がないかも確認します。この不具合については付帯設備のところで説明します。

 

作業者の防塵衣着脱の様子、エアシャワーを浴びる様子などもチェックポイントです。

 

クリーンマット(粘着マット)はエアシャワー前後、あるいはどちらか一方に設置してあるところが多いです。この設置方法や汚れ状況なども観察します。クリーンマットは奇麗さのバロメータと言われるように、たくさんの情報を持っています。それを見逃さないようにしましょう二次更衣室やエアシャワーはクリーンルームの玄関です。良く観察したい。

 

クリーンルーム内では、レイアウト、ものの動き、人の動作や行動、安全関係など幅広く観察、確認します。またどのような教育がされているのか、作業者の意識はどうかも可能な限り見ていきます。

 

歩行中に靴底に違和感を感じる場合は、床の汚れも観察します。汚れているとすれば、清掃標準や清掃の有無も確認します。

 

【作業、製品の扱いについての観察】

動作、行動が速すぎるとゴミの発生や飛散、巻き上げが起きます。また製品の扱いが荒いとか、音がする場合もゴミが出ます。これらは製品品質にも影響が出る場合があります。

 

トレーサビリティ(原因遡及容易性)はどうなっているのかも確認したい。どこかで品質問題が発見された場合、それはどの工程の、どの設備の問題なのかを容易に遡れるような仕組みです。それによって品質問題の対象製品はどこからどこまでか、あるいはその工程、工...

場から流失しているのか否かも迅速に把握、対応できます。

 

もちろん簡単な話ではないですが、まずその意識、考え方を確認したいです。原因の中にクリーン化に絡むものもあります。これは、私が品質保証部門に籍を置いていたので、意識している項目です。

 

品質管理での、第一種の誤り(生産者危険)、あるいは第二種の誤り(消費者危険)という観点です。これらは一度には確認できないので、現場を歩きながら聞いたり確認していきます。更に設備はどのように管理されているかなどです。設備、付帯設備については大きなテーマなので、次回以降に説明します。

 

 

◆関連解説『環境マネジメント』

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