私たちの生活の至るところで関わりがあるクリーンテック、クリーンテクノロジーですが、これらが未来を切り拓く鍵を握っています。今回は、クリーンテックの概要を解説します。
1.クリーンテックとは
クリーンテックとは、材料・エネルギーの使用量が少なく、廃棄物・環境負荷が少ない技術・製品、サービスを指しますが、比較の基準は業界標準との比較になります。
マイクロプラスチックの汚染問題などが知られるようになり、消費者意識が変化しています。天然素材へ回帰する流れはありつつも性能的な差分もあり技術的な進化を待ち望まれています。また異常気象の多発も、人々が意識を変える要因になっています。このような背景で、持続可能な世界を実現しようとする企業、そしてそれらの企業に資金を投じる投資家が増えてきています。これがクリーンテックと呼ばれる分野で、クリーンテック関連市場は大きく伸びると予想されています。
クリーンテックの定義は、規制ドリブンのニュアンスがあるグリーンテックと対比しつつ、世界規模の課題に解決策を提示し、顧客に利益を提供する新技術です。クリーンテックは、エネルギー分野にとどまりません。エネルギー・電力分野が数の多い分野ではありますが、ロジスティクス、農業・食料の分野を中心にして、今後の成長が見込めるクリーンテックのスタートアップは多様になってきています。
(1)グローバル クリーンテック 100とは
クリーンテックに関連して、世界でコンサルティング活動を展開するクリーンテックグループは、環境問題解決にインパクトを与えそうな企業トップ100を選定した「グローバル クリーンテック 100」を公表しています。分野別で見ると、システム関連:7社。素材、化学:7社。エネルギー、電力:39社。交通、ロジスティクス:15社。農業:13社。資源、環境:19社です。
(2)クリーンテックの今後
クリーンテックは、大きなソリューションとして、企業から注目を集めています。前述のように対象企業はテクノロジー分野に限らず、業界を超えて広がりをみせています。今後、ESG(環境・社会・コーポレートガバナンス)の観点でもクリーンテックへの取り組みを多くの企業が進めていくことが必須なことでしょう。
2.世界市場とクリーンテック
【アメリカ】
アメリカでは、グリーンテックファンドが注目されています。このファンドは、ビル・ゲイツ氏などが参加して設立されたものです。この団体では、10億ドル以上を、約20年で環境関連分野に事業展開するベンチャーに投資するとしています。これにより、アメリカではクリーンテック関連のスタートアップ企業が多く市場参入して、開発の可能性を広げています。
【北欧】
北欧諸国は、クリーンテック先進国ともいわれ、ドイツはインフラ市場の企業、約1500社でクリーンテックが展開されて、発電分野では黒字展開しています。仮想発電所導入で、赤字の公共交通機関運営をインフラ関連の企業がサポートしていることは有名です。Stadwerk...
【シンガポール】
シンガポールは、クリーンテックハブを目指しているといわれていて、クリーンテック市場を牽引しています。2010年にクリーンテック開発特化のクリーンテック・パークプロジェクトを始動しました。すでに一部は完成して、東レがクリーンテック開発分野の拠点として活用しています。シンガポール国内企業だけでなく海外からのシンガポールへの投資をクリーンテックで促進する政策です。