クリーン化活動での基本的な重要項目

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1.クリーン化活動での基本的な重要項目

 5s  クリーン化活動では清掃も基本的な重要項目です。この清掃の中では“床の清掃も重要”だということについて説明します。ものづくり企業では、製品を加工する設備の中や作業台などが汚れていると、直接製品に触れるので、歩留まりや品質低下に繋がる可能性があります。そこで作業前、あるいは清掃標準に基づいて清掃していると思います。
 
 ところが床の清掃は、作業台や設備内の清掃よりも重要度の意識が低いと推測されます。「床の清掃もきちんとしましょう」と言うと、「作業の高さよりも低いので問題ない」とか、分厚く積もっているところを指摘しても「品質には関係ないから、今更手を付けない」とか、「寝た子を起こすようなものだ」と言われる方がいらっしゃいます。私からすれば、どうも言い訳っぽいなと思ってしまいます。どうしても後回し、あるいは優先度が低いと感じます。
 
 私は、クリーンルーム内で仕事をしていた時期もあります。層流式でも乱流式でも、天井側から清浄な空気が供給されるため、ゴミや埃は下に落ちる。床付近に停滞しているとイメージしがちです。本当はどうか。乱流式のクリーンルームで実験したところ、人が歩いた時に巻き上がる気流の高さが1.5m、歩き方によっては2mを超えるような結果でした。その気流に乗ってゴミや埃が巻き上がります。
 
 クリーンルーム内では、人だけでなく台車などでもゴミ、埃を巻き上げます。当然ですが軽いものの方が、高いところまで上昇します。天井からきれいな空気が供給されているところでは、大丈夫だとイメージしやすいのですが、実際はどうなのかを確認しておきたいです。作業台の上にパソコンがあり、取り込んだデータなどを印刷するために作業台の下や床付近にプリンターを置いているところもあると思います。
 
 プリンターが動き出すと、例え層流式のクリーンルームであっても発塵粉が上昇します。実験では60センチくらいは上昇を確認しました。インクジェット方式では、細かなパーティクルが非常に沢山吹き出しますし、例え防塵紙であっても発塵があります。この他、インクリボン方式、レーザー方式、いずれも発塵します。これらが浮遊したり、床に堆積します。それが又先ほどの気流で舞い上がるのです。余談ですが、そのことを考慮し発塵量を最小限に抑えたプリンターも発売されています。
 

2.客先監査

 客先監査を経験されているところも多いと思いますが、一般的には机上監査と現場監査があります。机上監査は、標準類など品質システム中心です。現場監査では、製品の作り込み環境の確認や標準通りの作業がされているかなどかなり広範囲に見られます。客先監査では、こんな例があります。
 
 ある会社に監査に来たが、色々不備があったり、確認事項が多かったのでしょう。机上監査に時間がかかってしまった。すると、現場に入る時間が無くなってしまった。そこで大至急現場に入り、床の汚れ具合だけ見て帰ったとのことです。
 
 監査に来る会社は海外や国内でも遠方から来ることもあります。従って電車や飛行機などの都合で時間が限られるので、こういうことも起きるわけです。この床だけ見て帰ったという会社は“製品品質を具現化するところは現場である。その現場が綺麗かどうかを本来きちんと見たいが、それができなかった。
 
 “清掃は上から下へ”が基本であり、最後に手を付けられるのが床である。その床が綺麗なら、それまでの部分(作業台や生産設備などの清掃)はきちんとやられているだろうという判断をした“とのことです。時間がなくても何とか現場を見ようという会社の姿勢、工夫ですが、時間がないからと現場を見ずに帰ってしまう会社は、逆にその程度なのかもしれません。その両者が比較される場でもあります。監査を繰り返し受けると、机上の部分は徐々に改善されるので短時間に終えるようになります。そのため現場監査に多くの時間が配分されるようになります。
 
 時間がない時に、現場の監査は省く会社もありますが、現場とはその場に現れると書くように、ごみ、汚れなどを中心とした清掃方法や、流動品の溜まり具合を見て、生産がスムーズなのか、QCDの観点で見ることができ、自社への納入状況との兼ね合いや、設備、人を見て安全作業がされているのかも見ることができます。
 
 机上ではある程度口頭で答えたり曖昧にしてしまうことができても、現場はものづくりの実態を映す鏡であるということです。状態は変化するということを常に認識していないと、客先監査のために、その時だけ取り繕ってもぼろが出るということです。...

1.クリーン化活動での基本的な重要項目

 5s  クリーン化活動では清掃も基本的な重要項目です。この清掃の中では“床の清掃も重要”だということについて説明します。ものづくり企業では、製品を加工する設備の中や作業台などが汚れていると、直接製品に触れるので、歩留まりや品質低下に繋がる可能性があります。そこで作業前、あるいは清掃標準に基づいて清掃していると思います。
 
 ところが床の清掃は、作業台や設備内の清掃よりも重要度の意識が低いと推測されます。「床の清掃もきちんとしましょう」と言うと、「作業の高さよりも低いので問題ない」とか、分厚く積もっているところを指摘しても「品質には関係ないから、今更手を付けない」とか、「寝た子を起こすようなものだ」と言われる方がいらっしゃいます。私からすれば、どうも言い訳っぽいなと思ってしまいます。どうしても後回し、あるいは優先度が低いと感じます。
 
 私は、クリーンルーム内で仕事をしていた時期もあります。層流式でも乱流式でも、天井側から清浄な空気が供給されるため、ゴミや埃は下に落ちる。床付近に停滞しているとイメージしがちです。本当はどうか。乱流式のクリーンルームで実験したところ、人が歩いた時に巻き上がる気流の高さが1.5m、歩き方によっては2mを超えるような結果でした。その気流に乗ってゴミや埃が巻き上がります。
 
 クリーンルーム内では、人だけでなく台車などでもゴミ、埃を巻き上げます。当然ですが軽いものの方が、高いところまで上昇します。天井からきれいな空気が供給されているところでは、大丈夫だとイメージしやすいのですが、実際はどうなのかを確認しておきたいです。作業台の上にパソコンがあり、取り込んだデータなどを印刷するために作業台の下や床付近にプリンターを置いているところもあると思います。
 
 プリンターが動き出すと、例え層流式のクリーンルームであっても発塵粉が上昇します。実験では60センチくらいは上昇を確認しました。インクジェット方式では、細かなパーティクルが非常に沢山吹き出しますし、例え防塵紙であっても発塵があります。この他、インクリボン方式、レーザー方式、いずれも発塵します。これらが浮遊したり、床に堆積します。それが又先ほどの気流で舞い上がるのです。余談ですが、そのことを考慮し発塵量を最小限に抑えたプリンターも発売されています。
 

2.客先監査

 客先監査を経験されているところも多いと思いますが、一般的には机上監査と現場監査があります。机上監査は、標準類など品質システム中心です。現場監査では、製品の作り込み環境の確認や標準通りの作業がされているかなどかなり広範囲に見られます。客先監査では、こんな例があります。
 
 ある会社に監査に来たが、色々不備があったり、確認事項が多かったのでしょう。机上監査に時間がかかってしまった。すると、現場に入る時間が無くなってしまった。そこで大至急現場に入り、床の汚れ具合だけ見て帰ったとのことです。
 
 監査に来る会社は海外や国内でも遠方から来ることもあります。従って電車や飛行機などの都合で時間が限られるので、こういうことも起きるわけです。この床だけ見て帰ったという会社は“製品品質を具現化するところは現場である。その現場が綺麗かどうかを本来きちんと見たいが、それができなかった。
 
 “清掃は上から下へ”が基本であり、最後に手を付けられるのが床である。その床が綺麗なら、それまでの部分(作業台や生産設備などの清掃)はきちんとやられているだろうという判断をした“とのことです。時間がなくても何とか現場を見ようという会社の姿勢、工夫ですが、時間がないからと現場を見ずに帰ってしまう会社は、逆にその程度なのかもしれません。その両者が比較される場でもあります。監査を繰り返し受けると、机上の部分は徐々に改善されるので短時間に終えるようになります。そのため現場監査に多くの時間が配分されるようになります。
 
 時間がない時に、現場の監査は省く会社もありますが、現場とはその場に現れると書くように、ごみ、汚れなどを中心とした清掃方法や、流動品の溜まり具合を見て、生産がスムーズなのか、QCDの観点で見ることができ、自社への納入状況との兼ね合いや、設備、人を見て安全作業がされているのかも見ることができます。
 
 机上ではある程度口頭で答えたり曖昧にしてしまうことができても、現場はものづくりの実態を映す鏡であるということです。状態は変化するということを常に認識していないと、客先監査のために、その時だけ取り繕ってもぼろが出るということです。
 
 またゴミの様子を良く観察すると、日々清掃しているが故に出て来たゴミなのか、今日の監査に間に合わせで清掃したゴミなのかが見えてきます。特に監査員はいろいろな会社を見ていますので、目が肥えています。清掃は監査のためにやるのではなく、良いものづくり環境を実現するためですね。環境も人も。
 
 会社訪問すると、最初にパワーポイントやパンフレットなどでその会社の様子を説明してくれます。それを見て、おーすごいと思うことがあります。でもその印象を持って現場に入ると“なんだか違うな”とか“かなり違う”と思うことがあります。
 
 日本のある会社のTOPが、アメリカで話したことの中に、“どんなに優れたレポートよりも事実は現場にあり”という言葉がありました。現場はその会社の鏡、いろいろなものが見えてきます。床はその観察ポイントの一つです。
 
 監査のためにやるのではなく、日頃から良い工場にしたいです。日頃の努力の積み重ねは働く人の誇りでもあり、そこに監査者から、「綺麗にされていますね」などと声をかけられると、そういうところほどその言葉が響くと思います。
 

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この記事の著者

清水 英範

在社中、クリーン化25年の経験、国内海外のクリーン化教育、現場診断・指導多数。ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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