【この連載の前回:流れ生産:ジャスト・イン・タイム生産(その55)へのリンク】
【実践編 第3章目次】
第3章 平準化で生産の波を小さくする
1. 生産を平準化する
2. 多品種対応のため段取り替え改革は必須←今回の記事
3. 不良ゼロを目指す品質保証とポカヨケのしくみ
第3章 平準化で生産の波を小さくする
「平準化」は、生産の波を小さくする改革であるとともに、需要と供給を一致させる生産のしくみづくりです。この章では「生産計画の平準化」「段取り替え改革」「品質保証とポカヨケ」について説明します。
2. 多品種対応のため段取り替え改革は必須
多品種化に対応するほど段取り替えは頻発する。改革のポイントは段取り時間と5つの定石。
(5)段取り替え改革5つの定石
【定石⑤ 基準」は動かさない-調整作業ゼロ】
段取り替え作業は、いまだに「調整が必要」という固定観念にとらわれています。「この調整作業ができれば一人前」などという言葉もあります。
調整作業が発生する最大の原因は、基準を動かすことです。基準を必要とするものには、型・刃具・締め付け具・材科などがあります。なかでも、型の基準合わせによる調整が、段取り替え作業では多く発生します。
型の基準には、位置(X軸・Y軸)と高さ (Z軸1)がありますが、これらの基準は、なにがあっても絶対に動かしてはいけません。だから、基準というのであって、基準は不動であり、不動とは「動かず」と書くのです。基準を動かさなければ、調整作業は不要になります。
勘所①調整廃止
「本来、調整作業は不要」「調整作業は必ずなくなる」と信じる。
勘所②位置の調整なし
位置の調整をせずに、一発で位置出しをする。位置当てノッチ、突き当て治具、センターピン、スペーサーブロックなどが効果的です。
勘所③高さの調整なし
高さの違いによる調整作業をなくす。ダイハイトの統一、ベース部の統一、スペーサーブロック、自立式締め付け具などが効果があります。
(6)標準化で歯止めをかける
一般に、段取り替え作業は作業者任せにされることが多いようです。
しかし、それでは、段取り替えのノウハウがその作業者に埋もれてしまい、その人でないと段取り替えができないとい...
次回に続きます。
【出典】古谷誠 著 『会社を強くする ジャスト・イン・タイム生産の実行手順』中経出版発行(筆者のご承諾により連載)