1.はじめに
今弾から、「企業の永続性」をトップ事象として、(逐次二項目展開型)系統図法で展開することにより、経営理念と企業の末端活動を結びつける理念経営基本体系の設計を、プロセスを含めてご説明します。ポイントは、逐次二項目展開をすることで、漏れのない展開結果を手に入れることが出来る点で、この事例を通じて、何故(逐次二項目展開型)系統図法が漏れを防ぐことが出来るかをご理解願えればと思います。
【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その11)理念経営基本体系の設計(1)へのリンク】
2. 理念経営基本体系の二次展開結果
逐次二項目展開による3次展開結果を図13-1に、その展開結果をまとめた形の理念経営基本体系の2次展開結果を図13-2に図示します。
2-1 図13-1の説明
図13-1に図示した、トップ事象に「企業の永続性」を置いた逐次二項目展開結果(3次迄) のご説明をしたいと思います。
先ず一次展開ですが、企業が永続的に存在を許される条件を漏れなく二つ挙げるとすると、社会的に「企業の存在価値」が認められることと、その状態を維持することが出来る「継続安定した利益」を得続けることの二つになると思います。
2次展開ですが、「企業の存在価値」は、「社会満足」と「顧客満足」、「継続安定した利益」は、「現製品の安定受注」と「確実に利益を生む新製品」の存在が必須だと思っての展開です。3次の展開ですが,2次の展開項目それぞれに対する「地域社会への貢献」、サービスを含む「製品満足」、企業としての総合的な「顧客の信頼」、価格決定権を有する「市場創造型新製品開発」は分かるものの、それぞれに「社員満足」が展開されていることを不思議に思われると思いますので、その理由をご説明します。
これらの3次展開項目5つは、それぞれを担当する立場の社員が実施するのですが、最初の「地域社会への貢献」に例を取って見ますと、自社で働くことに満足感を持っている社員でなければ、即ち「社員満足」なくしては、社会に対して、企業の存在を感謝してもらえるような誠意ある「地域社会への貢献」ができるわけがない、と言う考えからで、それに続く4つも同じことが言えると考えての展開なのです。
実は、この「社員満足」は、完成した理念経営基本体系において重要な位置を占めるのですが、普通の展開では決して出てこないと思われ、“逐次二項目展開”だからこその展開だと言えると思います。と言いますのは、普通、それぞれに対する5つの項目が展開された時点で十分と考えがちなのですが、“逐次二項目展開”の「本当にこれだけでいいのか、もう一つあるのではないかという姿勢」で展開内容を追求してはじめて行き着いたのが「社員満足」だったからだと言えますので、参考にして頂ければと思います。
2-2 図13-2の説明
2-2-1 はじめに
ご提案する理念経営基本体系の展開は、この図13-2をスタートに展開して完成させますので、基本体系の根幹と言えるものですが、これをご覧になって、疑問をお感じになる点が多々あると思います。そこで、想定される疑問点にお答えする形で説明させて頂きたいと思います。2-2-2 なぜ逐次二項目展開になっていないのか ?
図13-1は、逐次二項目展開の説明のために取り上げたのですが、これをこのまま展開しようとしますと、混乱を招きうまく行かないのです。
何故なら、この「企業の永続性」のような複雑なトップ事象の場合、1次展開はともか...
ということで、“逐次二項目展開”による3次展開までの展開結果を、分かり易く、これ以降の展開のことも考えてまとめたのが図13-2なのです。このまとめ結果については次弾でもう少し詳しくご説明します。
次回に続きます。