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成果のでるデータ活用の多くは、複雑なデータ分析をすることでもなく、精度の高い機械学習モデルを構築し使うことではありません。単にデータを集計してアクションを起こすだけで、成果がでるパターンが多いのです。俗に言うと「見える化」です。集計しグラフ化さえすれば成果が出るのですから、非常に簡単に感じる方も多いことでしょう。今回は「『見える化』だけで成果を出すのは『指標設計』しだい」というお話しをします。
【目次】
1.「見える化」は簡単?
2.データが価値に変わるとき
3.指標設計
4.使う指標を変えただけで成果がでることもある
5.簡単な事例
【この連載の前回:データ分析講座(その240)データ活用と利益へのリンク】
1.「見える化」は簡単?
「見える化」というのは、集めたデータを集計したりグラフ化したりたものを、現場の人が見てアクションするという感じです。これだけ聞くと、非常に簡単そうに思えてきます。複雑なデータ分析をするわけでもなく、精度の高い機械学習モデルを構築することでもなく、単に集計するだけですから。
難しい何かをしたいデータ分析者やデータサイエンティスト、機械学習エンジニアなどと言われる人から見たら、それでいいの? という感じかもしれません。見方を変えれば、非常に簡単に成果を出せるデータ活用が「見える化」です。
データ活用する側から見たら、そんなうまい話しは少ないのでは? と思うかもしれませんが、実際はそうではありません。
2.データが価値に変わるとき
データ活用のお手伝いをするとき、肌感ですが約半分が「見える化」だけで十分に、ビジネス成果はでます。
データを集計するだけの「見える化」すら多くの企業はできていないのか? と思われるかもしれませんが、そうでもありません。例えば、年度末に売上を集計し「見える化」している企業は大多数ですし、それを月別に計算したり取引先別に計算することも、少なくないことでしょう。重要なことは、その集計結果から何を読み取りアクションしビジネス成果をつなげるのか、ということです。
そこでポイントになるのは、何を集計し「見える化」するのか、ということになります。
3.指標設計
先ほど、何を集計し「見える化」するのかがポイントだとお話ししました。その集計する何かを「指標」と言います。先ほど登場した例ですと、年単位の売上も月別の売上も「指標」です。こう考えると非常に簡単そうに見えますが、そう単純でもありません。
問題は、どのような指標を現場で使うのか、ということになります。ビジネス成果のでない「指標」をいくら眺めても、成果はでません。ビジネス成果のでる「指標」を設計する必要があります。
4.使う指標を変えただけで成果がでることもある
多くの企業は、何かしらの指標を眺める、というデータ活用は実施しています。しかし、データ活用で成果のでていないケースも少なくありません。何が問題かというと、それは眺めている指標が間違っているのです。先ほど、肌感ですが約半分が「見える化」だけで十分にビジネス成果でます、というお話しをしました。
この「見える化」とは、今まで見ていた「指標」を別の「指標」に変える、ということを実施しました。それだけ? と思う方もいるかもしれませんが、それだけです。要するに、「見える化」だけで成果を出すのは「指標設計」しだいということです。
5.簡単な事例
あるメディアサイトで、無料会員登録者数を増やすことを考えていました。
そこで見ていた「指標」がサイト全体のPV(ページビュー数)やUU(ユニークユーザー数)などでした。これだけ見ると...
、いっぱい人が来たね、いっぱいページが見られたね、と言うことだけしか分かりません。そこで、簡単なデータ分析をしました。
その結果、特集ページのPVが増えると無料会員登録者数が増えると言う傾向です。実際に、サイト全体のPVが増えても特集ページのPVが増えていない場合、無料会員登録者数はそれほど増えていませんでした。それ以後、特集ページのPVやUUや滞在時間などが「指標」になりました。現場からも、記者の腕が反映される特集ページを見て「いいね」と思われて無料会員登録するという流れは理解できる、ということでした。
次回に続きます。
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