革新的テーマを継続的に創出するための外発的動機付け

 動機づけには「内発的」なものと「外発的なもの」があるわけですが、一般的に「内発的動機づけ」は「内発的」であるがゆえに、モチベーションを故意に作り出すマネジメントは難しいのも事実です。したがって、外からの働きかけで直接的にモチベーションを高められる「外発的動機付け」に目が向けられることが多いものです。

 今回は、この「外発的動機付け」について議論をしましょう。

◆関連解説『ステージゲート法とは』

 注:表彰については「革新的テーマを継続的に創出するための表彰制度について」(https://www.monodukuri.com/gihou/article/408)をご覧ください

 

1.昇進

 一般的に、昇進は重要な動機付けのひとつとされます。多くの社員は昇進を強く望んでおり、昇進はモチベーションを高めます。昇進によりモチベーションが向上し、今まで以上の能力を発揮するようになる、ということは良く起こることです。

 しかし、気を付けなければならない点として、「ピーターの法則」というものがあります。ピーターの法則とは、「組織はいずれ、無能の集団になる」というものです。多くの組織では、昇進は次のポジションで求められる能力の有無でなく、現在の職場での成果に基づいて昇進が決定される、つまり、論功行賞としての昇進が多いものです。しかし、ピーターの法則は、「本人がそのポジションで成果を生まなくなるまで昇進を続けた結果、組織は無能の集団になってしまう」ということを指摘しています。

 能力の評価より、成果の評価の方が容易ですし、説得力があるため、成果に基づき昇進させてしまうということが良くあります。「組織は無能の集団」であるかどうかは別にして、多くの組織には、「なぜこんな人がマネジャーになっているのか?」と思うケースがあるのも事実です。

 ですから、成果・貢献を直接的な理由として昇進をさせるべきではないと思います。昇進は、次のポジションでの職責を全うできる『能力』があるかで決めるべきですし、成果創出の過程で見せた、次のポジョシンで活用できる能力(例えばリーダーシップ)により評価すべきということです。

 

2.金銭的報酬

 世の中にはお金が嫌いな人はあまりいませんから、報酬としての効果は間違いなくあるでしょう。大きな報酬が期待できれば、大きな困難をものとせずに活動するという人も少なくありません。直...

接的な金銭的メリット以外にも、大きな報酬がその人の能力や努力を象徴し、結果として本人のモチベーションを高めることもあります。このため、金銭的報酬は、手っ取り早い動機付けの手段として利用されます。

 しかし、多くの心理学者が金銭的報酬のマイナス面として、金銭的報酬が内発的動機付けの「自己決定感」を損なうことを指摘しています。企業経営においてはコストが掛かることも問題です。また最近では報酬を求めない人も増えていますので、金銭的報酬の導入には注意が必要です。昇進についても同様の傾向が見られます。

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