革新的テーマを継続的に創出するための「中立要因」(後)

 革新的テーマを生み出し事業化するための「中立要因」を2回に分けて議論していますが、今回は後編として、組織のあり方についてお話します。

◆関連解説『ステージゲート法とは』

 

2.革新的テーマを事業化する過程での組織のありかた

 既存の事業では、商業化を担当する事業部門がありますが、新しい事業を創出する場合には、まだ事業化の体制が整っていないのが普通です。

 事業化活動には、未踏の分野を開拓するために、未知の大きな困難が待ち構えています。

 通常、多くの研究開発担当者には新事業創出経験はありません。また、新しい事業を起こすということは、通常の研究開発活動とは対極にある仕事のため、苦手意識を持つものです。このため、研究開発担当者のなかには、のちのち事業化が求められるようなテーマは積極的に提案したがらない恐れがおおいに考えられます。そこで、革新的テーマを継続的に創出するための中立要因として、社内に事業化するための支援体制を置く必要があります。

 多くの会社では新規事業開発部などが置かれて事業化機能を担いますが、ここで重要なのが、研究開発者と新規事業開発担当者の一体感を醸成することです。

 新事業テーマでは、事業化の過程は文字通り一体の活動ですし、本来的に両者の境界は明確ではありません。日々数多くの問題が発生している中で、官僚的に仕事をしていては前に進むことは困難です。

 新規事業開発部の立ち位置ですが、研究所内に設置することに加え、独立した部として部門対部門という関係を構築させるよりは、研究開発担当者と一体になりながら、担当対担当のような関係の中で仕事をするようにする必要があります。

 また、研究開発プロセスの中での事業化担当者は、比較的後になって必要とされますが、早い段階から事業化を考えて展開しておくことが重要です...

。事業化担当者は、先述したマーケティング担当を兼任しながら、研究開発の初期段階より市場・事業化の面からシームレスに関与することで、スムーズに進行すると考えられます。

 

3.失敗を罰しない

 最後に、革新的テーマ創出と、事業化の両過程での阻害要因を取り除くための共通する要素に「失敗を罰しない」ということがあります。この点は極めて重要なので、稿を改めて取り扱っていきます。

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