今回は10年後へのアプローチ10項目のうち5項目を解説します。
1.創立の理念・ビジョンを次世代に受け継ぐ努力を絶え間なくしているか
これは理念経営の根幹です。受け継がれるべきものは”理念”であり、これを受け継ぐ者、共感する者を得るには、若者たちに向かって理念を発信しつづける事です。もしも、後継者が見当たらないのであれば、その努力をしなかったからであり、自業自得なのです。お互いいつかは死にます。死んだ後に、この世にある会社をコントロール出来るでしょうか?出来ません。この世のことはこの世の人に任されているからです。それが、グランドデザイナー(GD)の第1テーゼなのであり、全て自己責任なのです。
例え今どんな困難な状況であろうと、未来に必要であれば生き続けて発展します。しかし、役立たなければ滅びることになり、この世界から消えるのです。個人も、企業も同じです。
2.後継者候補はいるか・切磋琢磨して育てているか
たとえ後継者候補の若者であっても、課題を与えて任せて強く鍛えることなくして育つ事はありません。使命を感じ取った者は、どんな環境からでも学び取り、自分の潜在能力さえ鍛えてたくましくなります。この様な者が真のエリートであり、統領・リーダーとなれる人です。甘やかして育てても30年、40年と生き残れる程、世の中は甘くありません。
「鉄は熱いうち打て」とは人を育てる時に心がけるべきことです。「三つ子魂百までも」なのですから、一人前にしてあげる事、自立出来るように鍛える事が教育なのだと信じます。
3.「進化・発展・持続」の制約条件を認識しているか
経営環境が変化すれば、強味が弱味になり、必要とする経営資源も変わります。企業の永続的発展に備えるためにも10ヵ年ビジョンは欠かせません。かつて、「借金も財産の内」の時代が長く続きましたが、デフレ下では毒以外の何物でもなくなっているのは、多くの実例が証しています。さらに、株式上場(IPO)と銀行借入とどちらが安全かも、状況によります。IPOのリスクは、あまり公表されていませんが、無視できないものです。
4.マーケットの変化を観察して備えているか
次の時代の商品の種を蒔き育てて先行投資を行い「健全な赤字部門」を持つことができなくなった時に、企業は衰退が始まります。特長のない商品は市場から消えて行くのみで、売上の激減となって表われます。しかし、それを指摘しサポート出来る、経営支援家やコンサルや会計人は皆無に近いのが現実なのです。
5.技術革新や社会環境がも...
デジタル化・IT・バイオ・ナノテク・エコロジー等、中小企業を取り巻く技術は、短時間で技術革新がすすみます。ハイテク型ではスピードを生み出す力と、莫大な資金力がなくてはトップを確保できません。
中小企業でその力があるところは、グローバル・ニッチとして地球規模のマーケットで競争できるでしょう。しかし多くの中小企業は、チーム力で、ネットワークでこの経営課題を解決しなければ持続できないのですから、自我力から離れる必要があります。