やる気スイッチの点火法:計画された偶発理論

 数年前、笹川記念会館で、キャリアカウンセリング・シンポジウムが開催されました。会場には、多数のキャリアカウンセラーが参加し、熱心に発表を聞入っていました。特に、クルンボルツ博士のロールプレイの手本を付加したビデオメッセージにはインパクトを感じました。例えば、次のようなメッセージです。「キャリアについては、計画はあまり重要ではない。なぜなら、計画に囚われすぎてしまうからである。行動することが重要である。」「偶然を待つのではなく、まず、やってみること。最悪なのは、何もしないこと。」 

 クルンボルツ博士には、現代に通用するすばらしい理論があります。計画された偶発理論(Planned Happenstance Theory)です。図1に概要を示しています。「そして、偶然の出来事をPlanned Happenstanceに変えるために、図中の五つのスキルを挙げています。


 図1 計画された偶発理論

 ところで、脳の真ん中、海馬の当たりに、側坐核(そくざかく)と呼ばれる小さな器官が左右一つずつあります。側坐核に刺激を与えると、勉強や仕事の「やる気」が出るそうです。この側坐核はやっかいで、やる気を出そうと思っても、活発に動きません。 どうすればこの側坐核が活発に働き、やる気が出て勉強できるのか。答えは、 実際に行動することだそうです。 行動の意味は、作業でもよいそうです。それで興奮して活発に動き出し、やる気に繋がります。 

 クルンボルツ博士は、環境変化を逆転の発想で乗り切ろうとしたわけです。逆境も良い経験と捉えて行動して乗り切ろうということでした。それと似たようなことを言っていた人がいました。サッカー日本代表のオシム元監督です。彼は、選手に「走りながら考えろ!」と言っていました。「限界を超えれば、次の限界が生まれる!」 これも高い目標にチャレンジすることを意味しま...

す。 やはりオシム監督は、名指導者と言えるのではないでしょうか。 筆者も、講演やセミナーなどで、仕事を行う上での価値観として、次のフレーズを心に刻むことを薦めてきました。 「百聞は一見にしかず(現物重視)< 百見は一考にしかず(思考重視)< 百考は一行にしかず(行動重視)」つまり、やる気スイッチに点火するのは、行動が一番重要だということです。
◆関連解説『人的資源マネジメントとは』

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