1. 多重度因子
回折が例えば(100)で起こる時、同じ面間隔を持つ(010)、(001)などの面も同様に回折を起こします。
この時、(100)、(010)、(001)は異なるミラー指数ですが、同じ回折を起こすため、回折強度はこれら3つの等価な面から起こる回折強度の合計となります。
このように回折を起こすミラー指数のうち、等価な面のミラー指数の数を多重度因子として表します。例えば、立方晶の{100}の多重度因子は(100)、(010)、(001)、(-100)、(0-10)、(00-1)の6個です。また{111}の場合(111)、(-111)、(1-11)、(11-1)、(-1-11)、(-11-1)、(1-1-1)、(-1-1-1)の8個となり、{100}よりも回折を起こす面が多くなります。
立方晶の多重度因子を下表に示します。面指数が複雑になるほど(等価な面が多いほど)多重度因子は多くなる傾向があります。
表.立方晶の多重度因子
2. かたより因子
X線は電磁波であり、ターゲット内で電子を急減速することによって発生します。
そのため電子とX線は相互作用があると言えます。電子にX線を入射すると散乱が起こりますが、その強さは散乱角によって異なります。これをかたより因子(偏光因子)といいます。
かたより因子は入射ビームの強度を基準にして散乱ビームの強度を与えます。これを表すと式(1)になります。cosで表されるように0°と180°(入射ビームの前方または後方)で最大になり、入射ビームの垂直方向は最小となります。
次回に続きます。