◆ 元素分析装置
原子スペクトル分析は下記の3種類に分類できます。
- 原子発光分析(AES:Atomic Emission Spectrometry)
- 原子吸光分析(AAS:Atomic Absorption Spectrometry)
- 原子蛍光分析(AFS:Atomic Fluorescence Spectrometry)
原子をプラズマなどで熱的に励起させることで発光スペクトルが発生します。この発光スペクトルは原子固有の値のため、発光スペクトルの波長(又は振動数)によって原子の同定(定性分析)ができます。これが原子発光分析です。
反対に、エネルギー準位に相当するエネルギーを原子に与えると、そのエネルギーを吸収して、励起状態になります。与えるエネルギーは原子ごとに固有となります。これが原子吸光分析です。さらに、エネルギーを吸収して励起状態になった原子が元の基底状態に戻る時に蛍光を放出します。これが原子蛍光分析です。しかし、原子蛍光分析はあまり使用されていません。具体的な元素分析装置を下記に示します。
- 誘電結合プラズマ発光分析:ICP-AES (Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectrometry)
- 誘電結合プラズマ質量分析:ICP-MS (Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry)
- グロー放電発光分析:GD-OES (Glow Discharge Optical Emission Spectrometry)
- グロー放電質量分析:GD-MS (Glow Discharge Mass Spectrometry)
- スパーク放電発光分光分析:OES(Optical Emission Spectrometry)
- 原子吸光分析:AAS (Atomic Absorption Spectrometry)
なお、ICP-AESをICP-OES (Inductively Coupled Plasma Optical Emission Spectrometry)、発光分析(AES)を発光分光分析と呼ぶこともあります。スパーク放電発光分光分析は固体発光分光分析または単に発光分光分析と呼ぶこともあります。装置名称として、最初にICPやGDなどの励起源の名称がつき、その後にAESやMSなどの分析方法の名称がつきます...
次回に続きます。
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