誘電結合プラズマ、プラズマ中の原子挙動:金属材料基礎講座(その147)

【目次】

    1. 誘電結合プラズマ

    プラズマとは「気体中の原子や分子が電離して、正イオンと電子がほぼ等量まざりあって存在し、平均的に電気的中性の状態を保っている状態である」と定義されています。なお、ICPの場合、原子が電離されている割合は少なく0.1%程度です。プラズマは気体に電界、光、熱などの高いエネルギーを集めれば生成できます。

     

    ICPではプラズマを発生させるために高周波、誘導コイル、3重のトーチなどが構成されています。コイルに高周波電流が流れると、電磁誘導によって高周波磁界が発生します。そこにアルゴンガスをらせん状に流し、高電圧発生器(イグナイター)により発生した火花放電などによってプラズマが生成・維持されます。その模式図を下図に示します。プラズマの温度は5000~8000℃程度となり、多くの金属元素の励起源となります。試料溶液はドーナツ状のプラズマの中心をと通るため、周囲のプラズマによって励起されます。

    図.プラズマ発生の原理

     

    2. プラズマ中の原子挙動

    ICPにおけるプラズマの温度は5000~8000℃程度ですが、これは電子のエネルギーであるeV(エレクトロンボルト)になおすと1eV近くになります。1eVは約11300℃です。1eVとは1個の電子が1Vの電位差で加速された時に得るエネルギーに等しく1.602×10-19Jです。プラズマ中ではこのような状況で原子、分子、イオン、電子などの粒子が衝突しています。イオンや電子など荷電粒子の衝突では運動エネルギー以外にも下記のような様々な反応が起こります。 

    安定準位とは励起状態の原子が発光できずに長時間とどまっている状態です。そしてA原子の準安定準位の励起エネルギーよりもB原子のイオン化エネルギーが低い時にB原子がイオン化されることです。

     

    次回に続きます。

    関連解説記事:マランゴニ対流~宇宙でもきれいに混ざらない合金の不思議 

    関連解説記事:金属材料基礎講座 【連載記事紹介】

     

    連載記事紹介:ものづくりドットコムの人気連載記事をまとめたページはこちら!

     

    【ものづくり セミナーサーチ】 セミナー紹介:国内最大級のセミナー掲載数 〈ものづくりセミナーサーチ〉 はこちら!

     

    ↓ 続きを読むには・・・

    新規会員登録


    この記事の著者