プラズマの観察方向、分光分析の干渉:金属材料基礎講座(その148)

【目次】

    1. プラズマの観察方向

    ICPのプラズマを観察・分析する方向として、ラジアル測光(径方向)とアクシャル測光(軸方向)があります。

     

    プラズマのラジアル、アクシャルの位置関係を下図に示します。ドーナツ状のプラズマの中心を試料溶液が通過しますが、その時に最も試料元素が効率的に励起され発光する位置で分析を行います。ラジアルの場合、コイルから15~18mm程度の位置が最も分析に適しています。アクシャルはプラズマの中心を覗き込むように分析します。ラジアルは高濃度分析にも利用でき、イオン化干渉を受けにくいとされます。アクシャルは高感度分析に強くイオン化干渉を受けやすいとされています。最近の装置ではラジアルとアクシャルは分析する時に設定ができます。

    図.分析する方向

     

    2. 分光分析の干渉

    ICP-AESのような発光分光分析では主に4つの干渉が起こりやすいです。

     

    それは物理干渉、化学干渉、イオン化干渉、分光干渉です。物理干渉とは試料溶液の粘度や酸濃度などの違いによって試料導入量が変化することです。化学干渉とは測定元素がきちんと原子化されずに難解離性化合物のまま残ってしまい測定すべき元素の量が変化することです。

     

    イオン化干渉とはアルカリ金属のようにイオン化されやすい元素の測定において、プラズマ中で原子とイオンの平衡が崩れることです。分光干渉とは目的の元素の発光スペクトルが別の元素の発光スペクトルと重なることです。

     

    ICP-AESでは4つの干渉のうち物理干渉、イオン化干渉、分光干渉が影響されやすいです。化学干渉はプラズマの温度が高いため、化学干渉の影響は小さいです。なお、原子吸光法では反対に化学干渉の影響が大きく、物理干渉、イオン化干渉、分光干渉の影響は小さくなります。

     

    次回に続きます。

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