共晶組織の量的計算:金属材料基礎講座(その165) わかりやすく解説

 

◆ 共晶組織の量的計算

共晶反応とは1つの液相から2つの固相αとβが同時に表れることです。なお、類似の言葉として共析反応があります。

 

共析反応の例としてFe-C系状態図のオーステナイトからパーライト変態があります。これは1つの固相(オーステナイト)から2つの固相(フェライトとセメンタイト)が表れることです。ここで、液相から固相が表れることを晶出と言います。

 

そして固相から固相が表れることを析出と言います。なお、量的計算方法は共晶反応も共析反応も同じです。「晶」と「析」の違いは共晶と共析の他に包晶と包析、偏晶と偏析にも当てはまります。

 

下図に共晶型状態図と共晶組織の模式図を示します。A-50%B合金の時に共晶反応を起こします。そして共晶反応の範囲はA-20%B合金からA-90%B合金です。

 

また、S点はαの最大固溶限、V点はβの最大固溶限でもあります。温度T1は共晶温度直上のため、全て液相です。これが温度T2の共晶温度直下になると共晶反応によってαとβの組織になります。例としてαを赤玉、βを白地としています。共晶組織の量的計算もてこの原理から計算します。αの比率はVT、βの比率はTSで表されます。そして分母はVSとなります。これを計算すると式(1)、(2)のようになります。

 

図.共晶反応の模式図

 

次回に続きます。

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