包晶組織の量的計算:金属材料基礎講座(その169) わかりやすく解説

New

包晶組織の量的計算:金属材料基礎講座(その169) わかりやすく解説

 

◆ 包晶組織の量的計算

包晶状態図の包晶組成における凝固、包晶反応、析出過程を見ていきます。下図に包晶反応状態図の模式図を示します。包晶組成はT合金(A-60%B合金)です。下図の状態図では包晶反応はA-20%B合金からA-80%B合金の範囲で起こります。はじめに全て液相Lの状態から液相線、固相線に従って初晶αの晶出が起こります。温度T1(包晶温度直上)における初晶αと液相Lの量は、てこの原理によりLはTS、初晶αはVT、分母はVSとなります。これらを計算すると式(1)、(2)のようになります。

 

包晶組織の量的計算:金属材料基礎講座(その169) わかりやすく解説

図.包晶反応状の模式図と式

温度T2では包晶反応が起こります。包晶反応はLとαが決められた比率でβを晶出します。これは状態図から読み取ります。包晶線のL、α、βそれぞれの位置より、L:TS/α:VTの時に100%βになります。そのためT組成の合金ではT1の時のLと晶出したαが全てβになります。もし合金組成がTSの間の時はαが多めになるので、包晶βと残った初晶αの組織になります。合金組成がVTの間の時はLが多めになるので、包晶βと残ったLの組織になります。その後、残ったLはL+βの液相線、固相線に従ってβ相の晶出が起こります。

 

温度T3ではβ相から溶解度線の減少に伴いα相の析出が起こります。βからαの析出ではTを起点としたてこの原理となります。分子はXT、分母はXU、これにβの量をかけて析出αを計算します。そして元のβの量から析出αの量を引いて室温のβの量を計算します。

 

次回に続きます。

関連解説記事:マランゴニ対流~宇宙でもきれいに混ざらない合金の不思議 

関連解説記事:金属材料基礎講座 【連載記事紹介】

 

連載記事紹介:ものづくりドットコムの人気連載記事をまとめたページはこちら!

 

包晶組織の量的計算:金属材料基礎講座(その169) わかりやすく解説

 

◆ 包晶組織の量的計算

包晶状態図の包晶組成における凝固、包晶反応、析出過程を見ていきます。下図に包晶反応状態図の模式図を示します。包晶組成はT合金(A-60%B合金)です。下図の状態図では包晶反応はA-20%B合金からA-80%B合金の範囲で起こります。はじめに全て液相Lの状態から液相線、固相線に従って初晶αの晶出が起こります。温度T1(包晶温度直上)における初晶αと液相Lの量は、てこの原理によりLはTS、初晶αはVT、分母はVSとなります。これらを計算すると式(1)、(2)のようになります。

 

包晶組織の量的計算:金属材料基礎講座(その169) わかりやすく解説

図.包晶反応状の模式図と式

温度T2では包晶反応が起こります。包晶反応はLとαが決められた比率でβを晶出します。これは状態図から読み取ります。包晶線のL、α、βそれぞれの位置より、L:TS/α:VTの時に100%βになります。そのためT組成の合金ではT1の時のLと晶出したαが全てβになります。もし合金組成がTSの間の時はαが多めになるので、包晶βと残った初晶αの組織になります。合金組成がVTの間の時はLが多めになるので、包晶βと残ったLの組織になります。その後、残ったLはL+βの液相線、固相線に従ってβ相の晶出が起こります。

 

温度T3ではβ相から溶解度線の減少に伴いα相の析出が起こります。βからαの析出ではTを起点としたてこの原理となります。分子はXT、分母はXU、これにβの量をかけて析出αを計算します。そして元のβの量から析出αの量を引いて室温のβの量を計算します。

 

次回に続きます。

関連解説記事:マランゴニ対流~宇宙でもきれいに混ざらない合金の不思議 

関連解説記事:金属材料基礎講座 【連載記事紹介】

 

連載記事紹介:ものづくりドットコムの人気連載記事をまとめたページはこちら!

 

【ものづくり セミナーサーチ】 セミナー紹介:国内最大級のセミナー掲載数 〈ものづくりセミナーサーチ〉 はこちら!

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

福﨑 昌宏

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。


「金属・無機材料技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
フレッティング摩耗 金属材料基礎講座(その46)

  ◆ フレッティング摩耗   図1.接触応力における応力場の分布  機械部品の中には歯車やベアリングなど、他の部品と...

  ◆ フレッティング摩耗   図1.接触応力における応力場の分布  機械部品の中には歯車やベアリングなど、他の部品と...


アノードとカソード 金属材料基礎講座(その53)

  ◆ 電気分解 ~ アノードとカソード  自由電子は導線など金属の中を動くことができますが、水溶液などの電解質中を動くことはできません...

  ◆ 電気分解 ~ アノードとカソード  自由電子は導線など金属の中を動くことができますが、水溶液などの電解質中を動くことはできません...


鉄鋼製錬とは:金属材料基礎講座(その87)

  1. 鉄鋼製錬 ~ 転炉・取鍋製錬技術 (1) 転炉  転炉では溶銑予備処理を済ませた鉄以外にもスクラップの鉄も投入されます。 ...

  1. 鉄鋼製錬 ~ 転炉・取鍋製錬技術 (1) 転炉  転炉では溶銑予備処理を済ませた鉄以外にもスクラップの鉄も投入されます。 ...


「金属・無機材料技術」の活用事例

もっと見る
ゾルゲル法による反射防止コートの開発と生産

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...


金代替めっき接点の開発事例 (コネクター用貴金属めっき)

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...