金製錬とは:金属材料基礎講座(その93)

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金製錬

 

◆ 金製錬:アマルガム法と灰吹法

 金製錬の原料としては、金鉱石の他にも銅製錬や鉛精錬の副産物としてアノードスライム[1]などがあります。金製錬には色々な方法がありますが、古くから行われていたアマルガム法、灰吹法などをご紹介します。

 アマルガム法とは金や銀の鉱石を水銀を使って溶解させ、水銀成分を蒸発させることで金や銀を精製する方法です。金や銀は水銀とアマルガムという合金を作る性質があるので、それを利用します。かつて奈良の大仏を造る際、表面を覆う金をアマルガム法で精錬しました。蒸発した水銀は有毒性があるため、同法は今ではあまり行われていません。

 一方、灰吹法は鉛を使用した精製方法です。粗銅には金や銀が含まれていますが、この時に溶解した鉛に粗銅を投入すると、銅中の金や銀が鉛側に移動して分離回収できます。金や銀を取り込んだ鉛を加熱して酸化鉛とすると、金や銀が残ります。この方法は南蛮吹きとも呼ばれます。

 銅製錬でできたアノードスライムから金を製錬する方法として湿式製錬法があります。アノードスライムを塩素ガスで浸出処理すると、浸出液に金、残渣(ざんさ:残りかす)として銀が分離されます。金の浸出液は溶媒抽出によって抽出されますので、これをさらに精製し、金粉末や金地金とします。

 

 次回に続きます。

 【用語解説】

 [1]アノードスライム:陽極泥(ようきょくでい、英語:Anode slime)とは電解精錬を行った際、副産物として得られる一部の不純物の集合である。電解精錬により精製したい金属よりもイオン化傾向の小さい金属は、陽極においてイオン化することなく、単体の微粒子として極板から離れて電解槽の底に沈む。こうして陽極泥はできる。従って、目的の金属よりもイオン化傾向の大きい金属が陽極泥から得られることはあり得ない。銅の...

金製錬

 

◆ 金製錬:アマルガム法と灰吹法

 金製錬の原料としては、金鉱石の他にも銅製錬や鉛精錬の副産物としてアノードスライム[1]などがあります。金製錬には色々な方法がありますが、古くから行われていたアマルガム法、灰吹法などをご紹介します。

 アマルガム法とは金や銀の鉱石を水銀を使って溶解させ、水銀成分を蒸発させることで金や銀を精製する方法です。金や銀は水銀とアマルガムという合金を作る性質があるので、それを利用します。かつて奈良の大仏を造る際、表面を覆う金をアマルガム法で精錬しました。蒸発した水銀は有毒性があるため、同法は今ではあまり行われていません。

 一方、灰吹法は鉛を使用した精製方法です。粗銅には金や銀が含まれていますが、この時に溶解した鉛に粗銅を投入すると、銅中の金や銀が鉛側に移動して分離回収できます。金や銀を取り込んだ鉛を加熱して酸化鉛とすると、金や銀が残ります。この方法は南蛮吹きとも呼ばれます。

 銅製錬でできたアノードスライムから金を製錬する方法として湿式製錬法があります。アノードスライムを塩素ガスで浸出処理すると、浸出液に金、残渣(ざんさ:残りかす)として銀が分離されます。金の浸出液は溶媒抽出によって抽出されますので、これをさらに精製し、金粉末や金地金とします。

 

 次回に続きます。

 【用語解説】

 [1]アノードスライム:陽極泥(ようきょくでい、英語:Anode slime)とは電解精錬を行った際、副産物として得られる一部の不純物の集合である。電解精錬により精製したい金属よりもイオン化傾向の小さい金属は、陽極においてイオン化することなく、単体の微粒子として極板から離れて電解槽の底に沈む。こうして陽極泥はできる。従って、目的の金属よりもイオン化傾向の大きい金属が陽極泥から得られることはあり得ない。銅の電解精錬における例が代表的であり、この場合は銀や金が陽極泥から回収される。 粗銅1 tの電解精錬で生じる陽極泥の中から、銀が約1 kg、金が約30 g回収できる。これらの副産物(貴金属)は、銅の電解精錬の重要な収益となる。(引用:Wikipediaから、https://ja.wikipedia.org/、最終更新 2019年9月23日 )。

◆【関連解説:金属・無機材料技術】

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この記事の著者

福﨑 昌宏

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