CCT曲線とは:金属材料基礎講座(その97)

更新日

投稿日

 

◆ CCT曲線

TTT曲線はA1変態点以下の温度にて保持する状態を表します。

しかし、実際の熱処理では温度を保持することよりも連続的に冷却する方が一般的です。そこで、オーステナイト温度から冷却速度を表示して、マルテンサイト変態(記事:パーライト変態・マルテンサイト変態:金属材料基礎講座(その95)にて解説)を起こすのに必要な冷却速度を表したのがCCT曲線(Continuous Cooling Transformation curve 連続冷却変態曲線)です。CCT曲線を図1に示します。

 

金属

図1.CCT曲線

 ...

 

◆ CCT曲線

TTT曲線はA1変態点以下の温度にて保持する状態を表します。

しかし、実際の熱処理では温度を保持することよりも連続的に冷却する方が一般的です。そこで、オーステナイト温度から冷却速度を表示して、マルテンサイト変態(記事:パーライト変態・マルテンサイト変態:金属材料基礎講座(その95)にて解説)を起こすのに必要な冷却速度を表したのがCCT曲線(Continuous Cooling Transformation curve 連続冷却変態曲線)です。CCT曲線を図1に示します。

 

金属

図1.CCT曲線

 

CCT曲線にもTTT曲線と同様にMs、Mfなどの表記が見られます。

冷却速度が早ければマルテンサイト組織になりますが、冷却速度が遅くなるとパーライト組織が増えていき、最終的には全てパーライトになります。また、TTT曲線[1]では温度が高いほど組織が粗く強度が低くなりましたが、CCT曲線では冷却速度が遅いほど組織が粗く強度が低くなります。

冷却速度として、組織全体がマルテンサイトとパーライトが表れはじめる境目の冷却速度のことを上部臨界冷却速度(赤いライン)、組織全体がパーライトとマルテンサイトが表れはじめる境目の冷却速度のことを下部臨界冷却速度(青いライン)と呼びます。

 

次回に続きます。

 

【用語解説】

[1]TTT図: (TTTず、time-temperature-transformation, TTT diagrams)とは、縦軸に線形目盛で温度を、横軸に対数目盛で時間をとることで、温度と時間による鋼の組織の変化を示した図である。共析鋼の炭素含有率で示されたものが一般的である。S曲線、恒温変態曲線 (isothermal-transformation-diagram) などの呼び方がある。(引用:Wikipediaから、https://ja.wikipedia.org/、最終更新 2020年1月27日 (月)  )。

 

◆【関連解説:金属・無機材料技術】

   続きを読むには・・・


この記事の著者

福﨑 昌宏

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。


「金属・無機材料技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ウルフネットの描き方:金属材料基礎講座(その185) わかりやすく解説

  ◆ ウルフネットの描き方 国内最多のものづくりに関するセミナー掲載中! ものづくりドットコムでは、製造業に関するセミナ...

  ◆ ウルフネットの描き方 国内最多のものづくりに関するセミナー掲載中! ものづくりドットコムでは、製造業に関するセミナ...


JIS G3141 冷間圧延鋼板及び鋼帯:金属材料基礎講座(その103) 

  冷間圧延鋼板はSPCC(Steel Plate Cold Commercial)と呼びます。   なお、熱間圧延鋼板はS...

  冷間圧延鋼板はSPCC(Steel Plate Cold Commercial)と呼びます。   なお、熱間圧延鋼板はS...


疲労強度とは? 疲労の概要やS-N曲線の見方など基礎的な知識について解説

機械や構造物の破壊事故の約80%は疲労による破壊が原因とされており、疲労破壊による航空機や鉄道車両、自動車、橋梁などの重大な事故も多く発生しています。...

機械や構造物の破壊事故の約80%は疲労による破壊が原因とされており、疲労破壊による航空機や鉄道車両、自動車、橋梁などの重大な事故も多く発生しています。...


「金属・無機材料技術」の活用事例

もっと見る
ゾルゲル法による反射防止コートの開発と生産

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...


金代替めっき接点の開発事例 (コネクター用貴金属めっき)

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...