凝固、過冷却と核生成 金属材料基礎講座(その15)

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【目次】

     

    1. 金属の凝固

     多くの金属製品にとって、最初の製造工程は溶融した金属を固相に固めること(凝固)から始まります。鋳物であれば、この時に最終製品形状に近い形に形作られ、熱処理や表面仕上げなどをして製品仕上げになります。一方、展伸材などではこの固めた金属の元材(ビュレット)を鍛造、圧延加工などを行い製品にします。溶解・凝固過程を経ずに金属製品となるのは、焼結などの加工品のみです。そのため金属材料を扱う時に、材料の出発となる金属の溶解・凝固過程を把握することは非常に重要です。金属の凝固過程は純金属が基本になります。合金の凝固では成分元素が増えることで凝固過程が複雑になります。

     純金属でも合金でも、凝固において金属材料は体積収縮が起きます。材料によって多少...

     

    【目次】

       

      1. 金属の凝固

       多くの金属製品にとって、最初の製造工程は溶融した金属を固相に固めること(凝固)から始まります。鋳物であれば、この時に最終製品形状に近い形に形作られ、熱処理や表面仕上げなどをして製品仕上げになります。一方、展伸材などではこの固めた金属の元材(ビュレット)を鍛造、圧延加工などを行い製品にします。溶解・凝固過程を経ずに金属製品となるのは、焼結などの加工品のみです。そのため金属材料を扱う時に、材料の出発となる金属の溶解・凝固過程を把握することは非常に重要です。金属の凝固過程は純金属が基本になります。合金の凝固では成分元素が増えることで凝固過程が複雑になります。

       純金属でも合金でも、凝固において金属材料は体積収縮が起きます。材料によって多少の差はありますが、およそ10%程度です。原子レベルで液相状態では金属原子が比較的自由に動き回れます。これが凝固して固相になると結晶構造に従って、金属原子が規則的に配列します。そのため、体積が減少するのです。

      2. 過冷却と核生成

       溶融状態(液相)の金属を冷却すると凝固温度で固相に変化します。しかし、凝固温度に到達してすぐに凝固過程がはじまるのではありません。凝固温度に達しただけでは金属はまだ液相状態のままなのです。凝固温度で凝固が起こらずに液相状態のままさらに温度が下がり続けます。この凝固温度より低い温度でも液相状態を保持して温度が低下する現象を過冷却と呼びます。これを図1に示します。また、凝固が起こるためには温度だけでなく凝固の核が必要です。この過冷却の時に金属原子が集まり、凝固のための核生成が起こります。

      金属材料

      図1. 過冷却の温度プロファイル

       凝固の核があるとその周りに金属原子が集まり、結晶構造を形成していきます。これが凝固過程です。一度、核生成が行われると過冷却から凝固温度に上昇し、凝固が完了するまで温度が一定となります。温度が一定となるのは凝固過程では凝固潜熱という熱の放出が金属自身から起きます。そして冷却という周囲の環境のバランスが取れて凝固中は温度が一定になるのです。核生成から成長してきた原子集団が結晶粒になります。そして隣の結晶粒とぶつかった所が結晶粒界になります。その様子を図2に示します。

      金属材料

      図2. 核生成、成長の模式図

       核生成は溶融金属自身の中から起こる均質核生成と、鋳型や不純物元素などの異質な所を核として起こる不均質核生成の2種類があります。実際の凝固においては不均質核生成の方が容易に起きます。不均質核生成の核となる材料を多量に添加させれば、それだけ核生成の場所が増加します。その結果、結晶粒を微細にすることができます。

       次回に続きます。

      ◆【関連解説:金属・無機材料技術】

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      この記事の著者

      福﨑 昌宏

      金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

      金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。


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