1. 鉄鋼製錬 ~ 転炉・取鍋製錬技術
(1) 転炉
転炉では溶銑予備処理を済ませた鉄以外にもスクラップの鉄も投入されます。
原料を転炉に投入し、スラグ原料の生石灰を入れて転炉上部から純酸素を吹き付けます。この時の酸素によって銑鉄中の炭素は一酸化炭素として放出されます。酸素と炭素の親和力は酸素と鉄の親和力よりも大きいため、鉄は酸化されず炭素だけが反応します。
また、炭素以外のSi(シリコン)、Mn(マンガン)なども酸化されてスラグとなり除去されます。この時の酸化反応によって反応熱が発生するので温度が上がります。転炉には上部から吹付けながら、底から不活性ガスや酸素を流す上底吹き転炉もあります。
(2)取鍋製錬
取鍋製錬(とりべせいれん)とは転炉と連続鋳造の間に行われる不純物除去や成分調整の工程です。
一次製錬が転炉にて行われるのに対し、取鍋を使用するので取鍋製錬と呼ばれます。または二次製錬ともいいます。取鍋製錬では脱炭、脱酸、脱ガスなどが行われ、成分調整にはフェロシリコン、フェロマンガン、Al(アルミニウム)などの合金添加が行われます。取鍋製錬には色々な種類がありますが、真空脱ガス装置(RH:Ruhrstahl Heraeus)によって脱炭、脱ガスなどが行われます。RHとは2本の管を備えた真空槽です。ここにアルゴンガスを吹き込み、その浮力によってガス成分を撹拌(かくはん)させ脱ガスします。高炉、特殊鋼メーカーでは広く普及しています。
2. 鉄鋼製錬 ~ 連続鋳造・圧延方法
転炉・取鍋製錬に続く溶鋼では、連続鋳造(ちゅうぞう)によって所定の長さのスラブ、ビュレット、ブルームなどの形状に加工されます。連続鋳造の模式図を図1に示します。
図1.連続鋳造の模式図
取鍋の溶湯はタンディッシュ[1]に移されます。タンディッシュでは酸化物などのスラグ[2]を表面に浮かばせて除去します。タンディッシュの下から鋳型へ溶湯を流します。ここで鋼の表面が凝固され、引き出されて湾曲していきます。そして二次冷却され中心まで凝固します。このように途切れることなく一つの帯として鋼ができます。そしてガス切断機によって所定の長さに切断します。
切出されたスラブやビュレットなどは連続鋳造後、加熱炉によって所定の温度に加熱して熱間圧延を行い板、棒、線、管などに加工されます。薄板に加工する場合は冷間圧延によって加工されます。連続鋳造は溶鋼全体を一つの帯にするように加工します。そのため、バッチ式に鋳造...