◆ アノード反応とカソード反応
腐食の分野において酸化反応をアノード反応、還元反応をカソード反応といいます。
和訳すると陽極反応、陰極反応ですが、電池反応における陽極反応、陰極反応と混同する恐れがあるので、腐食反応ではそのままアノード反応、カソード反応と表記することが多いようです。
実際の腐食反応におけるカソード反応は金属の還元反応ではなく、金属表面で水分や酸素が反応して水酸化物イオンを生成するような反応が行われます。アノード反応、カソード反応、全体反応を図1に示します。Fe(OH)2が腐食生成物となります。腐食反応ではこのように電子やイオンが反応するので電流が流れます。この腐食反応で発生する電流を腐食電流(ガルバニック電流)と呼びます。そしてこの時の電気回路を腐食電池と呼びます。
図1. 水中腐食の基本モデル
全体反応において鉄は酸化数が0から+2に増加したため、酸化されたといえます。一方、酸素の酸化数が0から-2に減少したため還元されたといえます。
酸化と還元は必ずペアになって反応が行われます。そして鉄のように相手を還元させる物質を還元剤、酸素のように相手を酸化させる物質を酸化剤といいます。腐食では金属がアノード溶解するので、金属が還元剤、酸素などが酸化剤となります。そして腐食に関係する酸化剤は酸素以外にも水...