めっきの製膜方法とは:金属材料基礎講座(その77)

更新日

投稿日

金属

 

◆ めっき(メッキ)の製膜法とその特徴

 めっきの製膜方法として主に溶融めっき、電気めっき、無電解めっきがあります。それぞれの特徴を表1に示します。

表1.めっきの製膜方法

金属

 

 溶融めっきはめっき材料を溶解して、その中に鉄など基材となる材料を浸して製膜します。溶融めっきは融点の低い亜鉛やアルミニウムに適用されますが、溶融亜鉛めっき鋼板が広く使用されています。

 電気めっきとは、めっき材料をイオン化した溶液に浸し、鉄などの基材をマイナス極、めっき材料または不溶性の電極をプラス極として接続し、直流電流を流すことで表面にめっき材料が析出して製膜されます。めっき材料をプラス電極とした場合は電極からイオン溶解するので、溶液の金属イオンの補給ができます。不溶性電極を使用する時は金属イオンの補給に化学薬品を使用します。電気めっきはクロムやニッケルなどのめっきで使用されます。

 無電解めっきは電気を流さずに、化学反応で金属表面にめっき層を析出させます。無電解めっきの方法として還元剤を使用した無電解めっきがあります。めっき材料をイオン化した溶液に...

金属

 

◆ めっき(メッキ)の製膜法とその特徴

 めっきの製膜方法として主に溶融めっき、電気めっき、無電解めっきがあります。それぞれの特徴を表1に示します。

表1.めっきの製膜方法

金属

 

 溶融めっきはめっき材料を溶解して、その中に鉄など基材となる材料を浸して製膜します。溶融めっきは融点の低い亜鉛やアルミニウムに適用されますが、溶融亜鉛めっき鋼板が広く使用されています。

 電気めっきとは、めっき材料をイオン化した溶液に浸し、鉄などの基材をマイナス極、めっき材料または不溶性の電極をプラス極として接続し、直流電流を流すことで表面にめっき材料が析出して製膜されます。めっき材料をプラス電極とした場合は電極からイオン溶解するので、溶液の金属イオンの補給ができます。不溶性電極を使用する時は金属イオンの補給に化学薬品を使用します。電気めっきはクロムやニッケルなどのめっきで使用されます。

 無電解めっきは電気を流さずに、化学反応で金属表面にめっき層を析出させます。無電解めっきの方法として還元剤を使用した無電解めっきがあります。めっき材料をイオン化した溶液に還元剤も添加します。還元剤から放出された電子をめっき浴の金属イオンが受取り、還元することで析出します。無電解めっきにはニッケル-リンめっきなどがあります。

 

 次回に続きます。

◆【関連解説:金属・無機材料技術】

   続きを読むには・・・


この記事の著者

福﨑 昌宏

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。


「金属・無機材料技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
不動態皮膜 金属材料基礎講座(その61)

    ◆ 不動態皮膜の特徴 金属表面をどれだけ鏡面仕上げに研磨して磨いても、大気中の酸素と表面が反応し、ナノレベルの薄くて透明...

    ◆ 不動態皮膜の特徴 金属表面をどれだけ鏡面仕上げに研磨して磨いても、大気中の酸素と表面が反応し、ナノレベルの薄くて透明...


ネオジム磁石の特長とは?利用例も紹介

  ネオジム磁石は、レアアース磁石の一種で、小型でも高い磁性を発揮する特に強力な永久磁石です。この記事では、ネオジム磁石の特徴や活用方法に...

  ネオジム磁石は、レアアース磁石の一種で、小型でも高い磁性を発揮する特に強力な永久磁石です。この記事では、ネオジム磁石の特徴や活用方法に...


コンデンサレンズと対物レンズ:金属材料基礎講座(その121)

【目次】 1. コンデンサレンズ(集束レンズ) コンデンサレンズ(集束レンズ)はプローブ電流とプローブ径を調整するレンズです。そし...

【目次】 1. コンデンサレンズ(集束レンズ) コンデンサレンズ(集束レンズ)はプローブ電流とプローブ径を調整するレンズです。そし...


「金属・無機材料技術」の活用事例

もっと見る
ゾルゲル法による反射防止コートの開発と生産

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...

 15年前に勤務していた自動車用部品の製造会社で、ゾルゲル法による反射防止コートを樹脂基板上に製造する業務の設計責任者をしていました。ゾルゲル法というのは...


金代替めっき接点の開発事例 (コネクター用貴金属めっき)

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...

 私は約20年前に自動車用コネクターメーカーで、接点材料の研究開発を担当していました。当時の接点は錫めっきが主流でした。一方、ECU(エンジンコントロール...