偏晶組織の量的計算:金属材料基礎講座(その172) わかりやすく解説

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偏晶組織の量的計算:金属材料基礎講座(その172) わかりやすく解説

 

◆ 偏晶組織の量的計算

偏晶状態図の偏晶組成における凝固、偏晶反応、析出過程を見ていきます。図1に偏晶反応状態図の模式図を示します。偏晶組成はT合金(A-20%B合金)です。図1の状態図では偏晶反応はA-10%B合金からA-75%B合金の範囲で起こります。偏晶反応では、初めは全て液相Lですが、温度が低下すると液相がL1とL2に分離します。T合金では偏晶組成のため、Lは全てL1となり、温度T2でL1からL2とαが晶出する偏晶反応が起こります。偏晶反応における偏晶α(α1)とL2の量は、てこの原理により偏晶αはXT、L2はTS、分母はXSとなります。これらを計算すると式(1)、(2)のようになります。

 

偏晶組織の量的計算:金属材料基礎講座(その172) わかりやすく解説

図1.偏晶反応状態図の模式図-1と式

 

偏晶反応の後は溶解度の減少もないので、そのまま温度が低下します。そしてT3になるとL2から共晶αと共晶βの共晶反応が起こります。てこの原理により共晶α(α2)はVX、共晶β(β2)はXS、分母はVSとなります。ここにL2の量をかけることで共晶α、共晶βが求められます。これらの計算式を式(3)、(4)に示します。

 

温度がT3からT4に低下すると溶解度の減少に伴う析出が起こります。αからβの析出量はSを起点としたてこの原理となります。分子はSA、分母はBA、これにαの量をかけて析出βを計算します。βからα析出量はVを起点としたてこの原理となります。分子はBV、分母はBA、これにβの量をかけて析出αを計算します。αは偏晶α(α1)と共晶α(α2)からそれぞれβの析出が起こります。βは共晶β(β2)からαの析出が起こります。これらを計算すると式(5)~(10)のようになります。

 

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図2.偏晶反応状態図の模式図-2と式

 

αの総量は偏晶α(α1’)と共晶α(α2’)と共晶βからの析出α(α4)です。βの総量は共晶β(β2’)と偏晶αからの析出β(β3)と共晶αからの析出β(β4)です。これらの計算を式(11)、(12)に示します。検算として、温度T4におけるα、βをT組成から直接てこの原理で計算すると式(13)~(16)となります。この結果が等しいことが検算成功です。

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次回に続きます。

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偏晶組織の量的計算:金属材料基礎講座(その172) わかりやすく解説

 

◆ 偏晶組織の量的計算

偏晶状態図の偏晶組成における凝固、偏晶反応、析出過程を見ていきます。図1に偏晶反応状態図の模式図を示します。偏晶組成はT合金(A-20%B合金)です。図1の状態図では偏晶反応はA-10%B合金からA-75%B合金の範囲で起こります。偏晶反応では、初めは全て液相Lですが、温度が低下すると液相がL1とL2に分離します。T合金では偏晶組成のため、Lは全てL1となり、温度T2でL1からL2とαが晶出する偏晶反応が起こります。偏晶反応における偏晶α(α1)とL2の量は、てこの原理により偏晶αはXT、L2はTS、分母はXSとなります。これらを計算すると式(1)、(2)のようになります。

 

偏晶組織の量的計算:金属材料基礎講座(その172) わかりやすく解説

図1.偏晶反応状態図の模式図-1と式

 

偏晶反応の後は溶解度の減少もないので、そのまま温度が低下します。そしてT3になるとL2から共晶αと共晶βの共晶反応が起こります。てこの原理により共晶α(α2)はVX、共晶β(β2)はXS、分母はVSとなります。ここにL2の量をかけることで共晶α、共晶βが求められます。これらの計算式を式(3)、(4)に示します。

 

温度がT3からT4に低下すると溶解度の減少に伴う析出が起こります。αからβの析出量はSを起点としたてこの原理となります。分子はSA、分母はBA、これにαの量をかけて析出βを計算します。βからα析出量はVを起点としたてこの原理となります。分子はBV、分母はBA、これにβの量をかけて析出αを計算します。αは偏晶α(α1)と共晶α(α2)からそれぞれβの析出が起こります。βは共晶β(β2)からαの析出が起こります。これらを計算すると式(5)~(10)のようになります。

 

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図2.偏晶反応状態図の模式図-2と式

 

αの総量は偏晶α(α1’)と共晶α(α2’)と共晶βからの析出α(α4)です。βの総量は共晶β(β2’)と偏晶αからの析出β(β3)と共晶αからの析出β(β4)です。これらの計算を式(11)、(12)に示します。検算として、温度T4におけるα、βをT組成から直接てこの原理で計算すると式(13)~(16)となります。この結果が等しいことが検算成功です。

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次回に続きます。

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この記事の著者

福﨑 昌宏

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