『コミュニケーション』と一言で言っても、次のように目的はいろいろあります。
- 人間関係の構築
- 具体的な伝え方・聞き方
- 円滑な職場づくり(社内・組織)
今回は、コミュニケーションのリスキリング「話す」「聞く」の基礎を解説します。
若手社員の多くが「コミュニケーションが苦手」と言います。それは「うまく伝わらない」という意味が大半ですが、最近は「上司の言っている意味がよくわからない」といった読解力に関するケースも増えています。ということで、まずは「国語力」として『コミュニケーション』を捉えてみます。
1. 国語力とコミュニケーション
◆ 文化庁「国語に関する世論調査『話し方やコミュニケーションについての意識』」
こちらは、年代ごとの『コミュニケーション』に関する実態調査結果を公開しています。
(1)初めて会った人と話をすることが苦手である・・・55.5%
20代:52.6% 30代:59.1% 40代:54.0% 50代:53.2% 60以上:56.7%
(2)話を聞いていて、その人の言いたかったことと、自分の受け取ったことが食い違っていたという経験がある・・・66.5%
20代:77.7% 30代:71.1% 40代:69.1% 50代:70.3% 60以上:59.7%
(3)話をしていて、自分の言いたかったことが、相手にうまく伝わらなかったことがある・・・63.4%
20代:70.3% 30代:71.1% 40代:66.7% 50代:68.7% 60以上:44.9%
(4)人とのコミュニケーションにおいて、重視することは?
- 「相手との人間関係を作り上げながら伝え合うこと」が難しい・・・・・40.5%
- 「根拠や理由を明確にして論理的に伝え合うこと」の方を重視する・・・15.0%
- 相手の状況によって異なるので、どちらか一つには絞れない ・・・・・14.9%
さて、みなさんは、この結果を見てどう感じましたか?年代によってそれほど差がないことがわかりました。そして、コミュニケーションがうまく取れない上司に、同じく苦手とする部下の構図が見えてきました。上司部下が互いにコミュニケーションを不得意としたら、当然仕事はうまく流れていきません。
では、解決策はどうすればいいのでしょうか・・・・答えは簡単です。上司がコミュニケーションをマスターするしかありません。 次に、国語力としての「伝える力」と「聞く力」について見ていきましょう。
2. 国語力としての伝える力と聞く力
◆ 文部科学省資料「望ましい国語力の具体的な目安」
(1)「聞く力」について
【話の要旨を的確に把握して,その内容を理解できる】
- ①事実や根拠などに注意しながら,話の内容を正確に聞き取ることができる。
- ②聞いた内容をメモに取ったりして,話の構成や展開を理解できる。
- ③話を分析的・批判的に聞き,自分の意見や考えを組み立てることができる。
【話し手の気持ちや主張だけでなく,言外の思いや真意を感じ取ることができる】
- ①話し手が何を言いたいのかを探りながら,話を聞くことができる。
- ②話し手に共感でき,言外の思いも感じ取るように聞くことができる。
【場面に応じて最後まで集中して,聞くことができる】
- ①話の形態や話し手との社会的関係に対応した聞き方ができる。
- ②話し手の意図を考えながら,講話や講演を集中して聞くことができる。
- ③話をしっかりと聞き取り,確認すべき情報を整理して質問できる。
(2)「話す力」について
【自分の考えを明確にして,説得力を持って論理的に伝えることができる】
- ①自分の考えや意見を整理し,根拠や理由を明確にした論理的な話し方ができる。
- ②相手の話を受け,その内容を踏まえて自分の考えや意見を話すことができる。
- ③会議や集会などで,自分の考えや意見を適切に発表することができる。
【相手や場面・目的に応じ,伝えるべき内容を分かりやすく話すことができる】
- ①他者に配慮した(不快感を与えない,傷つけない)話し方ができる。
- ②話し合うことによって,相手との人間関係を深めることができる。
- ③場面や目的に応じた言葉を選び,表現に注意して情報を伝えることができる。
- ④敬意表現を適切に使った話し方ができる。
【発声・発音・態度などを相手や場面に応じて,コントロールできる】
- ①他者...