1.創造的人材の特徴とは
創造的人材を考えるために、まず創造性とは何かをはっきりさせておくことが必要です。私は創造性を次のように定義しています。
「創造性とは、情報と情報の統合により新しい価値を生み出す態度や能力をいう」
創造的人材とは、このような新しい価値を生み出す可能性を持った人といえます。創造的人材の特性の研究は、天才や研究の優秀者に性格検査等をしてみるといったことなど多角度に行われてきました。
例えば、キャッテルが一流の研究者を調べたものによれば、彼らは一般人に比べ知能は高く、自由で批判的に考える急進性があります。性格は真面目で冷静な反面、繊細で弱気な面をもっていることがわかりました。
下の表は、産業界で技術者の特性を研究したスプレッチャーの「創造性を判断するリスト」です。これをみると、創造性には「問題を解決する能力」の側面と、「他人から独立している」に代表される性格や態度といった2つの面があることがわかります。
2.創造性を診断する創造性検査
最近の採用試験には、かなり心理検査が採り入れられるようになりました。しかし創造的才能を調べる検査は、まだほとんど採り入れられていません。
創造性検査は1916年のチャセルの実験が最初といわれます。1962年ゲッツェルスとジャックソンは、高校生に創造性検査と知能検査を実施し、知能はかなり低いが創造性の高い高創造群が、知能は高いが創造性は低い高知能群より成績が良いという研究結果を発表しました。これ以降、創造性検査は大変有名になってきました。
創造性検査は、「洋服のボタンの用途」を挙げさせるような問いを出し、多くの解を求めるところが、記憶にたより解答は1つである知能...
下の野村さんの研究も示すように、多くの研究を総合すると、知能検査も創造性検査も両方高い高創知型が、知能だけ高い知能型や反対の創造型と比べて学業成績も企業成績も高いという結果が出ています。これは、知識中心の教養検査や性格検査だけでは、創造的人材を選ぶことはかなり困難ということを意味します。