MTシステム超入門(その22)

1.MTシステムにおけるマハラノビス距離

 MTシステムが論文の形で提案されて、ほぼ20年が経ちます。田口玄一博士が品質工学誌に掲載したものが最初です。田口博士は1954年から、インドのマハラノビス博士と交流があり、その関係は20年ほど続きました。田口博士は、彼の数理をなんとか活かしたいと考えていたそうです。そのような状況の中で田口博士が編み出されたのが、単位空間と結びつけたMT法です。当時はMTS法(Mahalanobis-Taguchi System)と呼ばれていました。その後、異音や振動検査、設備監視などに応用されています。

2.マハラノビス距離

 マハラノビス博士はインドの統計学者(1893-1972)です。マハ・・・という名前は、インドでは高貴な名前と聞いたことがあります。確かに日本でも、マハラジャとかマハラオというレストランがあります。

 マハラノビス距離はMTS(MT法)の基礎となる数理で、距離を測るときに相関関係を考慮します。まん丸な円は無相関を意味しますが、相関があると楕円になります。楕円を円にもどすと、普通の距離計算(ユークリッド距離)が可能になります。直角三角形の斜辺の長さの二乗は、直角を挟む二辺の長さの二乗和と同じという定理です。
  

3.相関と楕円

 相関とは、関係の程度のことです。雨の季節になると傘がたくさん売れますから、両者は相関が高い関係にあります。相関を図形で描くと楕円になります。真ん丸な円は無相関を意味しま...

す。相関の程度が大きくなると、細長い楕円になり、完全に相関が一致すると直線になります。直線関係ですから、一方が動けば他方も必ず同じ量だけ動く関係です。MTS(MT法)の基礎数理であるマハラノビス距離は、相関関係を考慮した距離です。

 

 

                               図1.相関係数

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