新たなコア技術確立のためのオープン・イノベーション 研究テーマの多様な情報源(その23)

1.新たなコア技術設定の必要性

◆関連解説『情報マネジメントとは』
 

(1)成熟する技術

 
 前回のその22に続いて解説します。技術は市場と同様に成熟するものです。技術の成熟が進むと、その技術は広く一般的なものとなり、その技術を保有する企業にとって、保有する技術のレベルや技術が包括する範囲の広さにより、自社製品の差別化や収益への貢献は限定されてきます。例えば、蒸気機関に関連する技術はすでに成熟し、その技術はインドや中国等の途上国の企業を含めて広く保有されるような状況になり、もはや技術は事業(例えば蒸気タービン事業)の成功要因( KSF )ではなく、KSFは他の要素、例えば生産などに移行しています。
 

(2)事業推進のための新たな技術の必要性

 
 その一方で、技術で事業をドライブすると決めている企業にとっては、すでに成熟したその技術(コア技術)で戦うことはできないため、新たに新しいコア技術が必要とされるようになります(当然「技術で事業をドライブしない」という選択肢もありますが)。その結果、新たななんらかの技術(コア技術)に取り組むことを決めますが、それら技術はその企業にとって新しい技術ですから企業の中には存在していません。
 

2.新たなコア技術確立のためのオープン・イノベーションの必要性

 
 自社にとっての新たなコア技術を確立する方法には、大きく分けて2つあります。1つは自社で、1から技術開発を行い確立する方法です。そして、もう1つが、既にその技術を手掛けている企業や研究機関からその技術を導入することです。
 
 前者は当然、立上までに時間が掛ります。また、自社の限られた経営資源での開発となれば、その技術開発が成功する保証はありません。現在のような、あらゆる市場が以前に比べ格段に速いスピードで展開し、また途上国の企業がこれまで先進国企業間に限定されていた競争に新たにぞくぞくと参入するという状況の中では、あまり現実的なオプションではありません。
 
 もう1つが、オープン・イノベーションで、コア技術(の核)を手に入れるという方法です。オープン・イノベーションでは、導入対象企業や研究機関を探し、評価し、決定し、契約を締結し、実際の技術導入をするとなると、社内での開発に比べて、大きな手間と資金が必要となります。しかし、自社開発で問題となる、時間の長さや技術開発成功保証の面では、オープン・イノベーションを使った方が、優れています。
 
 従って、現代では、新たなコア技術の確立のために...
、外部から技術を導入するオープン・イノベーションがより一般的な手段になりつつあるということになります。
 

3.オープン・イノベーションでのコア技術獲得法

 
 新たなコア技術の確立に、オープン・イノベーションを活用する方法は、2つあります。1つは、少数の要素技術から始めるオープン・イノベーション。もう1つは、数多くの要素技術を一度に獲得するM&Aです。この議論は次回に引き続き行います。
 
 

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