人づくりによる会社力・組織力の革新

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 競争力をさらに高めるために強化すべきものとして、下図のように『人材の能力・資質を高める育成体系』を挙げる企業の割合が最も多くなっています。では製造業ではどのような能力・資質を高める必要があるのでしょうか。”ものづくり白書”によれば、技能系正社員には『製品の問題点を抽出し、改善提案を行う能力』の重要性がこれから高まると明記されています。
 
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出典:(独)労働政策研究・研修機構「構造変化の中での企業経営と人材のあり方に関する調査」
 
 これをもう少し広くとらえれば、『モノづくり業務プロセスの中で発生する数々の問題を社員が自律的に解決する力』が、製造現場だけでなく、開発設計部門・生産スタッフ部門・営業部門など製造業のすべての社員に今後ますます必要となっていく、と言えるでしょう。『自律的に解決する力』とは、上からの指示ではなく、当事者が自ら主体的に行動を起こし、問題解決に当る力です。組織の中にいると上司や声の大きい人の意見を鵜呑みにしてしまいがちです。しかしそれらの意見には思い込みもかなりあり、本当に解決すべき重要問題を見逃してしまうことがあります。これを無くすにはどうしたらよいでしょうか。そのポイントは重要問題の『見える化』です。
 
 “事実”を調べて本当に重要なことは何かを示せば、上司や声の大きい人も誤りに気付きます。それを見た部下は、事実を調べる価値に気付きます。そして自ら行動を始めるようになります。これが自律的に解決する力になっていきます。このときの”事実”の調べ方ですが『とりあえず調べてみよう、とりあえず意見を聞いてみよう』というような”とりあえず調査”では上手くいきません。ムダが多く大きな手戻りが発生してしまうからです。そうではなく、問題がどのように起きているのか、仮説を構築して調査に取り組むことで上手くいきます。
 
 仮説が単なる“思いつき仮説”とならないように注意することも大事です。仮説設定には根拠が必要となります。既存の関連資料・関連データ、事業責任者の問題認識、関係キーパーソンの問題認識などを調査収集することで仮説設定の材料は手に入れることができます。『問題があるので関係者で集まって知恵を出そう!』ということが日常行われがちですが、よくある失敗は『解決策の検討にいきなり取り組んでしまう』ということです。まず組織目標を全員で共有し、その上で仮説設定をして実態調査を行い、調査結果を分析することで、失敗を排除することができます。
 
 以上のような考え方で問題解決に取り組んだ結...
 競争力をさらに高めるために強化すべきものとして、下図のように『人材の能力・資質を高める育成体系』を挙げる企業の割合が最も多くなっています。では製造業ではどのような能力・資質を高める必要があるのでしょうか。”ものづくり白書”によれば、技能系正社員には『製品の問題点を抽出し、改善提案を行う能力』の重要性がこれから高まると明記されています。
 
                inf342
出典:(独)労働政策研究・研修機構「構造変化の中での企業経営と人材のあり方に関する調査」
 
 これをもう少し広くとらえれば、『モノづくり業務プロセスの中で発生する数々の問題を社員が自律的に解決する力』が、製造現場だけでなく、開発設計部門・生産スタッフ部門・営業部門など製造業のすべての社員に今後ますます必要となっていく、と言えるでしょう。『自律的に解決する力』とは、上からの指示ではなく、当事者が自ら主体的に行動を起こし、問題解決に当る力です。組織の中にいると上司や声の大きい人の意見を鵜呑みにしてしまいがちです。しかしそれらの意見には思い込みもかなりあり、本当に解決すべき重要問題を見逃してしまうことがあります。これを無くすにはどうしたらよいでしょうか。そのポイントは重要問題の『見える化』です。
 
 “事実”を調べて本当に重要なことは何かを示せば、上司や声の大きい人も誤りに気付きます。それを見た部下は、事実を調べる価値に気付きます。そして自ら行動を始めるようになります。これが自律的に解決する力になっていきます。このときの”事実”の調べ方ですが『とりあえず調べてみよう、とりあえず意見を聞いてみよう』というような”とりあえず調査”では上手くいきません。ムダが多く大きな手戻りが発生してしまうからです。そうではなく、問題がどのように起きているのか、仮説を構築して調査に取り組むことで上手くいきます。
 
 仮説が単なる“思いつき仮説”とならないように注意することも大事です。仮説設定には根拠が必要となります。既存の関連資料・関連データ、事業責任者の問題認識、関係キーパーソンの問題認識などを調査収集することで仮説設定の材料は手に入れることができます。『問題があるので関係者で集まって知恵を出そう!』ということが日常行われがちですが、よくある失敗は『解決策の検討にいきなり取り組んでしまう』ということです。まず組織目標を全員で共有し、その上で仮説設定をして実態調査を行い、調査結果を分析することで、失敗を排除することができます。
 
 以上のような考え方で問題解決に取り組んだ結果、筆者が関わった事例でも『障害解決速度が向上した(技術部門)』『標準品活用が進みコストダウンにつながった(生産部門)』『新規提案件数が増えた(営業部門)』『今までの開発スタイルが変革し、開発チームのコミュニケーションがスムーズになった(開発部門)』などの成果が出ています。社員一人ひとりの仮説構築力を強化し、重要問題の見える化ができ、自ら解決策を考えていけるようになれば、それが全体に浸透して、会社力・組織力が革新していくようになります。
  
   この文書は、 2015年10月8日の日刊工業新聞掲載記事を筆者により改変したものです。
   

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この記事の著者

森 史明

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