「R-Map」とは、キーワードからわかりやすく解説

 

1. 「R-Map」とは

R-Map(Risk-Map)とは、横軸を危害の大きさ、縦軸を発生頻度とする座標に、現存するリスクをマッピングすることで、各リスクの重要度を評価する手法で、それによって各リスクに対する対処方法を判断します。 頻度が高く危害が大きいものは、もちろん最優先で頻度を下げるかダメージを減少させる必要があり、両者とも小さい場合は発生を許容するのが得策です。 頻度が高く危害が小さいものと、頻度が低く危害が大きいものの優先度設定が難しいところです。特に頻度が100年に1度と想定されるなど、まだ一度も発生していない場合は、今1回だけ発生したらなどと仮定する必要があります。

 

リスクが目で見えればどんなに安心でしょう。人は生物として五感から得た情報で行動しますが、ほとんどを視覚に頼っています。リスクが見えることで自分の安全を確認できると同時に、周囲に安全な方法を伝えるリスクコミュニケーションができます。この要望に応えることができる安全化のアセスメント・ツールが 「R-Map」です。アセスメントした対象が三つのゾーンのどこにプロットされるかで、リコールゾーンから安全ゾーンまでのリスクの位置が「見える化」されるのです。

 

2. 「R-Map」と製造工程のヒューマンエラー対策

製造工程のヒューマンエラー対策を行う場合、出荷した製品の市場において発生が予測されるリスクの程度に応じて行うことが求められます。ヒューマンエラー対策とリスク評価では、R-MAP法で、リスクをランク付けします。
 
市場で発生した事故をR-MAP法に当てはめ、リスク評価を行うためには、市場のデーターを収集・分析することが重要です。R-MAP法では、次のようにAランク、Bランク、Cランクの3つのランクに分けそれぞれランクに応じて対策を講じます。
 
【Aランク】
 
許容できない(耐えられない)リスク領域。死亡や重傷あるいは後遺症の生じる障害を発生させる確率が社会的に許容できないレベルであり、リスクが低減できない場合は、製品化を断念すべき領域。 市場に製品がある場合は、リコール領域と考えられます。
 
【Bランク】
 
危険/効用基準あるいはコストを含めて、リスク低減策の実現性を考慮しながらも、最小限のリスクまで低減すべき領域。例えば、薬品は、服用方法によっては副作用が生じますが、医師の処方を守ることによって効用が得られます。家電製品に於いても、「危険」「高温注意」などの表示や、取りつかい説明書に注意事項を記載することで、許容される領域です。
 
【Cランク】
 
危害の程度や発生頻度は低いと考えられ、無視できると考えられるリスク領域。社会的に受入れ可能なリスクレベルです。
 
リスクは、設計時点、製造工程に於いて極力C領域まで、減ずることが求められますが、技術的に達成困難あるいは、企業として市場の状況を的確に判断し、B領域でも可と判断することができます。

 


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