なぜ標準時間が導入されていないのか 物流標準時間導入成功のポイント(その1)
2018-06-21
生産工程では当たり前に導入されている標準時間ですが、物流工程ではほとんどの会社で標準時間は導入されていません。しかし、生産作業でも物流作業でも考え方は同じであり、一つひとつの作業ごとに実施すべき時間値というものは決まっていなければなりません。
ではなぜ物流工程では標準時間が導入されていないのでしょうか。
いくつか理由がありますが、その一つが標準時間を導入するノウハウが無いということでしょう。メーカーは生産工程は生産技術部門がしっかりと面倒を見る体制が整っていますが、物流工程についてなぜか生産技術は自分たちのテリトリーと認識しません。結果的にどこも面倒を見てくれることもなく、宙ぶらりん状態になってしまっているのが物流なのです。
他部門で面倒を見てくれないのであれば、自分たちで実施するしかありません。外部講習を受けるか、メーカーであれば生産工程の標準時間を設定した人に習うかして、標準時間を設定できるようにします。
物流標準時間が設定されない別の理由として、用途が不明確だということが挙げられます。一般的に標準時間は適正な要員算出や労働生産性把握に使います。物流工程では要員は勘で算出され、たいていの場合常時過剰の状態にあります。また労働生産性の把握などは行っていません。
つまり現状の多くの場合において、標準時間が無くても問題が発生していないのです。でもこの状態がよいわけではないことに気づく必要があります。
生産工程がやっていることと同様のことを物流工程で行うとしたら、物流標準時間は必ず必要だということになります。ではこの標準時間を導入するにあたって、成功のポイントは何になるのでしょうか。
その1つは「難しくしすぎない」、「細かくしすぎ...
ない」ということでしょう。物流標準時間は難しいものだとか、できるだけ精緻に設定すべきだと考えると失敗しやすいと思います。
なぜなら物流標準時間は未来永劫に使っていくべきもので、そのメンテナンスが常に必要となるからです。あまりに細かくしすぎると、このメンテナンス工数が膨大となり、途中で投げ出すような形になりかねないのです。
次回も、物流標準時間導入成功のポイント解説を続けます。