今回は、改善活動が一過性になり、納得感の得れる成果が上がりにくい管理・間接部門の改善活動について、解説します。測れない、見えない、改善できない管理・間接部門の改善活動を払拭できる技法・支援ツールについても合わせて解説します。
管理・間接部門の士気を高めることは難しいことです。号令をかけても、何をすればいいのかピンと来ない。また自分の仕事が恒久化してしまい、改善意欲が乏しいとか、殻から抜け出せないのが現状と思います。
この原因は、管理・間接部門では、改善活動は現場がやることというイメージが強いからです。また、経営者もそのことに気づいてバランスを取りたいと考えているようですが、これまで同様の認識が潜在的にあったと思います。
逆に現場から見ると事務部門はやらなくていいねと言う感じもある。これを払拭しなければいけません。現場は、その場に現れるという字を書きますが、色々な問題や課題が具現化、顕在化しやすいですから、テーマが見つけやすいです。反面、管理・間接部門は、なんとなくテーマが見つけにくいでしょう。
民間企業とお役所の仕事が良く比較されます。お役所の仕事は民間から見るとスピードや無駄の点で気になります。これが、現場と管理・間接部門にも当てはまるのです。例えば、現場では、作業分解をしたり、人作業の場合、動作経済の原則に照らしてみたりしながら、0点何秒という単位で効率化を進めています。
それと比較した時、管理・間接作業は仕事の速さを認識しているのか。昔から続いている仕事をそのまま受け継いでいないかも含め、見直す必要があるのです。着眼点が重要です。
1. 管理・間接部門の改善活動へのアプローチ
- 現場ではQCサークル活動というような小集団活動があります。同じように管理・間接部門でも小集団の編成で、仕事の問題点等拾い出し、テーマを見つけ活動することです。一過性にならないよう長い期間 で育てていくことが肝要です。表面的な成果を急ぐと一過性になりやすいでしょう。また本物の活動にならないので続かないのです。
- 現場のQCサークル、あるいは小集団活動の発表会というのがあれば、全社的な発表にして、管理・間接部門も発表参加、あるいは聴講参加させ、参考にしたり、刺激を受ける機会とすることです。お互いの 仕事の相互理解や改善のポイントが見つかるかもしれません。相互研鑽の場にすることで両者の接点、重複部分の改善も可能になります。
- 間接部門(事務、管理、間接、サービスなど)の発表会(地区、または全国大会)などをまず聴講参加させ、刺激を受ける。そして徐々に浸透させることです。他社の活動事例から、どのように活動し、ど う成果に結びつけたか参考にするのです。この時は、経営者、あるいは管理職も一緒に参加すること。できれば、その後指導に当たる人が望ましいでしょう。
- QCサークル誌と同様、間接部門向けの雑誌や改善に関する雑誌が数種あると思いますので、そういうものを取り寄せ、テーマ着眼や活動の参考にすることも可能です。これらには、発表会のPRもされている と思います。
- 現場の小集団活動などの成果について、評価の仕方が明確になっていると思います。管理・間接部門の活動の成果をどう評価するかも明確にしておきたます。
- 管理・間接部門の仕事全体を細かく拾い出し、その仕事は本当に必要か、無駄はないか、効率化できないかなど見直してみるとテーマが色々見つかると思います。可能な限り多面的に見て拾い出して下さい。極端な考え方ですが、根底には、管理・間接部門が現場の人より偉いのではなく、現場の人が稼ぎ出した利益が管理・間接部門にも配賦されている。つまり現場に食べさせてもらっているという考え方もあると思います。そういうことを意識しながら管理・間接部門にも改善活動を頑張ってもらい、秤のバランスが取れるようにすること...
です。
2. 小集団活動の位置づけ
私は、クリーン化技術のセミナーを実施しています。この中で、特に経営者層の方に理解して欲しいと思い、こんな話をしています。『クリーン化活動をはじめとする各種小集団活動は仕事そのものと考えると言うことです。ものづくりの現場では、物を作ることだけが仕事だと考えてしまうと、各種小集団活動は余計な仕事という位置づけになってしまいます。忙しい時は手を抜いて良いとか、時間の余裕ができたらまたやれば良いと言う管理監督者もいます。しかし実際に手が空いても、一旦楽することを覚えてしまうと再びやろうとはしません。もともと大変なことなのでやりたくないと思うのが普通です。この小集団活動の本来の目的は、会社の利益をどう追求していくかということですから、経営に直結するということです。』これは、会社の存続に繋がって来るので、現場だけではなく全社に共通する活動です。当然、管理・間接部門も対象です。