‐開発に適した企業の条件、第1回‐ 製品・技術開発力強化策の事例(その22)

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 前回の事例その21に続いて解説します。inf012研究開発が継続的に行われている企業には、共通に見られる経営行動があります。その内容としては、次に示すような経営行動が上げられます。これらの定着に務める事が、開発活動を効果的に推進する事に結び付きます。
 
◆研究開発が継続的に行われている企業に見られる経営行動
 
     1.日常発生している問題を掘り下げた開発
     2.危険性を予測し、リスクを恐れないで取り組む
     3.長所を意識し伸ばす発想が大切
     4.開発体験から教訓を学び取る
     5.計画立案能力の自己啓発
     6.人のしないことをする
 
今回は、第1回として、1から3項を記述します。次回は、第2回として、4から6項を記述します。
 

1.日常発生している問題を掘り下げた開発

 日常、企業内で発生している様々な問題点について、それらを解決するための仕組みが設けられ、掘り下げた問題解決が行われている企業は研究開発の取り組みにも優れています。
 
 似たような問題が繰り返し発生し、その中で重要な問題を絞り込み、 順次再発防止策を講じることに力を入れている企業は研究開発も巧みです。製品の研究開発では、さまざまな要素技術に係わる問題を解決する事が主たる業務になるので、問題解決の体験が乏しければ、研究開発の負担は重荷になります。
 
 現在の生産活動の中で発生している問題解決を図る経験が乏しければ、新しい製品を開発する場合、様々な問題発生への対応が適切に行えません。問題解決の経験が乏しいほど製品開発に取り組む時に問題処理の要領が判らず損失が増幅して、経営危機に遭遇したり、必要以上に損失を増やす例が多いので、日常業務での問題解決への取り組みを重視する必要があります。
 
 問題発生状況のデ-タを収集し、問題点を整理して、重点的に取り組む手順を決め、解決に導いて行く組織的な活動が出来るように日常業務の中で育成する事は非常に大切です。
 

2.危険性を予測しリスクを恐れないで取り組む

 失敗を恐れず、失敗から教訓を学ぶことを方針にしている企業があります。この企業では、失敗したことを咎めないが、教訓を導き出す努力をしない担当者には厳しく対処しています。
 
 新しい問題に取り組むと必ず失敗があります。逆に考えると、失敗を乗り越えていく逞しさの中から問題克服のノウハウが蓄積されます。失敗すると根気よく問題解決に取り組む前に諦める企業が多いようです。「人のあら探しは出来ない」そのような考えを持つ企業が少なくありません。 その考え方が問題点の原因追求を阻み、問題解決を遅らせます。人を責めるのでなくどのような手順や考え方に問題があったのか、論理的に調べる必要があります。 粘り強く問題解決に取り組む企業は競争力が確保でき、高い付加価値が得られる様になります。
 
 高いリスクに対して高い報酬が得られるので、リスクを恐れないで問題に取り組む覚悟が大切です。リスクの低い開発は過当競争の渦に巻き込まれる可能性が高く利益確保は難しくなります。
 

3.長所を意識して伸ばす発想が大切

 自分の企業の欠点を意識し過ぎて、前向きの発想が出てこない経営者の場合、欠点を意識することで、努力しても成功する事はないと、自己暗示に掛かり、努力する心が萎えていく。つまり、欠点を意識することは、消極的な行動に向かわせることに通じ、成長を阻む危険な考え方と言えます。
 
 反対に、自社の特徴を意識し、それを伸ばす方向の考え方をする経営者では、積極的な発想が強くなり、前向きに行動するようになります。
 
 同様に、開発行動に入った場合、難しいこと、失敗したときの損失の大きいこと等、マイナ...
 前回の事例その21に続いて解説します。inf012研究開発が継続的に行われている企業には、共通に見られる経営行動があります。その内容としては、次に示すような経営行動が上げられます。これらの定着に務める事が、開発活動を効果的に推進する事に結び付きます。
 
◆研究開発が継続的に行われている企業に見られる経営行動
 
     1.日常発生している問題を掘り下げた開発
     2.危険性を予測し、リスクを恐れないで取り組む
     3.長所を意識し伸ばす発想が大切
     4.開発体験から教訓を学び取る
     5.計画立案能力の自己啓発
     6.人のしないことをする
 
今回は、第1回として、1から3項を記述します。次回は、第2回として、4から6項を記述します。
 

1.日常発生している問題を掘り下げた開発

 日常、企業内で発生している様々な問題点について、それらを解決するための仕組みが設けられ、掘り下げた問題解決が行われている企業は研究開発の取り組みにも優れています。
 
 似たような問題が繰り返し発生し、その中で重要な問題を絞り込み、 順次再発防止策を講じることに力を入れている企業は研究開発も巧みです。製品の研究開発では、さまざまな要素技術に係わる問題を解決する事が主たる業務になるので、問題解決の体験が乏しければ、研究開発の負担は重荷になります。
 
 現在の生産活動の中で発生している問題解決を図る経験が乏しければ、新しい製品を開発する場合、様々な問題発生への対応が適切に行えません。問題解決の経験が乏しいほど製品開発に取り組む時に問題処理の要領が判らず損失が増幅して、経営危機に遭遇したり、必要以上に損失を増やす例が多いので、日常業務での問題解決への取り組みを重視する必要があります。
 
 問題発生状況のデ-タを収集し、問題点を整理して、重点的に取り組む手順を決め、解決に導いて行く組織的な活動が出来るように日常業務の中で育成する事は非常に大切です。
 

2.危険性を予測しリスクを恐れないで取り組む

 失敗を恐れず、失敗から教訓を学ぶことを方針にしている企業があります。この企業では、失敗したことを咎めないが、教訓を導き出す努力をしない担当者には厳しく対処しています。
 
 新しい問題に取り組むと必ず失敗があります。逆に考えると、失敗を乗り越えていく逞しさの中から問題克服のノウハウが蓄積されます。失敗すると根気よく問題解決に取り組む前に諦める企業が多いようです。「人のあら探しは出来ない」そのような考えを持つ企業が少なくありません。 その考え方が問題点の原因追求を阻み、問題解決を遅らせます。人を責めるのでなくどのような手順や考え方に問題があったのか、論理的に調べる必要があります。 粘り強く問題解決に取り組む企業は競争力が確保でき、高い付加価値が得られる様になります。
 
 高いリスクに対して高い報酬が得られるので、リスクを恐れないで問題に取り組む覚悟が大切です。リスクの低い開発は過当競争の渦に巻き込まれる可能性が高く利益確保は難しくなります。
 

3.長所を意識して伸ばす発想が大切

 自分の企業の欠点を意識し過ぎて、前向きの発想が出てこない経営者の場合、欠点を意識することで、努力しても成功する事はないと、自己暗示に掛かり、努力する心が萎えていく。つまり、欠点を意識することは、消極的な行動に向かわせることに通じ、成長を阻む危険な考え方と言えます。
 
 反対に、自社の特徴を意識し、それを伸ばす方向の考え方をする経営者では、積極的な発想が強くなり、前向きに行動するようになります。
 
 同様に、開発行動に入った場合、難しいこと、失敗したときの損失の大きいこと等、マイナス面を意識し過ぎて、行動に移る意欲が萎えてしまう企業が多く見られます。マイナス要因だけを考える人は、開発がもたらされるプラス要因も考え、プラスとマイナスの要因を考え抜いて、両者を比較したうえで50%の成功の可能性があれば、危険性の高いことを承知の上で開発に取り組むくらいの強い意欲がなければ開発は出来ません。
 
 バラ色に成功状態を楽観的に見る人は、開発過程で曲折があり失敗を繰り返す可能性についても、考えを及ぼし、それらの損失が発生しても開発に取り組む意義があるのか、事前に開発方針を明らかにしておく必要があります。
 
 開発活動が好調に進む場合と失敗が起こり得る場合の損失発生状態について、比較検討してみます。最悪の状態に遭遇しても資金面で耐えられるのか、考えておく事が特に重要です。バラ色に成功状態を想定して楽観視する人は、失敗すると簡単に諦める傾向があるので注意が必要です。
 

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この記事の著者

新庄 秀光

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