‐能力開発のシステム創り 製品・技術開発力強化策の事例(その46)

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◆能力開発のシステム化に必要不可欠の条件。
  前回の事例その45に続いて解説します。                           im2
   (1) 情報伝達の仕組み創り
   (2) 目標を明確にする
   (3) 目標達成に必要な基礎知識の習得
   (4) 目標達成感を味わい自信を持つ事
   (5) 会合技術の確立
   (6) 競争意識の醸成
   (7) リ-ダの育成
   (8) 先進事例を知り危機感を持つ
   (9) 日々改善する職場風土の育成
  (10)担当以外の分野にも関心を注ぐ企業風土創り
  (11)収益性の判定基準があること
 
 これらの項目を満たしそれぞれの項目間で相互作用が働くような運用をする事で能力開発が自ずから進められるようになります。 以上の条件が満たされていない企業では、損失が随所に発生していて企業に活力が乏しく、従業員の能力開発も進みません。以下にこれらの1~11の事項について解説します。このページでは、第1回、第2回、第3回に続いて6項、7項について、解説します。
 

(6)競争意識の醸成

 人に負けても何の感慨も抱かないような人はいないはずです。悔しい思いをする事がその人の能力開発の前提になります。改善活動の結果を明らかにし優劣を明確にする事は意欲を刺激するのに大切な手段です。仮に、悔しい思いをせず平然としているような人は「当社には必要ない」と経営者を始め管理者は言いきるだけの覚悟が必要です。「辞められたら困る。かわいそうだから」等の理由で厳しい指摘をしないで甘やかしていることが従業員の能力開発を阻害し、その人達をダメにしています。
 
 一方的に欠点を指摘するだけでは自信がなくなります。良い点を見つけて評価する事やどのようにすればもっと良かったのか、今後の取り組むべき方向などについて指摘する事で次なる意欲が出てきます。
 
 誰が何をしているのか、全く判らない状態に置かれている様では刺激が乏しく意欲が出てくる事は期待できません。どのような改善が他の職場では行われているのか、その情報を互いに知る事が刺激になります。定期的な発表の場も必要です。
 
 中小企業で競争を意識する対象になる人が少なく、競争心を刺激する事が出来がたい場合には、当人の活動の経過が判るようにして、変化がどの程度発生しているのか、それを自覚させ、何の変化も生じないで、1年前と同じ様な仕事の進め方や考え方をしている場合には、経営に貢献しないのだから昇給や賞与の査定に反映させる事を明言し、危機意識を持たせ改善への意欲を刺激します。
 
 改善などの目標を立てて行動するのに最も効果の上がる方法は、経営方針と経営年度計画に沿った目標を立てることが組織と従業員の両者を成長させる事に役立ちます。経営方針に示した企業の進むべき方向を実現するには、特定分野の技術能力の向上、コスト・品質・リ-ドタイムの短縮等のための改善が必要になり、その方向に沿った目標設定が欠かせません。企業内に互いに目標を競い合う関係を作り上げる事は、経営幹部の大切な役割であり、それにより従業員の能力が開発され、企業の成長も可能になります。
 

(7)リ-ダの育成

 経営者が自分の補佐役を育成し、補佐役が更に自己の補佐役を育成する。この連鎖関係が作り上げられる事が組織を強固にします。指導性を発揮出来るリ-ダが明確でない職場では改善は進まず、その職場の活気は乏しい。 職場の活力は一に掛かってリ-ダ次第です。
 
 リ-ダに求められる資質としては、職場内に発生している問題点を明らかにして部下の協力を得ながら改善に導いていく資質であり、問題点を見つけ出す能力とその問題点を改善するための計画立案力が問われます。また、計画を立てるに際しては、必要に応じて部下を計画に参画させて意見を求める事も必要になります。つまり、会合の技術を習得する事もリ-ダとして必要な事項です。
 
 問題点の改善に当り、計画を立てることが出来なければ問題解決に当り、時間を浪費するだけです。更に、計画が立てられていないと役割分担を決めて職場内の人達を巻き込んで改善に協力させていく事も出来ません。計画を立てることで役割分担を明確にする事や何時までに何をしなければならないのか、行動に際しての目的意識もはっきりしてきます。
 
 リ-ダの資質としては、問題解決のために改善計画の立案と会合を効果的に運営して司会者を務めて意見をまとめ上げる能力が不可欠です。計画を立てるためには、担当業務に関する専門知識を始め様々な知識が必要になり、それらが不足していては有用な計画は立てられません。リ-ダには部下を育成する能力も必要な事で、部下を育成するには、改善計画をきちっと立てる事が出来る必要があります。それが出来なければ仕事は見て覚えよ、と考えている旧来の管理者と本質的には変わらないことになります。 また、会合の司会が出来る事は、人の意見を吸収し異なる意見をまとめ上げていく能力でもあります。
 
 計画に必要な内容としては、問題点を明確にし経営年次計画を満足させるに必要な改善目標値を設定して、その目標達成のために必要な要素業務、要素技術、要素作業等を明確にして、これらを取り上げる順序と方法を決めて何時までに誰が何を分担するのか、中間目標を明確にして計画を立てた上で推進していく事が出来なければなりません。
 
 どのような問題でも改善目標達成するには、幾つかの要素を満たさなければなリマセン。計画を立てる技術と会合の技術は表裏一体の関係にあります。資料の収集、問題点の煮詰め、対策立案などの過程で関係者の参画を求める必要性は必ず出てきます。これらの過程を踏む事が...
◆能力開発のシステム化に必要不可欠の条件。
  前回の事例その45に続いて解説します。                           im2
   (1) 情報伝達の仕組み創り
   (2) 目標を明確にする
   (3) 目標達成に必要な基礎知識の習得
   (4) 目標達成感を味わい自信を持つ事
   (5) 会合技術の確立
   (6) 競争意識の醸成
   (7) リ-ダの育成
   (8) 先進事例を知り危機感を持つ
   (9) 日々改善する職場風土の育成
  (10)担当以外の分野にも関心を注ぐ企業風土創り
  (11)収益性の判定基準があること
 
 これらの項目を満たしそれぞれの項目間で相互作用が働くような運用をする事で能力開発が自ずから進められるようになります。 以上の条件が満たされていない企業では、損失が随所に発生していて企業に活力が乏しく、従業員の能力開発も進みません。以下にこれらの1~11の事項について解説します。このページでは、第1回、第2回、第3回に続いて6項、7項について、解説します。
 

(6)競争意識の醸成

 人に負けても何の感慨も抱かないような人はいないはずです。悔しい思いをする事がその人の能力開発の前提になります。改善活動の結果を明らかにし優劣を明確にする事は意欲を刺激するのに大切な手段です。仮に、悔しい思いをせず平然としているような人は「当社には必要ない」と経営者を始め管理者は言いきるだけの覚悟が必要です。「辞められたら困る。かわいそうだから」等の理由で厳しい指摘をしないで甘やかしていることが従業員の能力開発を阻害し、その人達をダメにしています。
 
 一方的に欠点を指摘するだけでは自信がなくなります。良い点を見つけて評価する事やどのようにすればもっと良かったのか、今後の取り組むべき方向などについて指摘する事で次なる意欲が出てきます。
 
 誰が何をしているのか、全く判らない状態に置かれている様では刺激が乏しく意欲が出てくる事は期待できません。どのような改善が他の職場では行われているのか、その情報を互いに知る事が刺激になります。定期的な発表の場も必要です。
 
 中小企業で競争を意識する対象になる人が少なく、競争心を刺激する事が出来がたい場合には、当人の活動の経過が判るようにして、変化がどの程度発生しているのか、それを自覚させ、何の変化も生じないで、1年前と同じ様な仕事の進め方や考え方をしている場合には、経営に貢献しないのだから昇給や賞与の査定に反映させる事を明言し、危機意識を持たせ改善への意欲を刺激します。
 
 改善などの目標を立てて行動するのに最も効果の上がる方法は、経営方針と経営年度計画に沿った目標を立てることが組織と従業員の両者を成長させる事に役立ちます。経営方針に示した企業の進むべき方向を実現するには、特定分野の技術能力の向上、コスト・品質・リ-ドタイムの短縮等のための改善が必要になり、その方向に沿った目標設定が欠かせません。企業内に互いに目標を競い合う関係を作り上げる事は、経営幹部の大切な役割であり、それにより従業員の能力が開発され、企業の成長も可能になります。
 

(7)リ-ダの育成

 経営者が自分の補佐役を育成し、補佐役が更に自己の補佐役を育成する。この連鎖関係が作り上げられる事が組織を強固にします。指導性を発揮出来るリ-ダが明確でない職場では改善は進まず、その職場の活気は乏しい。 職場の活力は一に掛かってリ-ダ次第です。
 
 リ-ダに求められる資質としては、職場内に発生している問題点を明らかにして部下の協力を得ながら改善に導いていく資質であり、問題点を見つけ出す能力とその問題点を改善するための計画立案力が問われます。また、計画を立てるに際しては、必要に応じて部下を計画に参画させて意見を求める事も必要になります。つまり、会合の技術を習得する事もリ-ダとして必要な事項です。
 
 問題点の改善に当り、計画を立てることが出来なければ問題解決に当り、時間を浪費するだけです。更に、計画が立てられていないと役割分担を決めて職場内の人達を巻き込んで改善に協力させていく事も出来ません。計画を立てることで役割分担を明確にする事や何時までに何をしなければならないのか、行動に際しての目的意識もはっきりしてきます。
 
 リ-ダの資質としては、問題解決のために改善計画の立案と会合を効果的に運営して司会者を務めて意見をまとめ上げる能力が不可欠です。計画を立てるためには、担当業務に関する専門知識を始め様々な知識が必要になり、それらが不足していては有用な計画は立てられません。リ-ダには部下を育成する能力も必要な事で、部下を育成するには、改善計画をきちっと立てる事が出来る必要があります。それが出来なければ仕事は見て覚えよ、と考えている旧来の管理者と本質的には変わらないことになります。 また、会合の司会が出来る事は、人の意見を吸収し異なる意見をまとめ上げていく能力でもあります。
 
 計画に必要な内容としては、問題点を明確にし経営年次計画を満足させるに必要な改善目標値を設定して、その目標達成のために必要な要素業務、要素技術、要素作業等を明確にして、これらを取り上げる順序と方法を決めて何時までに誰が何を分担するのか、中間目標を明確にして計画を立てた上で推進していく事が出来なければなりません。
 
 どのような問題でも改善目標達成するには、幾つかの要素を満たさなければなリマセン。計画を立てる技術と会合の技術は表裏一体の関係にあります。資料の収集、問題点の煮詰め、対策立案などの過程で関係者の参画を求める必要性は必ず出てきます。これらの過程を踏む事が計画立案の作業であり、会合は計画立案の過程で必要になります。意見をまとめるための会合を上手く処理し関係者の意見を計画に反映させる事でやる気を導き出すのに大いに役立ちます。反対に、管理者が単独で計画立案した場合には、関係者の意欲を十分に導き出す事は出来ず、目標達成度は低くなるでしょう。
 
 言うまでもない事であるが、経営のトップが自ら自己研鑽に励み、リ-ダの行動に影響を与える事がなければ、説得力を発揮できません。経営者の中には、各種の団体に設けられている研究会に参加して注目を集めるような発言をしている例は少なからず見られますが、それらが外向きの発言であって、企業内では幹部会議に出席しないで報告を求め、再検討を指示する事なく、一方的に会議での決定事項とは異なった指示を出し、幹部のひんしゅくを買っている例もあるようです。 この様な企業では幹部社員が体裁を繕う事に長けていて、企業内の実態が経営者に報告されず、損失が多く潜在しています。
 
 幹部社員の報告に耳を傾けるだけでなく、顧客や自企業の現場観察を定期的に行い、報告されてくる事と経営者自身が確認して認識している内容を比較して、質問するくらいの事がなければ、現状に対する適切な指示を出す事は出来ず、機会損失を増加させるだけです。
 
冒頭の1~11の事項についての解説、次回、第5回では、8項、以降について、順番に解説します。
 

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この記事の著者

新庄 秀光

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