前回の事例その7に続いて解説します。現場観察はどのような場合でも非常に大切です。 価値ある情報をくみ上げる観察力を絶えず自己啓発する必要があります。現場観察は創造力が生み出される源泉です。そして、現場観察の手を緩めると観察力が鋭い人でも勘が鈍ってしまいます。以下に注意すべき事項を8点、整理しました。
(1)細部にこだわり全体を捕らえる視点を失わないようにする。
(2)小さな問題点に重要な事項が潜んでいる場合があるので、それを見逃さないようにする。
(3)例外的な問題として簡単に片付けない事、重要な問題が潜んでいる場合が少なくない。
(4)質問を受けた者は簡単に説明する事もあるので、理解できるまで質問を続けるようにする。
(5)現場での観察時間を惜しむと大切なところを見逃す危険があります。
(6)観察対象に関係する予備知識を事前に学習しておくようにする。
(7)観察した事実と自己の解釈を区別して記録するようにする。
(8)5W1Hを満たすように観察し、可能な限り数値で把握するように努めるようにする。
上記の8箇条を基本として、観察と結果の評価を繰り返すことで現場観察力が作られていきます。
◆現場観察で不良の発生原因を追求した事例
電子部品を生産しているプラスチック成型業者の事例です。24時間操業しているが、冬になると夜間

の不良発生率が高くなり、記録を調べても原因が捉えられないため、何が原因なのか、技術者が泊まり込みで調査する事になりました。
時間間隔を決めて品質チェックを行っていると、人が工場を出入りした直後に不良品が発生する事を突き止めました。射出成型機の射出部温度を調べると、人が出入りした直後に設定値以下に温度が低下していることが判り、設定値に復旧するまでの僅かな時間の間に不良が発生していることが判りました。
原因が突き止められたので、早速対策を立てることになります。既に設置されていた空調設備を整備し、更に、入り口を二重ドアにして人の出入りにより室内温度が変化しないようにして夜間の不良発生率が高くなる問題を解決しました。
この企業では、不良の発生原因を徹底的に追求し、他社が難しくて断るような成型品の生産を行うことが出来る技術を開発しています。原料別の不良率発生状況の比較を行い、特定の原料に...