‐顧客満足の水準‐ 製品・技術開発力強化策の事例(その41)

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 前回の事例その40に続いて解説します顧客満足の水準として、顧客満足の段階レベルを考えてみると次の5分類になります。
 

◆顧客満足の水準、顧客満足の段階

(1)取引先の要求を忠実に受け入れる
(2)取引先の要求を上回る提案をする
(3)取引先の潜在的な欲求を察知して提案する
(4)取引先の苦手部門を引取り、緊密度を向上させる
(5)取引先が保有しない技術を開発し、連携を図り相乗効果をもたらす
 
 この内で(3)(4)に関しての満足度はこの順序に従うことなく、入れ替わる事もあり得ます。(1)~(5)について解説します。
 

(1)取引先の要求を忠実に受け入れる

 取引先が要求した仕事の内容を忠実に履行しても、納入する段階になって、クレ-ムがつくことがあります。 受注した立場からは要求した通りに処理したのに、と反論したくなりますが、発注した方としては「仕事を担当する専門的な立場から当然この様になるのは判っていなければならない。 自分の責任範囲として善処するのが当たり前である」そのような感覚で臨んでくる場合があります。
 
 仕事を引き受けて対価の支払いを受けるのであるから、自己の責任で引き受けた仕事に対して問題が生じないような方法を講じるのが当然のことであって、取引先の言いなりになることでは、取引関係で信頼をつなぎとめる事は出来ません。納期でも取引先の要求をそのまま引き受け、結果として納期遅延で迷惑をかける結果になった場合がありますが、それは、受注交渉の時点で自企業の生産余力から判断して、納期調整の交渉を行うべきで、責任の持てる範囲を明確にすることが信頼関係を維持し、取引先の満足度を高めるのに欠かす事の出来ない事項です。
 

(2)取引先の要求を上回る提案をする

 取引先との受注交渉の段階で相手が本当に何を必要としているのか、それを見極めた上で、「この様にすれば単価が下げられる。ここを変えれば品質がより安定し耐久力が増す。発注形態をこの様に変えれば更なる納期短縮が可能になる」等、専門業務の立場から相手が気付いていない改善案を提案して、取引先の利点享受に寄与するようにします。それには提案が聞きいれられる様な担当部署と接触する工夫が必要になります。表面的な要求でなく、本当に必要な機能は何かしっかりと見極める事がなければ、提案が効果をもたらす事になりません。
 

(3)取引先の潜在的な欲求を察知して提案する

 取引先の作業の進捗状況や業務内容の観察に努め、製品や技術の提案を行い、相手の利益享受と自企業の受注開拓の両立を狙います。様々な改革の必要性が強調されているが、実際には慣習で仕事が処理されている部分が少なくありません。この点に着目して専門業務担当の立場から取引先を観察すると、いろいろな問題が見えてきます。これらの情報を収集したうえで改善策や製品企画に関連した提案をします。口頭での提案では発注担当者がそのまま放置する事もあるので、文書で提案するようにします。
 

(4)取引先の苦手部門を引取り、緊密度を向上させる

 厳しい経営環境になり、自企業の得意分野に事業を集中させ、それ以外の業務を自社で処理する事が負担になる場合があります。日常から取引先の観察を怠りなく行い負担になっていると考えられる業務について、その研究を行い取引先よりも優位な技術を保有していると考えられる水準になると、全面的にその業務を委譲するに至る例もあります。
 
 有利な条件で引き取る事が出来るようになるには、その分野に関しては技術面で取引先よりも優れている事が理解される事、日...
 前回の事例その40に続いて解説します顧客満足の水準として、顧客満足の段階レベルを考えてみると次の5分類になります。
 

◆顧客満足の水準、顧客満足の段階

(1)取引先の要求を忠実に受け入れる
(2)取引先の要求を上回る提案をする
(3)取引先の潜在的な欲求を察知して提案する
(4)取引先の苦手部門を引取り、緊密度を向上させる
(5)取引先が保有しない技術を開発し、連携を図り相乗効果をもたらす
 
 この内で(3)(4)に関しての満足度はこの順序に従うことなく、入れ替わる事もあり得ます。(1)~(5)について解説します。
 

(1)取引先の要求を忠実に受け入れる

 取引先が要求した仕事の内容を忠実に履行しても、納入する段階になって、クレ-ムがつくことがあります。 受注した立場からは要求した通りに処理したのに、と反論したくなりますが、発注した方としては「仕事を担当する専門的な立場から当然この様になるのは判っていなければならない。 自分の責任範囲として善処するのが当たり前である」そのような感覚で臨んでくる場合があります。
 
 仕事を引き受けて対価の支払いを受けるのであるから、自己の責任で引き受けた仕事に対して問題が生じないような方法を講じるのが当然のことであって、取引先の言いなりになることでは、取引関係で信頼をつなぎとめる事は出来ません。納期でも取引先の要求をそのまま引き受け、結果として納期遅延で迷惑をかける結果になった場合がありますが、それは、受注交渉の時点で自企業の生産余力から判断して、納期調整の交渉を行うべきで、責任の持てる範囲を明確にすることが信頼関係を維持し、取引先の満足度を高めるのに欠かす事の出来ない事項です。
 

(2)取引先の要求を上回る提案をする

 取引先との受注交渉の段階で相手が本当に何を必要としているのか、それを見極めた上で、「この様にすれば単価が下げられる。ここを変えれば品質がより安定し耐久力が増す。発注形態をこの様に変えれば更なる納期短縮が可能になる」等、専門業務の立場から相手が気付いていない改善案を提案して、取引先の利点享受に寄与するようにします。それには提案が聞きいれられる様な担当部署と接触する工夫が必要になります。表面的な要求でなく、本当に必要な機能は何かしっかりと見極める事がなければ、提案が効果をもたらす事になりません。
 

(3)取引先の潜在的な欲求を察知して提案する

 取引先の作業の進捗状況や業務内容の観察に努め、製品や技術の提案を行い、相手の利益享受と自企業の受注開拓の両立を狙います。様々な改革の必要性が強調されているが、実際には慣習で仕事が処理されている部分が少なくありません。この点に着目して専門業務担当の立場から取引先を観察すると、いろいろな問題が見えてきます。これらの情報を収集したうえで改善策や製品企画に関連した提案をします。口頭での提案では発注担当者がそのまま放置する事もあるので、文書で提案するようにします。
 

(4)取引先の苦手部門を引取り、緊密度を向上させる

 厳しい経営環境になり、自企業の得意分野に事業を集中させ、それ以外の業務を自社で処理する事が負担になる場合があります。日常から取引先の観察を怠りなく行い負担になっていると考えられる業務について、その研究を行い取引先よりも優位な技術を保有していると考えられる水準になると、全面的にその業務を委譲するに至る例もあります。
 
 有利な条件で引き取る事が出来るようになるには、その分野に関しては技術面で取引先よりも優れている事が理解される事、日常からの取引で信頼関係が確立している事です。大手の企業では扱い高が少なくて魅力がない事業であっても、中小企業では魅力のある取引高になる事から、両者にとって満足の得られる結果になります。
 

(5)取引先が保有しない技術を開発し、連携を図り相乗効果をもたらす

 専門を異にする分野の技術を互いに保有していて、その技術を融合化させる事で相乗効果が働き、販売面、価格形成で有利な状態が作り出せる場合があります。特徴のある技術を開発し蓄積している事、取引先との信頼関係がある事、取引先が当方の技術の取り込みを行うような方向でなく連携して互いに情報提供を行って、相互に研究開発を続けていく。その様な関係が維持される事を見極める必要があります。最も中小企業の苦手とする販売を取引先のル-トに乗せてくれる事で、両者が相互補完の関係を発揮できるようになる事もあります。
 

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この記事の著者

新庄 秀光

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