当社は電気化学系の製造開発業を行っています。現在は開発記録を紙ノートにて記録しています。
実験には様々な機器分析を用い、写真や測定結果は電子ファイルとして保管されています。
しかしながら、検索性などの利便性に課題があり、電子実験ノートを検討しております。
弁理士の原田正純と申します。
電子ノート自体は、多くの会社から製品が出ていますので、性能等を比較することで選べると思います。
ただし、電子ノートを導入するだけではなく、下記のような課題を明確にしてから、研究開発の業務全体を見直してはいかがでしょうか。
(1)発明者の貢献度の明確化
研究の初期段階の記録がきちんと残されていない場合、誰の貢献によりその発明がなされたか等、後で検証が難しいことがあります。
(2)他社との共同研究開発
(1)と同様ですが、他社との共同研究開発の場合、後にどちらの会社が発明の貢献度が高いか等、トラブルが発生することがあります。
(3)ノウハウ管理
特許出願せず、ノウハウ秘匿する技術情報について、研究の初期段階から時系列できちんとデータを残しておく必要があります。他社が同様の技術について、特許権を取得し、交渉や訴訟になった場合、自社が先使用権を有することを証明できるようにするためです。
以上です。
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DXの取組として今の時代必要な取組だと考えます。
ポイントは他のシステムとの互換性や連携になってくると思います。
特にデータベース化などをその後考えて行く際にExcel(csv)ベースで使えるなども考えいくと更にいいと思います。
またセキュリティー面なども考慮しながら運用することも忘れずに対応していくと更にいいと思います。
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知財コンサルタントの石澤隆範と申します。
まず、紙ノートを電子実験ノートに変更する場合、検討するポイントを述べます。
貴社全体に展開しようとした場合、相当ハードルが高いと思われます。
また、電子実験ノートを導入しても、途中で中止することになってしまっては、徒労に帰してしまいます。
貴社と同種の企業で電子実験ノートを取り入れている企業を参考にするのが一番かもしれません。
電子実験ノートの製品を比較しただけでは、見えない課題があるかもしれないからです。
電子実験ノートを特許係争の証拠資料に利用することなどを想定しますと、証拠資料としての基準をクリアした対応が必要になります。
電子実験ノートを導入する場合、重要な開発テーマを選択し、経営トップの了解のもと、進めてはどうでしょうか?
現在、各種実験データが電子化されていますので、紙ノートの電子化の流れは自然だと思います。
企業内の開発者もちょっとした工数で電子実験ノートが導入できれば、賛同者が増えるかもしれません。
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川上隆史と申します。
開発記録・実験条件等による多数の特性値、評価などとの対応について適する評価・組合せ条件などの抽出利便性については、例えばExcelによる成分配合比、加熱条件等の数値化や有無の2値情報など多数の要因項目を表形式で整理し、開発の狙いとする特性・評価値などを各関数として扱う手段が当面検索の利便性に優れると考えます。例えば以下を参照下さい。
No 成分1 成分2 成分3 温度 加熱時間 ガス 特性1 特性2 評価1 評価2
1 3 4 1 120 15 0 4 13
2 2 2 5 135 13 1 2 8
3 4 0 3 85 20 1 7 4
4 0 5 2 68 80 0 3 5
5 4 1 3 95 33 1 8 10
6 3 4 0 100 25 0 6 9
7 3 2 4 185 37 0 2 12
8 0 2 6 200 18 1 1 7
9 1 3 2 120 33 1 9 3
10 5 1 3 67 40 0 12 6
11 6 0 2 82 53 0 5 8
12 0 7 1 77 39 1 7 2
13 2 2 8 94 28 1 3 5
14 6 4 0 103 30 1 8 3
15 0 3 3 86 62 1 6 8
例) 評価1:特性1が5以上で特製が~10 ⇒ No. 5, 6
評価2:1成分の混合欠如による特性2の低下度合⇒成分1は4.4,
成分2・3は6.0 。
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